葵わかな 撮影/伊藤和幸

「撮影期間もいつの間にか残りの時間のほうが少なくなって……。意外と、あっという間にここまできたという感じですね」

 視聴率もほぼ20%をキープし、好調な朝ドラ『わろてんか』でヒロイン・てんを演じている葵わかな。物語も中盤に差しかかり、少女だったてんも、“ご寮さん”として寄席の経営にてんてこまい。

「自分が現実では体験してないことを、てんちゃんとして体験できるのは楽しいですね。結婚して奥さんになり、子どもを産んだりとか。ドラマの年代に合わせて子役の子も変わっていきながら、最後は成田凌さんが息子になります。

 私自身の人生経験が浅いという不安はありますが、てんちゃんと私は一緒に成長していると思います。物語を通して同じものを見て、同じことを経験して、今では彼女がかけがえのない存在になってきています。てんちゃんのことが大好きですし、信頼できるパートナーですね

 ドラマでは、藤吉(松坂桃李)伊能栞(高橋一生)、風太(濱田岳)という、てんが特に信頼を寄せる男性が3人いる。てんは、それぞれから愛されているけど……。

「てんちゃんは男女問わず、誰に対しても分け隔てなく愛を持てる子なんだと思っています。ただ、それぞれに対する愛の“方向”と“色”がちょっとずつ違うんです。

 旦那さんになる愛は藤吉さんに向いていたし、尊敬や信頼という愛は伊能さん。家族みたいに守ってあげたいという愛は風太さん。リリコさん(広瀬アリス)や、おトキさん(徳永えり)に対しても、根本では人が好きで、みんなを愛する気持ちがあるというか

 葵わかなとしては、3人の男性のうち誰を選ぶ?

「どうなんだろう(笑)、難しいですね。私、いちばん好きな男性キャラクターは、亡くなった新一兄さん(千葉雄大)なんです。少女時代、世間知らずの箱入り娘だった、てんちゃんの可能性を認めて背中を押してくれたのは新一兄さんだけだと思うんです。

 今お芝居をしてても、新一兄さんのセリフや言葉をすごく思い出すので、てんちゃんにとっても私にとっても、すごく心に残っているんだと感じます

 撮影現場はどんな感じ?

「寄席の場面の撮影は共演者の方が多いので大変ですけど、必ず誰かがムードメーカーになって、和気あいあいと撮影しています。

 あと、私と藤吉さんや、キースさん(大野拓朗)とアサリさん(前野朋哉)、風太さんとおトキさんといったドラマの中でペアを組んでいる人たちが、待ち時間も一緒にいるのを見ると素敵だな、という気持ちになります」

2017年を振り返ってみると…

葵わかな 撮影/伊藤和幸

 2017年ももうすぐ終わり。振り返ってみて、どんな年だった?

“激動”のひと言です(笑)。もし人生に起こることをチョイスしている神様がいるなら、私の人生、この1年で後先考えないで動かされたな、って(笑)。高校を卒業して大学が決まって、ヒロインをやらせていただいて。

 こんなに毎日が一生懸命だったのはなかったな、という感じ。もちろん、今までのお仕事も一生懸命でしたけど、これだけ長い時間をひとつの作品にかけていくということで、今まで以上の全力をぶつけなくてはと思いました

 来年は20歳。成人となりひとつの区切りとなるけど、どんな年にしたい?

朝ドラの撮影はまだ来年も続くので、10代最後にいただいた、ヒロインというこれだけの大きい役をちゃんと終わらせたいです。そうすれば、次をまた始められると思いますし。20歳からの新しいスタートじゃないですけど、いい“風”を作れるように、クランクアップまで走り続けたいです!」

 “妄想”が日々の癒し!?

「小さいころから小説や詩集を読むことが好きで。読んでいるときに物語の情景を想像しますよね? 頭の中でキャラクターを動かしたりして。普段、本を読んでいないときでもあの小説、漫画、アニメに出てきたキャラが友達だったら……って想像するのが好きなんです。これって妄想ですか?(笑) 女優というお仕事も、物語を作る延長だと思っているので、楽しいのだと思います