婚活ライターをしながら、仲人としてもお見合い現場に携わる筆者が、目の当たりにした男女の婚活事情を、様々なテーマ別に考えてゆきます。今回は、『婚活パーティのメリット、デメリット』です。

写真はイメージです

ミラクルが起こる婚活パーティ

 3月に知人仲人の大邸宅で行われた婚活パーティで、私の会員男性(31歳)と39歳の女性がマッチング。その後、2人は初デートで恋に落ち、3か月後には婚約をしました。

 2年くらい前の話になりますが、やはり知人の仲人がジャズクラブで主催した婚活パーティで、57歳女性と47歳男性がマッチング。その後、2人は結婚をしました。

「ミラクルが起こる」と言われているのが、婚活パーティです。お見合いの場合は、最初に身上書でお相手選びをするので、年齢や収入などの情報を数字で見てしまう。男性はうんと年上女性を選ばないし、女性は収入の低い男性を選びません。

 ところがパーティは、何の前情報もなく出会い、話したフィーリングでお相手選びをするので、ミラクルが起こることがあるのです。

 ただ、参加するパーティは、慎重に選んでくださいね。結婚相談所や仲人が主催する婚活パーティならば、参加者の身元確認がなされている。ところが、イベント業者が主催する婚活パーティは、身元確認が甘いものが多い。

 身分証明書の提示を義務付けていても、保険証、パスポート、免許証には、独身か既婚かは記入されていませんから、独身を装った既婚者が紛れ込んでいることがあるのです。

 先日、入会面談にきた佳恵さん(37歳、仮名)は、3か月ほど前にイベント業者が主催する婚活パーティに参加しました。そこで35歳の男性とカップリングし、おつきあいをすることになったというのです。

「青山のレストランでのパーティでした。その後、2人で散歩がてら表参道まで歩いて、ワインバーに行きました。見た目もタイプだったし、年下といってもうんと下なわけではない。話題も豊富で楽しかった。その日の別れ際に、『結婚を前提におつきあいしてもらえませんか?』と言われました」

 お互いに一人暮らし。3度目のデートで、彼が一人暮らしをしているアパートに行き男女の関係になりました。それからは、お互いの家を行き来するようなデートが多くなりました。

「出会って1か月くらいたった土曜日の夜に、私が家で夕食を作っていたら、彼が『ビールがないから買ってくるよ』と、近所のスーパーに出かけたんですね。そしたら、テーブルの上に置いてあった彼の携帯に電話がかかってきて。

 それをふと見たら、「美智子」(仮名)という女性の名前が出ていたんです。仕事関係者や友達だったらフルネームでアドレス帳に入れるじゃないですか。名前だけで登録しているのは、絶対に親しい間柄だと思ったんですよ」

 帰ってきた彼に聞きました。

「携帯が震えて、見るつもりもなかったんだけど、ふと見たら“美智子”って出ていたけど」

 一瞬ギクッとしたものの、彼は笑いながら言ったそうです。

「怪しんだ? 妹だよ。何だろうな。今度、実家で母親の誕生日祝いをやろうといっていたから、そのことかな」

 妹と言われたものの女の第六感が働いて、モヤモヤは消えなかったそうです。というのもそれ以降、電話がかかってきても、LINEが入ってきてもトップ画面に表示されなくなったからです。表示機能をオフにしたのでしょう。

スマホ画面に出てきたLINEの1行がウソをあばく

 ある時、彼が携帯を新機種に変えました。その日は、佳恵さんの家に遊びに来ていたのですが、夕食後もお酒を飲みながらも、ずっと携帯をいじっていました。そして、そのままソファで寝入ってしまった。

 その時にLINEが入ってきました。子犬のアイコンに「しおり」(仮名)という登録名。そして、「パパ、月末は帰ってくる?」と画面に1行表示されていました。

 ずっと抱えてきたモヤモヤが一気に爆発。彼が持ってきていたバッグを持ってトイレに入り、鍵をかけて中身の検査を始めました。そして、見つけ出した免許証を見て、びっくり!!

 部屋に戻ると、寝ていた彼を叩き起こしました。

「ねぇ、今、“しおり”って子からLINEが入ってきたわよ。“パパ、月末は帰ってくる?”ってどういうこと? あと、これは何?」

 免許証をつきつけました。免許証の生年月日から計算すると、彼は35歳ではなく42歳だったのです。

 彼は、半狂乱になっている佳恵さんを抱きしめ、オイオイ泣きながら言ったそうです。

「ごめん。ごめんな。軽い気持ちで参加した婚活パーティだったんだ。でも、佳恵と出会って、本気で好きになっちゃって、失うのが怖くなった。それで本当のことが言えなくて、ズルズルとここまできてしまった」

 男性は実は既婚者で、単身赴任中。他県には奥さんと小学生の娘さんが2人いることがわかりました。ふたりが出会った婚活パーティには、会社の後輩の保険証を借りて、年齢を偽って入ったというのです。健康保険証は、身分証明書になりますが、写真がついていないので本人確認はできませんよね。

半年間のうちに結婚相手を見つけたい

 その後、彼とは別れたと思いきや、ズルズルとまだ関係が続いているといいます。

「既婚者だということがわかって別れようと思いましたが、LINEや電話が毎日きて。アドレスや番号をブロックすればよいのはわかっていたけれど、彼のことをすごく好きになっていたから、追ってこられると断ち切れなかった。

 赴任は2年の予定だから、あと半年で地元に戻るというし、家族の元に戻ったら、この関係も終わる。ならば、あと半年は期間限定でつきあっていてもいいかなって。ただ、彼がいなくなった時に、すごく寂しくなるだろうから、並行して婚活をして、この半年間のうちに結婚相手を見つけたいんです」

 とはいえ、私のところに入会する決意もまだつかなかったようで、入会案内や料金表をバッグにしまい、「自宅でよく考えて、2、3日中にお返事します」と言って帰っていきました。

 その後、佳恵さんからの返事はありませんでした。他の相談室に入ったのか、婚活アプリなど他の手段で婚活を始めたのか、わかりません。もしかしたら婚活をせずに既婚男性との関係をズルズルと続けているのかもしれません。

 ご自身の人生はご自身のもの。そして、人生の岐路に立たされた時に、どんな道を選択するかは、ご自身です。

 ただ、古い靴を履いていたら足が塞がっているので、新しい靴は履けませんよね。既婚者の彼と会っている時間に婚活はできません。付き合っている男性がいたら、寂しくない。本気で婚活に臨まないと思います。

 さらに言うなら、結婚は、「選ぶこと」と「選ばれること」がイコールにならないと成立しません。既婚者を相手に恋愛をしていても、この法則は成り立ちません。また、「結婚」は「決断」ですから、どこかで腹をくくらなければ、結婚相手は見つからないのです。


鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『最短結婚ナビ』http://www.saitankekkon.jp/