世界中から優秀な学生が集まるハーバード。同学年に日本人は高島さんともう1人だけ

 日本随一のエリート輩出校である東京大学。しかし昨今では、そんな東大を蹴って海外のトップ校を目指すツワモノもいる。

 東京大学を中退し合格率4・5%の超難関校、ハーバード大学へ進学した高島崚輔さん(21)。名門・灘高校を卒業後、'15年に東京大学文科1類に合格、進学を決めた直後にハーバード大学にも合格。同年秋に東大を中退しハーバード大学へ。現在、休学を経て3年生となった。

ハーバード以外は受からなかった

 環境やエネルギー政策に興味を持っていた高島さん。

「高校2年のとき、ハーバードに進学していた先輩から“高島は海外大学に向いていると思う”と言われて初めて興味を持ちました」

 先輩の強いすすめを受け翌月、ボストン近郊のハーバード大学に見学へ。

 日本の大学は、受験の際に学部を決めて、その専攻を中心に学ぶことが一般的だが、アメリカの大学は半年ごとに授業を選択し、幅広い角度から興味を深められる。このような教育システムにも惹かれて受験を決めた。

 出願に必要となるのは、ハーバード大学の場合、高校の成績と高校の先生の推薦状、SATという適性試験とTOEFLのスコア、それからエッセイだ。

1年半休学し、世界中の自然エネルギーを視察。写真はオランダにて

「最も難しいのがエッセイで、“あなたの失敗経験と、そこからの学びを教えてください”などの設問があり、エピソードを交えながら英語で答えます。これで何を判断しているのかというと、“どんな人物で、校風に合っているか”。高校までの成績がよくても、“うちの大学には合っていない”と判断されれば不合格になります」

 アメリカの名門イェール大学とプリンストン大学も受験したが、合格したのはハーバード大学のみだったそう。

「海外の大学は特に個性が強いので、大学を訪れたり学生に会ったりして校風が自分に合っているか確かめるのは大事だと思います」

国連会議をシミュレーションする『模擬国連』の様子。高島さんはこの経験を入学審査でアピールした

 気になるのは学費。ハーバード大学では、寮費や学費、生活費込みで年間約7万ドルかかる。日本円で約770万円、4年間で約3000万円となる計算だ。

“払える分だけ払ってくださいね”

 しかし、同大学は卒業生の寄付が多く、奨学金などの支援制度が充実している。年間所得が6万5000ドル(日本円で約700万円)以下の場合、寮費や生活費を含め、留学費用が無料に。学生の約20%はこれに該当、約70%が何かしらの奨学金をもらっているという。

「アメリカの奨学金には、能力のある学生に与えられる『メリット型』と、家庭の収入に応じて与えられる『ニード型』があります。ハーバードは完全に後者で、“払える分だけ払ってくださいね”というスタンス。アメリカの大学の奨学金は基本的に返済不要なんです。僕自身、留学費用の多くは、この奨学金でまかなっています」

 学費以外にも、アメリカで学ぶことのよさはある。

「ハーバード生は、大学の授業だけでなく、自ら積極的に学外に行って活動します。アメリカの場合、こういった活動も学業の一環だととらえられていて、研究資金が出たりサマープログラムに参加すると単位が与えられたりするケースも。学びたい欲求をバックアップしてくれる環境は非常に整っていると感じます」

NPO法人留学フェローシップの理事長として、日本の高校生へ海外大学進学情報を伝える活動も

 高島さんは世界の再生可能エネルギーについて学ぶ傍ら、海外進学を目指す高校生を支援するNPO法人『留学フェローシップ』の理事長も務める。全国の教育委員会や高校で進路を考えるセミナーを開催中だ。

 最後に、海外の大学に行くために必要なことを聞いてみた。

「ひと言でいうと自立心、つまり自分の力で歩んでいける力があるということ。あとは、どんなシーンでも自分の意見を持つこと。英語ができないからと尻込みされる人もよくいますが、英語が話せないのは語学力の問題ではなく、意見がないからという場合が多い。話す中身さえあれば語学力はいくらでもカバーできます」