石原さとみ 撮影/廣瀬靖士

「30代になって、自分から能動的に動けるようになったんです。だから今は仕事もプライベートもすごく楽しいですね」

 デビューして15年。年齢を重ねるたびに魅力を増している石原さとみ(31)。『ホリプロタレントスカウトキャラバン』のグランプリで華々しくデビュー。順調にステップアップしているように見える彼女だが、冒頭の言葉を言えるようになるまでに、人知れず挫折も経験したと振り返る。

「お仕事を始めたころは、好奇心でいろいろとやらせてもらっていましたね。スタッフさんの頑張りもあって、コンスタントにお仕事はさせてもらっていたけど、21歳を過ぎたころからCMや雑誌のレギュラーがなくなって……。その時期は毎日泣いていたこともあったし、こんな私を誰も好きになってくれるとは思えなくて、すべてが投げやりになっていました

 そんな彼女がポジティブになったのは、25歳を過ぎたあたりから。

「お休みをいただいたことで、深呼吸ができたんです。その時期に恋愛も経験したし、ひとり暮らしを始めて、親のありがたみもわかるようになって。それで25歳を過ぎてから、可愛くなりたいとメイクやファッションに興味を持ったり、お仕事ドラマに挑戦したいという夢を持ち、行動するようになったら叶っていったんです。今思うと、仕事がなくなった時期があったから得られたこともたくさんあったので、挫折を経験してよかったと思います」

 そんな彼女の夢のひとつだった職業ドラマ『アンナチュラル』(TBS系)では、法医解剖医役を演じている。

「最初のころはどういう役柄か迷っていたので、クランクイン前はすごく不安だったんです。松重豊さん演じる所長に怒りをぶつけるシーンがあるのですが、優しさベースで悲しみややるせなさを含んだ演技をしたときに、監督に褒められたんです。そこで、今回演じるミコトのキャラクターが明確になりましたね」

 さまざまな役柄を演じ分けることに定評がある彼女が、“ナチュラル”になれる時間とは?

「5歳のころから知っている幼なじみが周りに多いのですが、ここ2~3年でまた会う機会が増えたんです。叱ってくれる子もいるし、無理しない関係性っていいなって。学校卒業後は仕事関係の人と会うことが多かったけど、こうして帰る場所があるのはすごくうれしいです」

今は家庭を持つことより
自立するほうが大事

 30歳を記念して6年ぶりに発売した写真集では、そんな幼なじみたちとの座談会も収録されているが、意外な発見もあったとか。

「“女優なのにサプライズが下手だよね”と言われたり、そんなこと思っていたの? と知ることがたくさんありました(笑)」

 プライベートでは行動派な一面があり、

石原さとみ 撮影/廣瀬靖士

1泊2日とかの弾丸旅行もよくしますよ。お休みの重要性、大事さが最近わかるようになったんです。お休みを取ると、心も身体もむくみが取れるんです(笑)。まったく違うことを考えるほうが、翌日の撮影でも余裕を持って臨めますね」

 2月から始まる舞台『密やかな結晶』では原作選びから関わるなど、30代になったことで仕事に対するスタンスにも変化があったという。

「与えていただいたお仕事で評価されるのもうれしいけど、自分でつかみに行って評価されたらもっとうれしいなと思うようになったんです。今度の舞台は原作を読んだときに舞台化したいと思い、舞台が好きでご一緒したいなと思っていた演出の方にお願いしたりと、ゼロからイチにする作業をさせてもらって。30代になると、同じ世代のスタッフも増えるので意見も言いやすいですし、30代っていいなって思っているところです

 恋愛観にも変化はありました?

「親のためにも早く結婚したいなって思った時期もあったけど、今はだいぶ考え方が変わりました。私の中で何が親孝行かって思ったときに、家庭を持つことよりも、自立して安心させてあげるほうが大事だなと思うようになったんです。だから結婚は、本当に子どもが欲しいと思ったときにできたらいいですね

 変化といえば、昨年は『24時間テレビ』でチャリティーパーソナリティーを務めるなど、女優以外にも挑戦。

「『24時間テレビ』も自分で企画を考えさせていただいたし、番組を通じて出会った人とプライベートでも交流を持ったことで、いろんな現状を知ることができて、視野が広がった1年でした。昨年は演技以外の仕事も多かったですが、今年は久しぶりに舞台にも挑戦するし、演じている私をたくさん見ていただける年にしたいですね。特にドラマ『アンナチュラル』は、とにかく脚本が面白いので、たくさんの方に見てもらえたらうれしいです」

<出演情報>
金曜ドラマ『アンナチュラル』
出演/石原さとみ、井浦新、窪田正孝ほか 1月12日スタート。毎週金曜、夜10時~。TBS系。