沢村一樹(撮影/廣瀬靖士)

「僕は、もしかしたら主人公の西郷どんのオファーが来るんじゃないかと期待していたんです(笑)」

 鹿児島出身で、幼いころから西郷隆盛や島津家の偉大さを教えられてきたという沢村一樹。大河ドラマ『西郷どん』では島津藩の家臣・赤山靱負役で出演している。

「実は、赤山という人物についての知識がなかったんですが、予備知識がなければ自由に役を作れるので、西郷隆盛という大きな人物が作り上げられる過程の一端かもしれないけど、影響を与えられたひとりでありたいな、と演じています」

 主演の鈴木亮平には西郷を演じるうえで、役作りの手助けを惜しまなかったという。

鈴木くんが、撮影に入る前に西郷さんが西南戦争でたどったルートを実際に回って、最後に鹿児島市内に入ると聞きまして。ちょうどその日程に僕も合わせられたので、3日間くらいですけど、鹿児島で僕の友達を紹介し、ナマの鹿児島弁を肌で感じてもらいました

 赤山は郷中で“先生”として若者たちから信頼される存在。沢村自身は……?

僕はそんなに若い人たちに慕われるタイプではない、と自分では思っています(笑)。赤山が慕われたのは、彼らを一人前の人間として扱って、それぞれの個性を否定しなかったから、と勝手に解釈しています

 赤山は島津家の家督争いをめぐる“お由羅騒動”に巻き込まれて無念の死を迎える。

「赤山にとって、西郷や大久保(瑛太)といった教え子は、思いを託した一筋の光だったのかなと思います。彼らがいるおかげで、武士として潔く死ぬことができたのかなと。

 赤山の死に吉之助(鈴木亮平)が立ち会うのですが、僕は人としての生きざまを彼の心に残す、という思いで演じていました。これは、沢村一樹として鈴木亮平に対しての、“1年間頑張って”という思いも重なっています」

赤山は薩摩藩の未来のため、次期藩主に島津斉彬(渡辺謙)をと奔走するが、対立する現藩主であり斉彬の父・斉興(鹿賀丈史)の逆鱗に触れてしまい……

主演・鈴木亮平が語る沢村の素顔

「沢村さんには鹿児島で“薩摩ことば限定飲み会”を開いていただいたりして本当にお世話になりました。愛にあふれた方です。記者会見のとき、撮影期間中は下ネタを封印するとおっしゃっていましたけど、普段はやっぱり……(笑)」