吉高扮する主人公・竹村凜々子

 働く女性が奮闘する姿を描いた“お仕事ドラマ”が多い水曜ドラマに、新人の女性検事が登場している。

 ヒロインの竹村凜々子を演じる吉高由里子は、『東京タラレバ娘』以来、1年ぶり、20代最後のドラマ主演。撮影開始当初、吉高はこうコメントしている。

「専門用語など、難しいセリフが多くてスムーズに言えないこともありますが、私も凜々子と一緒にめげずにやっていきたいです」

 原作は170万部超えのベストセラー『聞く力 心をひらく35のヒント』で知られる阿川佐和子の同名小説。阿川は昨年『陸王』に出演し、女優としての才能も見せたが、本作の出演については「面白そうだけど、やめておきます。ずうずうしいにもほどがある(笑)」と、原作者としてドラマに期待しているそう。

『ごくせん』プロデューサーの自信作

 物語の舞台は、横浜地検港南支部。下町育ちの凜々子は正義感が強く、憧れの“正義の味方”になるべく、検事になった新人。凜々子をサポートする事務官の相原(安田顕)や、先輩でエリート検事の大塚(三浦翔平)に叱咤激励されながら事件と向き合っていく。

「阿川さんは偶然知り合ったユニークな女性の職業が検事だったので『正義のセ』を執筆されたと聞きました。普通の女の子らしい目線、人間味のある検事の姿を大切に描いています。

 凜々子をひと言でいうなら、喜怒哀楽がはっきりした女性。2年目の新人だけど基本は踏まえている。取り調べで感情的になってはいけないのはわかっているが、つい出てしまうんです。

 そこが検事としての未熟さですが、人間としての彼女の魅力といえます

 こう話すのは、『ごくせん』『花咲舞が黙ってない』などのヒット作を手がけた加藤正俊プロデューサー。

 本作では検事や事務官の仕事のリアリティーを追求するため検事や元検事、事務官ら延べ30人あまりに取材をしたという。

一般的にお堅いイメージの検事ですが、実際は違う。熱血な人もいるし、個性的な服装をしている人もいます。いろんな人がいて非常に人間くさいです。凜々子と相原のように、新人検事がベテラン事務官に助けられたという話も多々ありました」(加藤P、以下同)

撮影現場には笑い声が響く

凜々子をサポートする相原は鉄道マニアの意外な一面も

 吉高と安田は初共演ながら息の合った演技で、撮影の合間には、吉高が安田にするイタズラが激化!?

「撮影現場は、いつも吉高さんの高らかな笑い声が響いています。メイク室にいるときから豪快な笑い声が聞こえていて、ゲスト出演者も“吉高さんを中心に、明るくていいですね”と言っています」

 凜々子は走ったり徹夜して、事件解決への糸口を探したりとアクティブだ。

「凜々子には毎回、汗をかかせたいと思っています。ポッと真実を見つけるのではなく、苦労の末にたどり着いてほしいんです。

 阿川さんもおっしゃってたんですが、主人公が検事だから正義、弁護士や裁判官は悪ではなく、どの立場にもそれぞれの正義がある。そういうところにもこだわって描いています

 大塚が凜々子に呈する苦言、“新人でもベテランでも検事の権限は一緒。新人だから許されるということはない”“お前が後回しにした事件にも被害者はいるんだ”などは、法曹界から“よく言ってくれた!”と称賛の声が上がっているという。

「三浦君にはエース検事を演じるにあたって、体育会系の部長をイメージして、と伝えました。

 嫌いだからではなく、育てたいからこそ、愛をもって厳しくしごく。大塚はここまでツンデレのツンしか見せてきませんでしたが、酔って寝ぼけた凜々子がしたキスの後以降、違った一面も見せます」

第6話(5月16日放送)では、凜々子が親友で弁護士の美咲(倉科カナ)と対峙することに

 検事ものだが真相解明に特化せず、凜々子の検事としての成長、恋や女性としての変化、横浜地検港南支部のメンバーとの絆、竹村家のホームドラマまで、欲張りとも思えるほど盛り込んでいる。

「前半はコミカルで後半はホロリとくる。見終わった後はスカッとして、心地よくなり、明日からの活力にしていただきたい。これは僕のドラマ作りのポリシーです。

 本作でも、新人検事・凜々子の事件解決より、彼女の成長過程を楽しんでいただければと思います


〈番組情報〉
水曜ドラマ『正義のセ』
日本テレビ系 水曜夜10時~