左から、海老名香葉子さん、林家三平、林家正蔵、泰葉

 国民的演芸番組『笑点』(日テレ系・毎週日曜17時半)メンバーの三遊亭好楽の弟子、三遊亭好の助の襲名をめぐり騒動が勃発した。

 今月3日、スポーツ報知の芸能面のトップ。見出しは《正蔵が異議 好楽弟子の「九蔵」襲名白紙》だ。

 好の助は、今年5月に真打ちに昇進する。4月には都内のホテルで披露パーティーも行う予定。2か月を切った段階での白紙は、

「当事者は、後ろ幕や扇子や手ぬぐいなどすべてを作り直さないといけない。若手の落語家にとっては、精神的痛手と同時に経済的痛手もある」 

 と演芸関係者が同情する。

 簡単に背景を説明する。

 三遊亭好楽は、八代目・林家正蔵に入門し、林家九蔵を名乗っていた。

「好楽師匠にとって愛着のある名前で、おかみさんは今も師匠のことを『きゅうちゃん』と呼ぶほど。そのおかみさんが『誰かについでもらえば』と言っても、決して首を縦に振らなかった。それがやっと弟子に渡そうと思った矢先に、ミソが付いてしまった」(演芸評論家)

 八代目の死後、九蔵は三遊亭円楽の門下に移り「三遊亭好楽」に改名。円楽が、落語協会を飛び出した際には、行動を共にした。

 落語協会から出て行ったことを九代目・林家正蔵は問題視し、三遊亭が林家名跡を襲名することについて「落語界で悪しき前例を作るのはよくないとは申し伝えました」とスポーツ報知の取材にこたえている。

「正蔵は2つの大きなミスをしましたね」

 と、前出の演芸関係者はバッサリだ。

ひとつは、自分ではなく母親の海老名香葉子さんに、(好楽さんに)『ダメだ』と迫らせたこと。もうひとつは、正蔵の近視眼的発想。50年後100年後にはまた一緒になるかもしれない。悪しき前例でなく、いいきっかけになるかもしれないのに、その可能性をつぶした。

 目先のきく人間であれば、『今回は前例にならないために、名前を使うのは一代限りにしてください、襲名の準備も整っているでしょうから、特例として認めましょう』とでも言っていれば株があがった。残念です」

 さて、この騒動に介入しているのが、海老名家のお騒がせ次女の泰葉だ。ブログで発言を始めたが、

「これが正鵠(せいこく)を射ている。実にまともなんです。海老名家が間違っていると論破しているんです」(前出・演芸評論家)

 泰葉は「みなさま 間違えています」と呼びかけ、海老名香葉子さんが落語界でなんの立場もない、にもかかわらず好楽師匠を呼びつけ3時間も対応し襲名させないと通告したが、そんな権利はない! ねじれた行為です、と断罪したのだ。

「痛快ですね。今回の林家のやり口に、なんでも海老名家に報告しなきゃいけないんだろうねと皮肉る落語家も多いですよ。海老名家も正蔵も、間違いなく評判を下げましたね」(前出・演芸評論家)

 9日には、東京・上野では海老名香葉子さんが発案した「時忘れじの集い」が開催され、正蔵も出席する予定。例年とは違った形で、メディアの注目を集めそうだ。

<取材・文/薮入うらら>