鎌田さゆり氏と枝野幸男氏(ツイッターより。一部編集部で加工しています)

<選挙の道具などと、彼女にとって酷い中傷の表現はやめてください>

<使い捨てという表現は彼女にも失礼です。使い捨てならお世話しません>

 衆議院議員選挙の宮城2区で当選した、立憲民主党の鎌田さゆり氏。今、そんな鎌田氏の “ヤギ”を巡る言動が波紋を呼んでいる。

当選→里親へ→炎上→やっぱり自分で飼う

 鎌田氏が“彼女”と呼ぶのはヤギの「仙台メリー」のこと。選挙期間中、鎌田氏はメリーを引き連れ選挙活動を行ったり、一緒に散歩する様子をたびたびSNSにアップしていたが、当選後に一転。11月3日の夜に更新したツイッターで「最後まで責任を持って寄り添い育てることは困難」として、里親に育ててもらうことを報告したのだ。

 当選した途端にヤギを手放すという判断に、SNSでは「政治利用では」との声が殺到。厳しい意見が相次いだ。

鎌田さゆり氏とメリー(ツイッターより)

「鎌田さんのSNSに初めてヤギのメリーが登場したのは10月上旬。メリーは“草刈りのお手伝い”として、畜産農家からやってきたそうです。

 その後、SNSには鎌田さんがメリーを連れて選挙活動を行う姿が何度もアップされました。“草刈り助っ人”のはずが、なぜ、選挙活動に駆り出されたのか……疑問に思う人も多かったようです」(地方新聞の政治記者)

  “政治利用”や“ヤギをポイ捨て”の声に、鎌田氏は猛反論。<愛情注いで飼育してくださる里親さんの元生きる方がベターと判断したから><現実の様々なパターンを想定し先々を見通し備えておくのは悪いことでしょうか>(ともにツイッターより一部抜粋)とリプライなどで持論を展開した。冒頭の言葉も、その反論の一部だ。

 これまで動物好きをアピールし、動物愛護について、積極的に働きかけてきた鎌田氏。9月には女優であり、動物環境・福祉協会Eva代表の杉本彩と意見交換も行なっていた。

「だからこそ、今回の自分の行為が“政治利用”と言われることに納得いかなかったのかもしれませんね」(前出・地方新聞の政治記者)

 そんな物議を呼んだ“里親に育ててもらう”ツイートだったが、わずか16時間後に新たな展開を迎える。鎌田氏はメリーを里親に出すのをとりやめ、「一緒に暮らしていくこととなりました」と考えを一変させたのだ。

 これが批判を受けての結果なのかは不明だが、「炎上したから飼うの?」「問題点はそこじゃない」など、さらなる波紋を呼ぶことに。鎌田氏は見通しが甘かったと反省の弁をつぶやいたが、この一連の騒動は今もおさまっていない。

動物保護団体は「疑問を感じる」

「当選したから手放しますというのは、私もびっくりしました。しかも、飼えないから手放すと言っていたのに、一日も経たないうちに急に飼えるようになったとはどういうことだろうと……」

 そう話すのは動物保護団体『PEACE』の東さちこ代表。動物愛護の観点から、このニュースをどう見たのか。
 
「鎌田さん本人は非常に動物が好きだというアピールをされていたので、動物好きというのはわかったのですが、メリーさんにとってどちらがいいのかを考えた結果なのかなという疑問を感じました。

 動物愛護というと、自分が動物を愛しているということが強調されてしまうところがありますが、動物愛護ってそうではないんです。自分がどれだけ好きかということではなく、動物をどれだけ幸せにできるかということが重要。それを思うと、メリーさんを抱っこして選挙活動にまわっている姿も、不安に思いましたね」(以下カッコは、東さん)

 鎌田氏は“政治利用”をきっぱり否定しているものの、どういう意図であれ、選挙に動物を使うのを禁止してほしいと東さん。

SNSにはメリーとともに選挙活動を行う様子が度々アップされていた(ツイッターより)

「そもそも政治家にとって選挙期間中は非常に忙しい時期で、新しく動物を飼い始めるのは、普通では考えられない。(メリーがSNSに初めて登場したのが10月上旬だったのを受け)もしその時期に飼い始めたのなら、やっぱり選挙のために利用したのかな、と思われても仕方ないのかなと思います。

 2019年の参院選のとき、れいわ新選組の安冨歩候補が馬を引き連れ、選挙活動を行ったことがありました。あのときも、散々やめてほしいと訴えたのですが……。目立つから、注目を集めるからと選挙に動物を使うのはやめてほしい。動物に負担がかかるので、きちんと規制をしていただきたいです」

 今後は、一緒に暮らすと決めた以上、動物の幸せを第一に考えてほしいと言葉を続ける。

「実際にそこで飼われているのか断言はできませんが、SNSでの写真を見る限り、いまメリーさんが置かれている環境は、周りはコンクリートで草を食むようなところなく、小屋も犬小屋のようで十分な高さがありません。

 もし里親さんの方が、自然いっぱいのところで環境が整っているのだとしたら、メリーさんにとっては里親さんのもとに行ったほうが幸せという見方もあります。鎌田さんは周りの声に左右されるのではなく、動物にとって何がいいのか、きちんと考えてほしいと思います」

 鎌田氏のYouTube『かまちゃんねる』にメリーが初めて登場した10月6日の動画には、メリーを抱え、こう訴える鎌田氏の姿が映し出されていた。

「もし、もしも国会に戻れたら動物愛護法を真っ先にやりたいんです!」

 鎌田氏の動物好きに嘘はないのかもしれない。しかし、最後まで飼えないのなら、なぜ飼い始めたのか。なぜ草刈り助っ人のはずが選挙にも連れ出したのかーー。説明を求める声は、今も続いている。