ある日、女子大生・由梨(小坂菜緒)と幼なじみの真人(萩原利久)のもとに、差出人不明のパーティーの案内が届く。参加者には10万円の贈呈。だが、パーティー会場となるキャンプ場を訪れた彼らに、不気味な日本人形がつきまとう――。
(左から)わちゅ〜、TSUBASA、萩原利久、大輝、Jun 撮影/吉岡竜紀

 日向坂46・小坂菜緒さんが初主演を務めるホラー映画『恐怖人形』。ヒロインの幼なじみ役を演じる萩原利久さんと、主題歌『SPIRAL』を歌うThinking Dogsに、映画の見どころ・聴きどころをインタビュー!

――『恐怖人形』の主題歌、『SPIRAL』をお聴きになっていかがでしたか?

萩原すごくカッコよかったです! サビが印象的で、ずっと頭に残ってます。“ホラー映画だから、おどろおどろしい曲が来るのかな?”と、ドキドキしていたんですけど、カッコよくて、いい意味でマッチしていたと思います。作品自体もトントンとテンポ感のある映画なので、それも合っていたんじゃないかな。でも、ホラー映画の曲って難しいと思うんですよね」

TSUBASA「難しかったです(笑)。実は何十曲も作ったんですよ。それこそ、さっき萩原さんがおっしゃったおどろおどろしい曲もありました。映画の台本を拝見してから曲を作ったんですが、ただの恐ろしさというより、恐ろしさの本質に愛があるようなストーリーになってるじゃないですか。その愛ゆえに悲劇が起こってしまう、みたいな」

萩原「そうですね」

TSUBASA「その、根本にある“愛と哀しみ”の部分を、どうにかして曲で表せないか? と考えたとき、初めて僕らの中で“ちょっとラテン調にしてみようか”というアイデアが出てきまして。ラテンの“情熱の赤”のようなイメージもホラーにマッチすればいいなと思って作りました」

萩原「そうなんですか! 何十曲も候補があったんですね。聴きたい! 全部、予告編にあてはめてみたいな(笑)」

TSUBASA「こっちのほうが合う! って意見が出てきちゃったらどうしよう(笑)」

――萩原さんは、小坂菜緒さん演じる女子大生・由梨の幼なじみ・真人役を演じていらっしゃいます。真人とどこか共通点はありますか?

萩原「共通点はなんですかね……。真人は、とにかくいいやつなんですよ」

大輝「本当にいいやつでしたね。友達だったら、すごく心強いと思う」

萩原「演じるときも、自分が思う“いいやつ”を想像して膨らませてやっていました。“いいやつとは?”“人にやさしくなるには?”とか。なんとなく“いい人週間”みたいなものを心がけながら役作りをしました

わちゅ~「いい人週間(笑)」

萩原「あんなに人のために動けるなんて……。ま、劇中の設定とはいえ、“10万円欲しさに怪しいパーティーに行く”っていうのはどうかと思いますが。だけど、僕も速攻で“行かない”とは言わないので、そこが共通点でしょうか(笑)」

TSUBASA「好きな幼なじみも行くってなったら、行っちゃいますよね」

Jun「単なる好奇心でも行っちゃいそう」

萩原「ああ、好奇心はありますよね! 僕もわりと好奇心旺盛なほうなので。気になったことはやってみるし、ずっとハマってます」

大輝「今は何にハマってるんですか?」

萩原「僕、ずっと缶蹴りをやってるんですよ」

一同「缶蹴り!?」

強かったのは麻璃央くん

わちゅ~「缶蹴りって、あの缶蹴り……?」

萩原「はい。缶蹴りっていつしかやらなくなるじゃないですか。それが僕の場合、やらなくならなかったんですよ(笑)」

TSUBASA「誰とやってるんですか?」

萩原それこそ『恐怖人形』のロケ中、ごはん休憩のとき男子みんなでやりました。けっこう本気で、一試合10分くらいかけてじりじりじりじり……。僕、自分では強いと思ってたんですけど、『恐怖人形』メンバーには全敗でした」

“缶蹴り”トークで盛り上がる萩原利久とThinking Dogs 撮影/吉岡竜紀

一同「ええっ!?」

萩原「(黒羽)麻璃央くんとかめちゃめちゃ強くて。『恐怖人形』の男性陣、強かったです(笑)」

大輝「なごやかな現場だったんですね」

萩原「なごやかでしたね。撮影期間は一週間くらいだったんですけど、男子はみんな同じ部屋に泊まってて。初日からすごく距離感が近くて、僕は20歳、麻璃央くんは26歳と、年もバラバラなんですけど、すぐに打ち解けました。ホラー映画なのに、現場は和気あいあいとしてました」

TSUBASA「僕らも4人で一軒家に住んでるので、その感じとちょっと似てるかもしれない」

萩原「そうなんですか! 近いかもしれないです!」

本当の恐怖は“アレ”だった

わちゅ~「ところで、ホラー映画の撮影現場ってやっぱり怖いんですか?」

萩原「どうなんですかね? やっぱり“どうしたら怖く見えるのか?”とか、僕らの表情や人形を見た姿とかでお客さんに怖さを伝えなきゃいけない部分もあるので。現場ではけっこう冷静だと思います」

一同「なるほど」

TSUBASA「でも、作品の舞台になっている夜のログハウスなんて、いるだけで怖い気がしますが」

萩原「変な話、キャンプ場に泊まって、撮影が終わって、ロッジに帰るまでがいちばん怖かったです。撮影現場の照明ってすごく明るいじゃないですか。夜でもあれが一個ついてるだけで眩しいくらいなんですけど、あれがなくなると……。あ、僕いち個人の恐怖としては、寝坊が怖かったです!(笑)

一同「寝坊!?(笑)」

萩原「それがいちばん恐怖でした。起きるの苦手なので。みんな同じ部屋に泊まってたんですけど、1日だけ僕以外の人が30分早く出る日があって、バッと起きたら、“あれ、時間じゃん!!”って。あれはマジで恐怖でした。リアル恐怖でしたね」

――Thinking Dogsのみなさんは、寝坊は大丈夫ですか?

TSUBASA「僕はダメです(笑)。全然、起きられない」

大輝「僕らの場合、一軒家に住んでるので、“ライブがあります、○時に出発します”っていう時間に、クルマに乗り込んでこない人がいたら呼びに行きます。でも、そのときにはもう遅いっす(笑)」

TSUBASA「だいたい、俺か大輝が常習犯」

Jun「僕とわちゅ~は神経質なんで、寝坊はないですね」

わちゅ~「ないんですけど、僕は10分寝過ごしただけでも怖いっすね。やべえ、ここから間に合う!? って、冷や汗がダラダラ出ます」

萩原「恐怖ですね」

わちゅ~「恐怖ですよ!」

大輝「みんな、“恐怖”が寝坊じゃん(笑)」

萩原「恐怖ですよね(笑)」

好きって言っちゃえよ!

――“恐怖”といえば、映画ではどんどん身体が大きくなる日本人形が登場しますが、撮影が進むうちに、愛おしく思えたりしましたか?

萩原利久 撮影/吉岡竜紀

萩原「えーと、身長が90cmのときまでは(笑)。2mになってくると、顔もむちゃくちゃ大きいし。まあでも、ちょっと愛おしくはなりましたね。動き方がぎこちなくて、遠目に見てるぶんには可愛いなと思いましたけど、実際ドアを開けて目の前にいたりすると、すごく大きいから、顔が!」

大輝「目もでっかいじゃないですか」

萩原「そう! とにかく大きくて、チェーンソーとか持ってるし。手をつかまれると、感触も人形の手なので“おおっ!”ってなりましたね。今回の作品で、日本人形が完全にホラーのイメージと結びつきました」

――そんな真人は、関係を壊すのが怖いのか、なかなか由梨との距離をつめられません。

萩原いやなんか、いいですよね……。“もう好きって言っちゃえよ!”って思ったりするじゃないですか。幼なじみで、ずっと一緒にいて、可愛くてどこへでもついてきちゃって。僕も、大学に行けるなら、ああいう大学生になりたいです」

TSUBASA「僕、大学行ってましたけど、なかなか……」

萩原「あんな可愛い幼なじみがいたら妬まれますよね。絶妙な距離感じゃないですか。あの距離を保つってなかなかの選択ですよ」

Jun「ずっとシュートを決めない感じというか」

萩原「ちょっと押せばゴール入るでしょ、くらいの距離にいる気がするんですけど」

TSUBASA「でも、女性も踏み込まないっていう点では、女の子の小悪魔的な部分もちょっとあるのかも。女の子も押さない。押せば行けるのに、みたいな」

萩原「もしかしたら待ってるんですかね」

TSUBASA「真人、応援したくなりますね……!」

映像と音楽、どちらも楽しんで

――そんな、さまざまな恐怖(!?)を乗り越えて役作り、曲作りをされたみなさま。『恐怖人形』の見どころ、主題歌の聴きどころを教えてください。

萩原なんといっても、すごくスピード感のあるホラー映画です。あんなに大きくなる人形も、なかなか見たことがないと思います。なので、人形をいちばん楽しんでもらえたら、この映画をよく味わってもらえるんじゃないかな。怖いと思うのか、愛おしいと思うのか……。人によっていろんな見え方があると思うので、おのおのの捉え方で人形を見てもらえたら、とても楽しんでもらえると思います」

TSUBASA「楽曲として、ちょっと脳裏に焼きつくようなメロディーを入れたいと思って作りました。少し不思議なリズムというか、音楽的に三連のリズムがサビに入っていて、そういうところもこだわって作ったので、細かいところまで聴いてほしいです。“曲が映画とどのようにマッチしてるのかな?”という点も、作品と一緒に楽しんでいただけたらと思います!」

大輝今回、ボーカルのTSUBASAが歌詞を書いているのですが、映画を見て、曲を聴いて、歌詞を見ると、“ああこの歌詞はこのことを言ってるのかな”と、思いをめぐらせる楽しみ方もできるかなと。また、映画の中でTSUBASAのボーカルとJunのアコギだけのトラックが流れているシーンがあって、それはCDに入っていないんですよね。映画を見ないと聴けないので、ぜひ映画を見て聴いてほしいです」

わちゅ~「『SPIRAL』はボーカルのTSUBASAとギターのJunが書いてくれたんですが、メロの三連の動きやギターの動きなど、いろいろなギミックが考えられてちりばめられているので、そこを聴いていただきたいなと思います。あと、MVにはヒロイン役の小坂菜緒さんに出ていただいたので、そちらもあわせてお楽しみいただけたらうれしく思います!

Jun「初めてスパニッシュに挑戦させていただきました! ガットギターというラテンでよく使われるクラシックギターがあるんですが、『SPIRAL』はそちらを初めてレコーディングで使用した楽曲になります。僕の新しい一面がたくさん詰まっていると思いますので、ぜひそこを聴いていただきたいです」

――こだわりの詰まったすごく素敵な曲ですが、萩原さん、カラオケで歌われたりするご予定は?

萩原「難しいですよ。僕ぜんぜん歌うまくないので。でも、どこかでチャレンジしてみます!」

TSUBASA「『SPIRAL』の歌唱ポイントは、息継ぎですね。息継ぎの位置さえ押さえればたぶん大丈夫です!」

萩原「息継ぎですか! カッコいいのでぜひ歌いたい。練習してみます」

TSUBASA「舞台挨拶のときとか? 演奏は準備しておきますんで(笑)

萩原「わ! それこそいちばん恐怖かも(笑)」

<プロフィール>

萩原利久 撮影/吉岡竜紀
はぎわら・りく◎1999年2月28日生まれ。埼玉県出身。2008年に芸能界デビューし、ドラマ『3年A組−今から皆さんは、人質ですー』('19年)や映画『十二人の死にたい子どもたち』('19年)などに出演。
Thinking Dogs 撮影/吉岡竜紀
Thinking Dogs◎2015年『世界は終わらない』でメジャーデビューした4人組ロックバンド。4LDKの一軒家で共同生活中。11月24日、千葉のDOMe柏よりツアーがスタート。12月20日にツアーファイナルワンマンライブが赤羽ReNY alphaにて開催。
映画『恐怖人形』11月15日公開
出演/小坂菜緒(日向坂46) 萩原利久 黒羽麻璃央 ほか

<構成/Officevictorianjet>