吉祥寺・渋谷・京都の3店舗を構える、流行のスタイルの発祥といえるハンバーグ店『挽肉と米』。現状はどの店舗も大行列状態だ

 流行。それは生まれては消えるもの。“衣食住”すべてのジャンルで生まれる。食の流行、その最新は─。

「専門店が大量に出店されるほどの“社会現象”といっていいほどのブームが近年、多発的に起こってきました。タピオカ、高級食パン、唐揚げが代表的ですね」(飲食コンサルタント)

「ハンバーグ丼ブーム」の火付け役

 しかし、すべてのブームは淘汰され、一部を残して消え去るもの。

「ブームが終焉するいちばん大きな理由は当然ながら、ブームゆえに専門店が街にあふれたことにほかなりませんが、タピオカ店は木下優樹菜さんが親族が関わる店とトラブルを起こしたこと。唐揚げは『グランプリ』を取り仕切る協会が賞を“売る”ような行為をしていたこと。そして高級食パンは露出が多くなっていた“プロデューサー”に怪しさを感じる人が増えてきたことも理由でしょう」(前出・飲食コンサルタント、以下同)

近年は高級食パン店もブームになった

 ここ最近、陰りを見せている前出の3ジャンルに代わる新たなブームが生まれつつある。“ハンバーグ丼”だ。

「炭火で焼いたハンバーグを炊きたてのご飯にのせて提供するスタイルの店が増えています。メニューは基本的にシンプルにこの丼だけ、ですね」

 どのブームにも、やはり“火付け役”が存在する。

「“焼きたてのハンバーグを炊きたてのご飯にのせて提供する”という、このハンバーグ丼のスタイルの発祥といえる『挽肉と米』という店があります。都内を中心に複数店舗を構える人気ハンバーグ店オーナーが元大手広告代理店のクリエイター、元人気ラーメンチェーン社長と組んで始めた店です」

味の落ちる“パクリ店”が今後も増殖か

 同店は現在、3店舗を構えている。3店舗しかないのに、増えているというのは……。

「ハンバーグを焼いて、炊いたご飯にのせて丼にして出すというやり方はまねしようと思えばすぐにできるわけです。“焼きたて”も同じ。言ってしまえばファミリーレストランのハンバーグだって焼きたてですからね。“炊きたて”はどこまでを、つまり炊きあがってからどれくらい時間が経過したご飯までを炊きたてとするかによって難しさはありますが、まねしやすいスタイルではあるわけです」

 事実、ハンバーグ丼の店は増えている。

「外食チェーンを手広くやっている会社などがスタイルをまねて出店するケースが増えていて、だから“最近、ハンバーグ丼の店が増えている”という印象となっている。また挽肉と米はどちらかというと独特な店名といえますが、スタイルをまねた店も似たようなフォーマットの店名にしていることも増えた印象を抱く理由の1つ。それゆえに“珍店名”を売りにしていた高級食パン店と似たような“怪しさ”をハンバーグ丼店に感じる人も出ているようですね(苦笑)」

かつては唐揚げブームも

 挽肉と米は前述のとおり3店舗のみ。ホームページにはわざわざ《※店舗は吉祥寺・渋谷・京都の3店舗のみです。》という記載がある。“スタイルと名前が似た店が増えている”ことを示す記述といえる。

「挽肉と米は以前から人気のハンバーグ店が手がけているだけあって、単純にハンバーグが美味しい。スタイルをまねただけの店の味とは一線を画しているとは思います。しかし、味の落ちる“パクリ店”が今後も増殖すると、十把ひとからげに捉えられかねない。挽肉と米は、自身の店舗を今後どれだけ“ブランド化”できるかが重要でしょう。そのために広告代理店や飲食チェーンに詳しい人たちの力を借りたのでしょうけど」

 ブームになるか、はたして。