ドラマ『陸王』に出演中の、左から竹内涼真、役所広司、和田正人

戦ったのは“天気”

 ドラマの制作中、スタッフが気にしているのが天気。特に今年の秋は雨が多かったため、撮影現場ではモロに影響が出ていたようで……。

「10月はとにかく天気に悩まされていましたね。10月22日に大規模な大会のシーンを撮ろうと5000人近いエキストラを集めたのですが、残念ながら雨で中止に。

 その分を27日と29日に振り替えたのですが、27日は平日だったので思うように人も集まらず……。天気予報を見ながら毎日ヒヤヒヤしていました」(制作会社関係者)

「集められたエキストラも、悪天候で帰されることがたびたびありました。遠方からの参加者はがっかりしていましたね」(エキストラに参加した女性)

 天気だけはコントロールできないので、スケジュールの調整には苦労も多いのだそう。

最年長者の優しさ

 長期のドラマ撮影を乗り切るには、出演者同士の信頼関係が大事になってくる。

「陸上シーンの撮影では、選手役最年長の和田正人さんがムードメーカーなんです。現場の士気を上げてくれていますね」(TBS関係者)

 和田演じる平瀬は陸上部のアニキ分。現場でも中心となり、こんな和気あいあいなエピソードも。

「ドラマには、実際に実業団に所属している外国人選手が出演しているのですが、彼はまだ日本に来たばかりで日本語が片言。休憩中は和田さんや竹内涼真さんが中心になって日本語を教えてあげていますよ。

 “なんでやねん”という関西弁のツッコミやジブリの歌など、ふだんはあまり使わない日本語が多いんですけどね(笑)」(同・TBS関係者)

リハから全力で

『陸王』で重要な意味を持つ陸上のシーン。ここでも和田の神対応が─。

「陸上競技場のトラックを走るシーンが毎回ありますが、リハーサルも含めるとかなりの距離を出演者は走ります。最初のころは、勝手がわからずスタッフがリハーサルから走らせすぎてしまい、本番で全力で走れない人が出てしまいました。

 竹内さんも“本番じゃないのに、なんでこんなに走らないといけないの?”と疑問に思っていたとか。そんな状況を見かねて意見してくれたのが和田さん。

 スタッフに“もっとリハーサルで走る距離を調整してくれないと、本番までにみんながつぶれてしまう”と、提案してくれたんです。これは、箱根駅伝にも出場した経験のある和田さんだからわかることですよね」(前出・制作会社関係者)

求められたリアル

 視聴者をグッと作品に引き込むのに重要なのが、ドラマのリアルさ。『陸王』では、「リアリティーを追求したかったので、陸上部の選手役の俳優たちは青山学院大学の原晋監督のもと、陸上選手に近づけるような身体づくりをクランクイン前から行っていました。毎日の練習メニューに加えて、食事に関しての指導もあり、かなり本格的でしたね。

 実は、青山学院大学OBの一色恭志選手に出演オファーも出していたのですが、スケジュールの都合がつかず断念せざるをえなかったんですよ」(前出・TBS関係者)

 また、役者の細かな努力はこんなところにも。

「“こはぜ屋”でミシンを操っている縫い子役の方たちも、クランクイン前に何度も集まってミシンの使い方を練習しました」(同・TBS関係者)

差し入れは最高級

撮影中だからか、にんにく抜きの最高級焼き肉弁当が差し入れに

 ロケ弁やお菓子などの差し入れは、撮影中の楽しみのひとつ。

 出演者やスタッフのモチベーションを高めるのにもひと役買っているが、主演の役所広司の差し入れには、みんなびっくりしたのだとか。

「陸上競技場のシーンでは、プロテインバーを箱ごと大量に差し入れてくれたんです。また、叙々苑弁当も2回差し入れてくれたのですが、4000円以上する一番高いグレードのものだったんです。

 いちばんリーズナブルな値段のものを頼むのが最近の差し入れの恒例なので、倍以上するお弁当を差し入れてくれたことに驚きました。しかも、個数も1回100個とかですからね。お弁当だけでトータル100万円近いですよ」(芸能プロ関係者)

 さすが大物俳優という豪華な差し入れ。陸上選手役で出演している若手俳優たちに大好評だった。

SNSをフル活用

鴻巣市立陸上競技場は、劇中でダイワ食品陸上部の練習グラウンドとして登場する

 今の時代、外での撮影中に迷惑なのがSNS。

「SNSでロケをしていることが知られてしまい、現場がパニックになってしまうことも。竹内涼真さんの現場は数百人のファンが大挙して押し寄せ大変でした」(前出・制作会社関係者)

 一方、その拡散力に助けられることもあるようで……。

「今回のような大規模なロケで、エキストラが大量に必要なときはSNSが重宝しました。“ロケをします。みなさん参加してください”という告知をツイートしたところ、拡散されて多くの人を集めることができたんです」(同・制作会社関係者)

 大勢のエキストラが集まったおかげで、迫力あるマラソンシーンが完成。今やSNSもドラマ作りに欠かせないものになっているようだ。

ライバルの努力

 今作の見どころといえば、各陸上部のイケメンたち。半年間トレーニングがあるため、肉体派な面々が選ばれた。なかでも竹内涼真のライバル役に抜擢された佐野岳は、サッカー経験者で運動神経バツグン。彼が演じる毛塚は、クールな天才ランナーという役どころだが……。

「以前から佐野さんはこまめに局内に顔を出していて、スタッフにも気に入られていました。『炎の体育会TV』(TBS系)で優勝した際は、各部署でお祝いされていたほど。そこでオーディション参加の声がかかり、つかんだ役が今回の毛塚役なんです。ライバルもしっかり努力していたんですよ」(前出・芸能プロ関係者)

 ドラマの裏側でも、出演をめぐる熾烈なレースが行われていたのだ!