目黒の自宅前で週刊女性の取材に答える王さん(13年)

「今年に入って解体工事が始まり、更地になってしまいました。'77年に756号のホームラン世界記録を達成したときは、自宅前に子どもたちがあふれかえっていたんですよ」(近所の住民)

 500平方メートルを超える敷地で土地だけでも5億円はくだらないという目黒区内の“ホームラン王”御殿。そこを、福岡ソフトバンクホークスの王貞治会長は今年1月に水面下で売却していた─。

すでに更地になっていた目黒の自宅。その広さが際立っていた

 王さんは6月1日、18歳年下のA子さんとの再婚を発表。実に同棲10年を経ての入籍だ。

「現在、王さんは生活拠点を福岡市内に置いています。ソフトバンク球団の会長であるからという理由はもちろんですが、奥さまが寂しくならないよう、彼女が生まれ育った土地で暮らすそうです。名取裕子さん似の和服が似合う美人ですよ」(地元紙記者)

 ふたりが暮らすマンションは福岡市内の閑静な住宅街にある。最上階にある約100平方メートルのペントハウスで、'09年から一緒に住んでいる。

「福岡に来たころは単身赴任だったので、球団がお金を払って自宅を用意していました。ですが、A子さんと一緒に住むようになると、“同棲するのに球団のお金じゃ住めない”と、王さんが自腹でマンションを購入したのです。そのころから、福岡を“終の棲家”にするつもりだったのではないでしょうか」(球団関係者)

恭子夫人の葬儀では人目をはばからず涙した王さんと理恵('01年)

 王さんといえば、'01年にプロ野球人生を支えてきた前妻の恭子夫人をがんで亡くしている。しかも、翌年には墓が荒らされ、遺骨を盗まれる悲劇も。また自らも'06年にがんを患い、胃を全摘出。心身ともにつらいころに出会ったのがA子さんだった。

「'09年に腸閉塞と胆のうの手術を都内で行ったのですが、A子さんは献身的に看病していました。もちろん、3人の娘たちも父の看病に来ていたのですが、特に当時は独身だった次女の理恵さんとA子さんが交代で看病をしていましたね」(王家に近しい人)

入籍前から“主人”と呼んでいた交際女性

 このころから、王さんのA子さんへの信頼感はいっそう強いものになったという。そんな中、ふたりの結婚を強力にプッシュしたのが、A子さんの実家だった。

「'11年の終わりごろ、A子の実家が“早く籍を入れてほしい”ってお願いしたんです。付き合い始めのころは王さんの手術など、結婚できる状況ではなかった。ですが、前妻が亡くなられて10年がたち、交際も5年目になった。そろそろケジメをつけてほしいと思ったのでしょう」(A子さんの親族)

 A子さんの実家は、中洲のほとりに築150年を超える立派な日本家屋を持つ老舗料亭。そんな事情も、結婚を急がせた理由だという。

A子さんの実家だった料亭。家屋は取り壊され、今はビルに

「このころ、彼女の兄がオーナー兼総料理長をしていたのですが、経営的にはあまりうまくいってなかったんです。王さんから資金援助してほしいということではなく、入籍して“王さんの妻の実家”ということを堂々と言いたかったんだと思いますよ」(同・A子さんの親族)

 実際に'09年のオフにメジャーリーグから日本球界に復帰する城島健司との会談に王さんが招待したのが、この料亭だった。だが、'14年7月いっぱいで料亭は閉鎖。歴史ある家屋は壊され、現在はビルになっている。

 週刊女性は'12年4月に王さんとA子さんを取材。A子さんは実家の思いについて、

「母も兄も(結婚を)望んでいるとは思うのですが……。主人とうちの家庭は食事とかもしていますし、とても円満ですよ」

 と、すでに王さんを“主人”と呼んでいた。また王さんにも同様の質問をすると、「(A子さんの実家が結婚を望んでいることを)それはそうでしょう」と認めていた。

 それから、さらに入籍まで6年も要したのは、次女である王理恵の存在が大きい。

「理恵さんは2度の離婚を経て、当時は独身。主のいない目黒の自宅を守っていたのも彼女でした。関東で試合があるときは、王さんはここに泊まり、娘との時間を過ごしたのです」(スポーツ紙記者)

'15年に3度目の結婚をした、娘の王理恵

娘の再婚を機に身辺整理を

 A子さんと事実婚状態の父を理恵は複雑な思いで見ていた。

 当時、その心境を週刊女性に明かしている。

「ふたりが20代でなんのしがらみもない者同士だったらいいのですが、今はお互い背負っているものがあるじゃないですか。自分たちがいいから結婚するというのも、どうなんでしょう」

 そう反対していた理恵だが、'15年1月に3度目の結婚。これを機に王さんとA子さんは、再婚へ向けて一気にスピードアップする。

「このころから、王さんが周囲に“そろそろ籍を入れようと思う”と言い出したのです。現役時代はかなりの亭主関白で有名でしたが、再婚については娘たちの気持ちを考え慎重に慎重を重ねていました」(前出・スポーツ紙記者)

 悩みの種のひとつが自らが持つ莫大な財産。目黒の豪邸売却もその一環だ。

「現役時代は自宅前にファンが集まり、王さんが1時間ほどかけてサインをしていました。'73年に購入し、娘たちにとっても幼少期から過ごした家だけに、複雑な思いがあるんじゃないでしょうか」(別の近所の住民)

756号のホームラン記録達成時には、多くの報道陣が集まった

 すでに、王さんは東京での拠点を都心の高級マンションに移している。

王さんとしては、自分に何かあったときのため、もめごとになりそうな財産を処分して現金化しているのでしょう。福岡のマンションは王さんの個人事務所が所有していますが、ゆくゆくはそこを奥さんに遺すつもりなのでは。

 娘たちと奥さんへ遺すものをちゃんとすみ分けしようとするのは、彼の優しさから出た“終活”なんでしょうね」(王さんの古くからの知人)

 生涯で868本のホームランを打った王さんも、娘たちの壁を越えるのは本当に大変だったようだ─。