撮影/森田晃博 スタイリスト/小島竜太 ヘアメイク/車谷 結(ラフテル)

 2001年に公開されフランス映画『アメリ』。パリのモンマルトルを舞台に、空想好きなちょっと変わった女の子の日常と恋をチャーミングに描いた心温まるロマンチックコメディーで、「観る人みんなが幸せになる」と日本でも大ヒット。女子を中心に“アメリ”ブームを巻き起こした。

僕の中の女性的な感覚がわかった(笑)

 その映画を基にして、昨年ブロードウェイで上演されたミュージカル『アメリ』が、早くも日本初上演。元AKB48の渡辺麻友さんがヒロインのアメリを演じる。

 アメリが恋する不思議な青年ニノを演じるのは、2・5次元からグランドミュージカルまで舞台で引っ張りだこの人気俳優、太田基裕さん。

このお話をいただいて、初めて映画を見たら、僕の中には女性的な感覚がけっこうあるんだなってことが、すごくはっきりわかりました(笑)。映像全体の色味の感じとかテイストも好きですし、物語の女子的な目線のエピソードにも共感できたりして。

 アメリの好きなことで“クレーム・ブリュレのカリカリの焼き目をスプーンで割ること”っていうのが出て来るんですけど、“あ!それわかる“って(笑)。

 それと、生き方に不器用な女の子が、いろんな人と関わりながら成長していく姿が繊細に描かれているところが魅力的で、愛おしく感じましたね

 意外に女子力が高いらしい太田さんが、ミュージカル『アメリ』の世界でどんなキュートな姿を魅せてくれるのか期待が高まる。

「ブロードウェイ版をダイジェストの映像で観たんですけど、ポップな世界観でセットの使い方とかもすごく面白くて。日本版ではどうなるのか僕も楽しみです。楽曲も透明感のあるみずみずしいポップスで聴きやすいメロディばかりですよ。

 アメリの登場人物の純粋さとか素朴さがストレートに表現されてるなと感じました。でも、なにせ歌う楽曲がめちゃめちゃ多くて、そこはちょっと大変だなっていうのはありますけど(笑)。もう楽曲で全部つながっていくような雰囲気ですね。

 いわゆるミュージカル的な歌い上げるような感じではなく、会話が歌になっているような楽曲が多いので、自然と心情が歌に乗せられるのが理想ですけどね。ただ、かなりハイレベルな楽曲ばかりなので、そこは頑張りたいです

撮影/森田晃博 スタイリスト/小島竜太 ヘアメイク/車谷 結(ラフテル)

恥ずかしい部分もさらけ出したい

 太田さん演じる青年ニノもアメリ同様ちょっと不思議な人物。

「かなり変な人です(笑)。いろんな収集癖があったりして変わり者だけど、でもどこかで変わりたいって気持ちもある素朴な青年で、人間性としては共感できます。

 今回は、なるべく恥ずかしい部分も含めて等身大の自分をさらけ出していけたらいいなと感じてます。かっこつけるとか変なプライドを排除していかないと、ニノは演じられないと思うんですよね

 実は太田さんも収集男子だったそうだ。

「子供の頃は、父親と一緒に切手を集めてました。記念切手をピンセットで一枚ずつファイルに入れて。あと、お城のプラモデルを集めたりとか。だからニノが収集する気持ちもわかる。

 他人からしたらどうでもいいものが宝物だったり。ワクワクするような喜びなんですよね。そんな日常の小さな喜びや幸せを感じながら、お芝居できたらいいなと思いますし、観る人にもそういうことを感じてもらえるような作品になるといいなと思います

 相手役の渡辺麻友さんとは初共演になる。

「AKB48というグループでずっと活躍されてきて、多くの人を魅了してきた方だと思うので、そういう方とご一緒できるのはすごく刺激になります。キャスト全員でいろいろな色を出し合いながら、一緒に作品を作れたらと思います」

アメリみたいな存在の子は気になる

 アメリとニノの恋の行方も大きな見どころ。キュンポイントは?

「勇気をもってアメリが一歩踏み出して、自分の幸せをつかむところは、キュンときますよね。“お!成長した~”って。不器用同士の遠回しなアプローチをもやもやしながら見守りながら、ふたりの幸せを願いながら観ていただいて、ラストはみんながハッピーな気持ちになってもらえるようにしたいですね

 アメリのような夢見がちな女の子をどう思うか聞いてみると。

「気になるでしょうね。不思議ちゃんでもあるけど、何か抱えてるなってわかるような子だから(笑)。すごく自信満々な人よりも、そういう人のほうが個人的には気になるかな」

 多忙な日々の癒しも、ちょっと女子力高め。

「デパ地下で、ちょっと高いケーキを買って帰って、食べたりします。アメリみたいでしょ。小さな幸せ感じるみたいな(笑)」

 最後に読者へのメッセージをお願いします。

「観ていてくすっと笑えたり、ほろっとするような、人間が愛おしくなるような作品なので、普段、舞台をあまり観ない方にも気軽に観に来ていただけたら嬉しいです。僕自身、今すごくワクワクしています」

〈取材・文/井ノ口裕子〉


〈PROFILE〉
おおた・もとひろ  1987年1月19日生まれ。東京都出身。’09年、ミュージカル『テニスの王子様』で舞台デビュー。以降、舞台を中心に活躍。主な出演作品は、舞台『弱虫ペダル』シリーズ、ミュージカル『刀剣乱舞』、『ジャージー・ボーイズ』、『手紙』など。今後は、舞台『半神』(7月11日~天王洲 銀河劇場ほか)、ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』(9月7日~シアタークリエほか全国ツアー)に出演。

〈公演情報〉
ミュージカル『アメリ』
モンマルトルのカフェで働く22歳のアメリ(渡辺麻友)は、子供の頃から想像力豊かだが、周囲とのコミュニケーションが苦手。周りの人々を観察しては日々“妄想の世界”を楽しんでいる。ある出来事をきっかけに、他人を幸せにすることに喜びを見出すが、自分の幸せにはまったく無頓着だった。ところが、不思議な青年ニノ(太田基裕)と出会って恋に落ちてしまい…。不器用なアメリの可愛らしい成長物語。
東京公演:5月18日(金)~6月3日(日)@天王洲 銀河劇場
大阪公演:6月7日(木)~6月10日(日)@森ノ宮ピロティホール
【公式サイト】http://musical-amelie2018.com