役割分担がしっかりできていた宮崎文夫容疑者(右)と喜本奈津子被告

「あの人は帰ってきていませんよ。事件発覚当時から実家は無人のままです。これだけ有名になると、新しい仕事を探すのは難しいかもしれないけれど、留置場では十分考える時間があって反省しただろうから帰ってくればいいのにね」

 と近所の女性は話す。

逮捕前、ふたりの関係が見えた瞬間

 常磐自動車道のあおり運転殴打事件に絡んで犯人蔵匿・隠避の疑いで逮捕された会社員・喜本奈津子被告(51)がさきごろ、罰金30万円の略式命令を受けて釈放されたことが一部報道でわかった。

 一方、24歳男性ドライバーを殴って傷害の疑いで逮捕された会社経営・宮崎文夫容疑者(43)は、被害者の車をあおって無理やり停止させたなどとする強要の疑いで再逮捕されたから明暗くっきり。

 釈放された喜本被告に話を聞くため神奈川県川崎市の実家を訪ねたところ、冒頭の女性が「ここには戻っていないわよ」と言うのだった。

 喜本被告は事件当時、交際相手の宮崎容疑者が所有する大阪市東住吉区内のマンション一室で暮らし、宮崎容疑者が経営する不動産業を手伝っていたとされる。ふたりが交際を始めたのは今年初めとみられ、喜本被告は交際前まで地元・川崎に住んでいたことが『週刊女性』の取材で判明している。

 指名手配中の宮崎容疑者が確保されたのは大阪市の自宅マンション近く。「喜本さーん、手をつないで!」と大声を出していた映像でもわかるように、多くの周辺住民らがその逮捕劇を目撃しており、常識的に考えると大阪には帰りにくいはずだった。

 また犯行後、ふたりが一時的に住んでいたとみられる東京都品川区のアパートは警察の家宅捜索を受けており、こちらも近づきにくいと考えられる。

 なぜ、川崎に戻っていないのか。

 直撃取材を避けるためかもしれないが、川崎の実家近くの男性住民が“宮崎容疑者との本当の関係性”をうかがわせるエピソードを教えてくれた。

 男性住民によると、それは今年5~6月の日中のことだったという。

「実家前に軽トラックを停めて、ふたりで大型の冷蔵庫を運び入れようとしていたんです。ところが、間口が狭かったのか、すぐには搬入できなかった。男から“冷蔵庫を押さえておけ!”と命令された喜本被告は片手を冷蔵庫にかけ、意味なく路上にたたずんでいた。もう片方の手は例のガラケーをピコピコいじっていました」(男性住民)

 なかなか搬入準備は整わず、そのシチュエーションは周囲があきれるほど長く続いたという。

「男はイラだって“もう少し押さえてろ!”と怒鳴ったり、ずいぶん横暴でしたが、喜本被告が言い返すことはなかった。別に冷蔵庫は押さえていなくても倒れないのにね。結局、喜本被告は2時間近くそうやって押さえていたんですよ。完全に男が威張っていて、その男が宮崎容疑者だったんです」(同住民)

 その光景からは「絶対服従」の4文字が浮かぶ。であれば交際相手の故郷・大阪に戻った可能性もゼロではない。

子どもが描いたような拙い字で…

 宮崎容疑者宅マンションを訪ねてインターホンを押すと返事はなかった。近所の住民は「大阪には帰ってへんと思う」として次のように話す。

「宮崎容疑者宅のポストは郵便物がたまりっぱなしだし、室内からは物音も聞こえてこない。ただ約1週間前、夜中に宮崎容疑者の部屋に出入りする音が聞こえてきたことがあった。喜本被告が釈放されたというニュースが出るよりもっと前だったから、喜本被告ではない。親類か知人ではないか」(同住民)

 この住民は事件が報じられるまで、喜本被告が宮崎容疑者の交際相手とは思いもしなかったという。

「その前に宮崎容疑者が付き合っていたのは、20代でスラッとしたモデル体型のロングヘアの女性だった。ずいぶん泣かしていたけれど。喜本被告はよく緑色のひざ丈のスカートをはいていましたが、髪はぼさぼさで外見を気にしているようには見えなかった。宮崎容疑者とは別の部屋で暮らしていたみたいですし。喜本被告は釈放後、その部屋にも出入りした様子はないみたい」(同)

 別の住民によると、宮崎容疑者は周辺にたびたび迷惑をかけていたという。マンション住民用の駐輪場スペースに自分の車を2台置くため、住民の自転車を勝手に移動して路上に放置したほか、早朝4時ごろに突然、マンション内で喜本被告と水まきを始めるなど怪行動をとっていた。

大阪市東住吉区のマンション住民用駐輪場には今も宮崎容疑者の車が2台あって

 そもそも評判が悪かったことに加え、事件発覚後にはショッキングな出来事も……。

「宮崎容疑者に宛てて、子どもが書いたような拙い字で『つかまってバツをうけろ』と書かれたハガキが送られたらしい。さすがにもう、大阪では暮らせないのではないか」(地元関係者)

 宮崎容疑者をめぐっては、6月に浜松市の新東名高速道路でトラックにあおり運転をしていた疑いが新たに浮上。追突事故を誘発した可能性が取りざたされている。余罪はほかにもあるとみられ、どこまで事件化できるか見通しは立ってない。

 喜本被告は今後、被害者らとどう向き合うのか。宮崎容疑者との関係を清算するのか、それとも手をつなぎ直すのか。いずれにせよ、再出発への道のりは険しい。