火災現場のアパートは発生4日後もまだ焦げたにおいが漂っていた

 東京都調布市のアパートの一室で10月19日午後6時半ごろ出火、2人が死傷した。

「この部屋に住む30代の男性が死亡し、同居していた20代の女性は右半身をヤケドする重傷を負った」

 と捜査関係者。

 近隣住民によると、夕飯時の住宅街には「助けて! 助けてぇー!」という、被害女性の金切り声が響いたという。

手錠をした男女が火だるまに

「2人は別れ話をきっかけにトラブルになったらしく、男性は部屋の中でガソリンをかぶって自ら火をつけたそうです」(消防団の男性)

 同じアパートの住人は火災直前、2人が言い争う大声を聞いている。近所の70代男性は2人が救出される瞬間を目撃していた。

「男性は火だるまで、女性も右側が燃えていました。最初はガス爆発かなと思っていたんですが、手錠が見えたのでおかしいな、と思いました」

 その場に居合わせた目撃者が驚いたのは、救出された男性の左手と女性の右手が手錠でつながれていたことだった。

「女性は救出された後“男性から手錠をかけられた”と話した。男性が無理心中を図った可能性があるとみて調べている」(前出・捜査関係者)

 現場は京王線布田駅から徒歩5分ほどにある鉄骨造2階建てアパート。火元の部屋は1階にあり、2DK約30平方メートルがほぼ全焼した。ほかの部屋に延焼しなかったのが幸いだった。

 男性の身元は劇団員・東樹さん(芸名)。福岡県出身でお笑い芸人を目指して上京し、俳優に転向。20分程度のショートムービーの映画監督をすることもあったという。

 東さんの知人男性は、

「2人は今年初めごろから同棲していたようです」と話す。

燃える男性を引きずって

「現場の部屋には3年ほど前に引っ越してきて、最初は友人男性とルームシェアしていました。ときどき部屋でセリフの練習をしたりして、楽しそうにやっていましたよ。でも、女性と暮らすようになってから芝居の稽古に身が入らなくなってしまった」(同男性)

 女性と知り合った経緯はわかっていない。

役者だった東樹さん。写真は2016年に撮影されたもの(所属劇団のホームページより)

 東さんを知る演劇関係者は、無理心中を図るような要因について「全く心当たりがないだけにショック」と話す。

「舞台や映像で表現したいことがあったようで一緒に飲むと夢を熱く語るタイプ。反面、言いたいことがあっても言えずにため込むなど難しい性格でもあった。

 思い詰めやすく直情的なため、所属事務所を突然辞めて迷惑をかけたことがある。根は気さくでいいやつなんだけど」(同関係者)

 火災当日、東さん宅前には中年女性の姿があった。119番通報した近所の主婦が振り返る。

「通報後にアパートに駆けつけると、中年女性が玄関のドアを強く叩き“中に人がいるんです!”と叫んでいる。しかし、カギがかかっていて開かなかった。突然ドアが少しだけ開きました。

 中の女性が燃える男性を引きずって玄関までたどり着き、自力でカギを開けたんです。まだチェーンキーがかかっていたため外からねじ切り、2人を部屋の外に出しました。男性の身体は焼けただれて硬直し動きませんでしたが、女性は意識がありました」(同主婦)

 女性を病院に搬送後、中年女性はアパートの前で同年配の男性と寄り添い泣きじゃくっていたという。

「中年女性と中年男性は女性の親族のようで、すぐ駆けつけられたのは女性が危険を察知し連絡していたからかもしれません」(同)

 女性の回復を願うばかりだ。