生きていれば、いろいろな出来事に出くわします。それをプラスに捉えるかマイナスに捉えるかは、その人次第。 

 婚活ライターをしながら、仲人としても現場に関わる筆者が、目の当たりにした婚活事情を、さまざまなテーマ別に考えていく連載。今回は、「起こる出来事をマイナスに捉える人は、婚活も仕事も人生も後退していく」です。

写真はイメージです

マイナス思考、マイナス発言の夫に離婚を決意

 入籍から半年で離婚をした小百合さん(42歳、仮名)が、「また婚活を始めたいので、再入会させてください」と、事務所にやってきました。1つ下の洋介さん(仮名)と入籍して、たった半年の結婚生活。離婚してさぞ傷ついているのかと思いきや、晴ればれとした顔をしていました。

 小百合さんに、離婚理由が何だったのかを尋ねると、こんなことを言いました。

「元夫は、典型的なマイナス思考の人。何でもマイナスに捉えるんです。だから、生活をしていて、ちっとも楽しくなかった」

 例えばどんなふうだったかというと‥‥。

「一緒に暮らしだして間もなくのこと、母がお友だちと京都旅行に行って、清水焼の夫婦茶碗をお土産に買ってきてくれたんです『お母さんが仲よく使ってねって言ってたわよ』と見せたら、『茶碗なら100円ショップので十分なのに。清水焼って高いんだよね。割ったら大変だなぁ』と。すべてがそういう受け答えになるんですよ。だから会話をしていても楽しくなかったし、毎回、嫌な気分になっていました」

 また、朝起きてカーテンを開けたときに、どんな天気でも必ずマイナスな言葉を発するのだとか。雨だと「雨の日って鬱陶しいよね。いつまで降るんだろう」、サンサンと晴れていると「今日は日焼けするな。汗もかくし嫌だな〜」、曇っている日は「湿度が高くで、ムシムシするな〜」という具合だったそう。

 小百合さんは、私に言いました。

「その日の天気って、人の力では変えられないですよね。どうにもならないことに、文句を言っても仕方ないじゃないですか。最初は『恵の雨っていうじゃない?』とか、『日焼けしないように帽子をかぶって行ったら? 最近は日傘男子とかいうのも流行っているらしいよ』とか、『私乾燥肌だから、湿度が高いほうが肌の調子がいいわ』とか、なるべく会話をいい方向に持っていこうとしていたんです。でも、次に返ってくるのがまたマイナス発言。一緒に生活していくうちに、私も会話をすることに疲れてきて、彼が何を言ってもスルーするようになりました」

 新婚生活が始まって3か月後には、自分が早く帰宅したときには先に夕食をすませてお風呂に入って寝室へ、洋介さんが先に帰宅していたときには、手早く夕食を作り、会話もなくさっさと食べて、別行動。

 ひとつ屋根の下で暮らしていながらも、なるべく一緒にいる時間を少なくするようになっていったそうです。

 あるとき、実家の母親が足を骨折をして、入院することに。その様子を見に帰省し、2泊3日の実家暮らしをしたときに心身ともにのびのびして、食事もおいしく、晴れやかな気持ちになったといいます。

「自宅に帰らないといけない日の朝、気持ちがグッタリして、布団から起き上がることができなかった。“やっと結婚できたのだから”と、結婚生活にしがみついていたけれど、身体は正直でした」

 精神的に限界にきていると感じ、自宅に戻ったあと、洋介さんに離婚を切り出しました。彼は、青天の霹靂。いきなりの離婚話に納得しなかったそうですが、1か月話し合って、離婚が成立したそうです。

「再婚する相手は、プラス思考の人がいいです。そのほうが同じ時間を過ごしても楽しいはずですから」

 小百合さんは、しみじみと言いました。

結果がうまくいかないと、人のせいにする

 正造さん(37歳、仮名)は、裕美さん(35歳、仮名)と真剣交際に入って3か月になり、そろそろ結婚するかどうかを決める時期にさしかかっていました。しかし、正造さんから、「悩んだのですが、交際は終了にしようと思います」という連絡が入りました。

 交際終了を決断した理由は、こうでした。

「裕美さんは、何に対しても自分では決めない人なんです。『どこに食事に行こうか?』と聞くと、僕の行きたいところでいいと言う。テーマパークに一緒に遊びに行っても、自分から“何をしたい”“何のアトラクションに乗りたい”というのがなくて、僕の計画したことに乗っかってついてくるだけ。最初は、こっちがやりたいようにやれるし、女性側に振りまわされることがないから、楽だなと思っていたんです。でも、途中からその考えも変わってきました」

 というのも相手に従って、それがうまくいかなかったり、面白くなかったりすると、それを相手のせいにしてしまうからだというのです。

「ここのイタリアンは正造さんがおいしいと言うから来てみたけれど、味つけが濃いね」「このアトラクションに乗りたいと言うから来てみたら、すごい混んでるじゃない」「テレビで、これをお腹周りに巻くと痩せると言っていたから買ったのに、ちっとも痩せないわ」

 とっかかりは人から勧められたのかもしれません。でも、そのレストランに行くこと、そのアトラクションに乗ること、その商品を買うことを最終的に選んだのは裕美さん自身のはずです。

 そんな反応を見るにつけ、正造さんは裕美さんと一緒にいることに疑問を抱くようになりました。そして先日、仕事の愚痴をこぼす裕美さんの言葉を聞いているうちに、「彼女との結婚は、やめよう」と思ったそうです。

 裕美さんの愚痴は、仕事場の人間関係から学生時代の進路にまで遡っていきました。

「そもそも公務員になんてなりたくなかったのよ。本当にやりたかったのは、日本の歴史の研究をすることだった。大学も本当は○○大学に行きたかったのに、父親が『××大学に行け』と言うから、仕方なくそっちに行ったの。親の言うとおりに生きてきて、本当に嫌な思いばかりをしている」

 行きたい大学に行かなかったことも、やりたい仕事に就かったことも、すべてが親のせいでした。

 正造さんは私に言いました。

「どんな人生も山あり谷ありで、いいこともあれば悪いこともある。彼女と結婚してもしも悪いことが起こったら、『あなたと結婚したから、私の人生は不幸になった』と言われそうじゃないですか」

 親も、人生の先達も、友だちも、悩んでいるときにアドバイスをしてくれます。でも、そこで何を選んでどういう行動を起こすかは、ご自身の選択なのです。

 こうして正造さんは、裕美さんに交際終了を出しました。

 同じ事象でも、人によって捉え方が違います。でも、それをプラスに捉える人は前に進むことができます。マイナスに捉える人はどんどん後ろに下がっていきます。

 どちらの人生を送ることが幸せかは、みなさん、もうお分かりですよね。


鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『最短結婚ナビ』http://www.saitankekkon.jp/