遺体が遺棄されていた容疑者宅の庭の一画。狭いスペースだった

 

「3月4日に車内で口論になった妻が我孫子市内で車を降りてから戻ってこない」

 それはとんだ猿芝居だった。

 嫁の遺体を実家の庭先に埋めたとして千葉県警柏署は7月18日、同県柏市の銀行員・弥谷鷹仁容疑者(36)と実母で茨城県取手市の会社役員・恵美容疑者(63)を死体遺棄の疑いで逮捕した。

いわゆるマザコン

 捜査関係者によると、鷹仁容疑者は「首を絞めて殺した」と妻・麻衣子さん(30)殺害をほのめかす供述をしているという。

「3月6日、鷹仁容疑者は警察に麻衣子さんの行方不明届を出していた。しかし、周辺の防犯カメラ映像を調べても妻が車を降りる様子が確認できないなど不審な点があったため、任意で事情を聴いていた」(全国紙社会部記者)

 鷹仁容疑者は犯行後、母親に泣きついたとみられる。恵美容疑者は自首を促すどころか共謀し、3月4日に母子の共同手作業で庭先に穴を掘り、麻衣子さんの遺体を隠した。

「“息子を守りたかった。頼まれて手伝った”などと供述しているそうだ」(前出・記者)

 鷹仁容疑者は3兄弟の長男。実家では両親と90代の母方の祖母の3人が暮らしていた。

中学時代の弥谷鷹仁容疑者(卒業アルバムより)

「鷹仁容疑者はいわゆるマザコン。お母さんが大好きだったそうで、お母さんの言うことは正しい、絶対だと思っていたらしいです」

 と、中学の同級生の父親は明かす。一方、恵美容疑者は「社交的なお母さん」との評判もあったものの……。

「恵美さんははっきりした人。もし息子さんがいじめられていたら黙って我慢するタイプではない」(別の同級生の母親)

「PTAの役員を務めたこともあり、学校に細かい要望やクレームを入れる“モンスターペアレントだった”って聞きました」(別の保護者)

 兼業主婦で夫と食品加工会社を経営。遠赤外線を利用したオーブンレンジの開発やピザなど食品の製造、販売。カフェも開くなど、いろいろなことに手を出していた。 

 鷹仁容疑者は獨協大学法学部を卒業後、千葉興銀に就職、2012年に現在のきらぼし銀行に転職した。麻衣子さんとは前の職場で出会い、結婚。一昨年には娘も誕生している。

平然と尋ね人のビラを配る夫

麻衣子さんの行方を探すビラまで作っていた

「以前、散歩中の恵美さんとお嫁さん、お孫さんに会ったことがあります。麻衣子さんのことは“うちのお嫁さんなのよ”って紹介されました」(実家近所に住む女性)

 麻衣子さんの“失踪”を偽装後、恵美容疑者は毎週のように孫を預かり、近所を散歩したり、鷹仁容疑者や麻衣子さんの両親とJR常磐線柏駅などで尋ね人のビラを配るなど、素知らぬ顔で嫁を探すフリを続けていた。

 カウンセリングルーム「ウィル(WILL)」の心理カウンセラー・西橋康介氏は鷹仁容疑者が母親に泣きついた心理を、

「親の過干渉が続くと、子どもは自分で考えることができなくなります。どうすることもできず、母親を頼ったのでしょう。普段から自立して物事を判断できなかったことは、夫婦関係にも影響したと考えられます」と指摘する。

 実際、麻衣子さんはSNSに夫への不満や子育ての悩みを投稿していた。

「過干渉、過保護な親は自分の不安な気持ちをコントロールできず、子どもより先に手を出す傾向があります。自分がなんとかしないといけない、と思い、犯行に及んだ可能性は高い」(前出・西橋氏)

 家族は、母子の逮捕をどのように受け止めているのか。

 実弟は取材に対し、

「義姉のことでもあり、あまりのことに動転し、気持ちを表す言葉が見つかりません」

 と書面で回答した。事件のあった家はひっそりと静まり返ったままだ。

 夫婦関係や嫁姑問題に危険な兆候はあったのか。

 麻衣子さんの実家を訪ねると、父親がインターホン越しにか細い声で、

「お話しすることは控えさせてください。すいません。そっとしておいていただきたいんです」

 息も絶え絶えに、どうにか言葉をつなぐのが精いっぱいという様子だった。