日経ドラマスペシャル『琥珀の夢』テレビ東京系 10月5日(金)夜9時~

『サントリー』創業者の鳥井信治郎をモデルに、日本の洋酒文化を切り開いた男の生きざまを描いたヒューマンドラマ『琥珀の夢』。原作は、伊集院静の初の企業小説。

 内野聖陽が演じる主人公は、日本初のウイスキー造りに心血を注ぎ、やがて世界に冠たる洋酒メーカーの創業者になる鳴江萬治郎。

 幼少期の萬治郎は、大河ドラマ『西郷どん』で注目される渡邉蒼が演じている。

20代から晩年まで演じ分けに注目!

「内野さんへのオファーには、迷いがありませんでした。非常に熱量の高い萬治郎役を演じられる方は、熱いお芝居で魅せてくれる内野さんしかいない

 と、阿部真士プロデューサー。内野は役作りのため、サントリーの蒸溜所を訪れ、実際のウイスキー造りを取材。洋酒文化の歴史に触れ、創業者の洋酒にかける魂を学んで臨んでいる。

勉強熱心で知られる内野さん船場言葉のセリフを方言指導の先生に“これでいい?”と細かく確認する作業は、撮影が始まってから終わるまで、ずっと続いていました

 船場言葉は、関西弁とも若干違うので、関西出身の俳優さんたちも苦労していました。

 内野さんがもっとも苦労されたのは、20代から晩年まで非常に長い期間を演じること。明朗で無邪気な20代に始まり声の高さや表情、動作の強弱など芝居をちょっとずつ変え、年代ごとを見事に演じていました」(阿部P、以下同)

セリフがある役64名

萬治郎が製造した葡萄酒に家族も大喜び

 ほかのキャスティングは困難を極めたそう。

「セリフがある役だけでも64名もいますから(笑)。

 なかでも萬治郎の母親役には苦労しました。萬治郎の出産シーンから登場し、萬治郎役につぐ長い年代を演じる難易度の高い役。無理を言って原田美枝子さんに受けていただきました

 個性的な役が多い生瀬勝久さんは、とにかく弟思いの兄役を好演。限られた登場シーンながらインパクトのある演技を見せてくれた女給役の倉科カナさんにもご注目ください」

“やってみなはれ”

国産ウイスキー造りは困難を極めるが、萬治郎は決してあきらめない

 明治12年に生まれた萬治郎は少年時代、海の向こうから昇る太陽で、あたりがキラキラと輝き出す“琥珀の夢”を見る。折に触れて蘇るこの夢とともに物語は紡がれる。

 13歳の萬治郎は、奉公先で開発を手伝った葡萄酒に興味を持つ。そして、日本一の葡萄酒を完成させたいと思う。

 20歳になって洋酒の商いを始めようと思い立った萬治郎。兄から贈られた軍資金を持って神戸へ向かうが、乗り込んだ豪華客船での出来事が、彼の人生を大きく変える──。

「兄や妻たちが萬治郎に言う“やってみなはれ”は、今作のキーワード。

 順風満帆の立身出世伝ではなく、萬治郎は信じた人からの裏切り、震災などの苦境に立たされることばかりです。それでも、温かくも心強い“やってみなはれ”精神で、あきらめることなく、挑戦を続けていきます」

内野の存在感

 台本にないアイデアやアドリブの提案もしているという内野も、こう語る。

「ドラマを見たみなさんにも“やってみなはれ”の言葉が届くといいな、なんて思ってます」

 猛暑の中での撮影だったが、座長、主人公としての内野の存在感で、現場のチームワークは良好。

「印象的だったのは、役作りに迷っていた倉科さんが、現場に入られて内野さんを前にしたら、一気に迷いが消えて演じきれた、と」

 萬治郎の生きざま、家族愛、兄弟愛に加えて商人としてのお金の考え方や(サントリーが)商売するうえでの広告の役割の重要さなど、名言&豆知識も盛り込まれている。

「原田さんは初めて飲んだお酒が(劇中の葡萄酒のモデルになっている)『赤玉ポートワイン』だったそうです。ワインやウイスキーのグラスを傾けながらご覧になって、萬治郎から元気をもらってください!」

衣装も小物も建物もお金と手間暇かけました!

忠実な時代考証のもとで再現されているセット

 ワインやウイスキーのボトル、衣装、商店の店先まで、劇中に登場するものはすべて、忠実な時代考証のもとで再現されている。

「日本全国でのロケ、大がかりなセットを何度も建て直し、ひとつひとつの小道具にまでお金をかけたので、ドラマ1時間あたりの制作費は、最高レベルかもしれません(笑)。原田美枝子さんは、“こんな素敵なセットの中で演じられて幸せ”と感激してくださいました」(阿部P)

 萬治郎が“天道ポートワイン”の宣伝のために乗り込んだのは、レトロなバイク。1920年代のもので塗り直しをしていないというレア品。『開運!なんでも鑑定団』で紹介されたこともあるそう。必見です!

塗り直してないレアでレトロなバイクは必見!