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 婚活ライターをしながら、仲人としても婚活現場に携わる筆者が、目の当たりにした婚活事情をもとに、様々なテーマを考えてゆきます。今回は、『男女でこうも差がある、結婚したい相手の年齢』です。

「橋本さんとの交際は終了にさせてください」

 会員女性の前田里美さん(44歳、仮名)から「橋本さんとの交際は終了にさせてください」とメールが来ました。交際中の男性、橋本隆史さん(47歳、仮名)は年収900万円。背こそ高くありませんが清潔感が漂う容姿で、とても条件のよい男性です。つい先日まで、「とてもいい交際をしています」と言っていたのに、いったい何かあったのか。その理由を電話でたずねました。

「昨日お会いしたんですが、お食事をしながら結婚後の話になったんですね。そうしたら、橋本さんは、『僕は子どもはいらない』って。『もう47だから、すぐに授かっても子どもが中学の時に定年になる。経済的にも支えていくのは大変。それなら、パートナーとの生活を楽しんで50代、60代を迎えたい』って言うんですよ」

 橋本さんが言うことは正論でしょう。ですが、里美さんはその発言が納得できませんでした。

「私は、まだ子どもを産むことをあきらめていません。最後のチャンスにかけたい。子どもがいらないという男性とは、おつきあいしていても時間が無駄になるだけ。交際終了にして、次のお見合いをしようと思います」

 里美さんに限らず、40歳をすぎても出産を真剣に考えている女性は、とても多いのです。確かに出産には個人差があり、45歳を過ぎて出産している女性もいます。それが有名人だったりすると、華々しくニュースに取り上げられます。

 また、知り合いの仲人の女性会員は、成婚退会した後、46歳の初産で子どもを授かりました。可能性にかけたいという、里美さんの気持ちもわかります。

 ただ、47歳の年収のいい橋本さんが、44歳の里美さんにお申し込みをしてきたのは、はなから“子どもはいらない”と思っていたからでしょう。子どもを望んでの婚活なら、30代の女性にお申し込みをかけていたはずです。

 里美さんは44歳には見えない、若々しい美人です。橋本さんにしてみたら、気の合う美しいパートナーと、旅行をしたり、おいしいものを食べたりしながら残りの人生を楽しく豊かに送ろうと思っていたのでしょう。

 私は、里美さんに言いました。

「橋本さんをお断りしたら、もうこんないい条件の男性は現れないかもしれないけれど、それでもいいの?」

「はい。子どもをいらないといっている男性は、結婚の対象外ですから」

 こうして2人は、交際終了となりました。

70歳男性に「30代と結婚したい」と言われても

 一般的には年収がよい独身男性は、40代、50代、60代、それこそ70代になっても、「結婚(または再婚)して、子どもが欲しい」と思っていらっしゃる方が多いのです。だからできるだけ若い女性と結婚したがる。

 40代前半ですと20代から35歳くらいまでの女性を求め、40代後半、50代、60代、70歳ですと、35歳以上も対象に入れてきますが、それもできるだけ若い30代との結婚を願っています。親子の年齢差の結婚相手を探しているのです。

 先日も70歳の男性から、こんな問い合わせの電話が入りました。

「中国人の妻と3年別居しているのだけれど、もう離婚をするので、そちら(結婚相談所)に入って婚活がしたい。子どもが欲しいので、30代の女性と結婚をしたいのですが、70歳でも登録できますか?」

 “ああ、この男性も年の差婚を望んでいるのか”と思いながらも、冷静にお話しをさせていただきました。

「登録は何歳でもできますよ。ただしキチンと離婚をされて独身になり、独身証明書を提出していただかないと、結婚相談所には登録できません。それに、70歳で30代の女性を希望するというのは、現実問題、難しいと思います」

 すると、彼は憤慨したように言いました。

「普通の70歳だと思ってもらっちゃ困る。見た目も50代前半にしか見えないし、若いころから立ち上げた事業で成功しているので、もう働かなくても一生困らないだけの億の金がある」

 “思ってもらっちゃ困る”と言われても、こちらも困る(笑)。どんなに若く見えても、70歳という実年齢は変えられません。また、たとえ50代であったとしても、30代と結婚するのは難しいのです。

働き手になる父親は、できるだけ若いほうがいい

 いっぽう女性たちは、35歳を過ぎアラフォーになると、なるべく年の近い人、もしくは年下男性との結婚を望むようになります。 “もし子どもを授かったら、働き手になる父親はできるだけ若いほうがいい”と思っているからです。

 こうして男性が女性に希望する年齢と、女性が男性に希望する年齢のベクトルが見事にすれちがっているので、お見合いのマッチングが難しくなるという現実が出てくるのです。

 先日も、“結婚相手は、年下から43歳まで”と年齢設定をしている40歳の女性会員に、「もう少し年齢の幅をひろげて、40代後半から50代前半も対象にいれたら?」とアドバイスしたところ、彼女からこんな言葉が返ってきました。

 「50の人と結婚したら、早く死んじゃいそうじゃないですか」

 人生80年と言われている時代です。50歳男性と結婚しても、30年は一緒にいられる。それだけの年月を一つ屋根の下で暮らしていたら、もう旦那さんとの生活はお腹いっぱい。

 その時、女性が70歳ならまだまだ元気ですし、同世代のお友達と韓国スターを追い掛け回して、独身さんライフを楽しんだらよいのに。はたまた老いらくの恋で、もうひと花咲かせられますよ(笑)


鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『最短結婚ナビ』http://www.saitankekkon.jp/