鈴木容疑宅(※画像は一部加工)

「また、やったのか!わいせつ事件で“宇宙太”が逮捕されるのは何度目かになる。12年前にもこんなふうに、人物像を教えてほしいと取材を受けたんだよ」

 と容疑者宅近くの男性は農作業の手を止め、驚きを隠せない様子で話す。

“宇宙太(うちゅうた)”はニックネームではない。千葉県野田市に住む自称会社員・鈴木宇宙太容疑者(56)のこと。同県警野田署が4月13日、県内居住の10代女性A子さんに対するわいせつ誘拐・強制わいせつの疑いで逮捕した。

 12年前の出来事に触れる前に、今回の事件を整理しておきたい。

運転しながら助手席の女性にわいせつ行為

「今年2月1日の夕刻、県内の路上をひとりで歩いて帰宅途中のA子さんに車の運転席から声をかけ、助手席に誘い込むと車を走らせたままわいせつな行為におよんだ。その間の走行距離は約4km、時間にして約20分間とみており、走行中は逃げることができなかった。やがて容疑者は車を停めてA子さんを降ろし、その場から立ち去った」

 と捜査関係者。

 解放されたA子さんは自ら、

「車内に連れ込まれてわいせつな行為をされた」

 と110番通報。

捜査を進めて容疑者の逮捕にこぎつけたという。

「容疑者とA子さんに面識はなかった。どのように声をかけたかは言えない。ただ、A子さんの名誉のために言うが、パパ活や援助交際のたぐいとは全く違う。言葉巧みに車中に誘い込んでいる」(前出・捜査関係者)

 同署によると、容疑者はわいせつ目的の犯行について、

「間違いありません」

 と容疑を認めている。

「ふたりに接点がないので女性を物色していたとみて走行ルートなどを捜査中。管轄内で類似被害が頻発しているような情報はないが、余罪があるかどうかも含め調べていく」(前出・捜査関係者)

 さて、鈴木宇宙太容疑者はいかなる人物なのかーー。

 容疑者宅は茨城県と埼玉県の県境に近いのどかなエリアにある。地元住民や登記簿などによると、新築した一戸建て住宅に容疑者一家が引っ越して来たのは約30年前、宇宙太容疑者が26歳のころ。両親と妹の4人家族で、料理人をしていた。

「妹さんは結婚して自立し、宇宙太容疑者はレストランの雇われ店長を任されるようになりました。元来やさしくて気が利く性格だし、調理師免許を持っているから重宝されたのでしょう。責任ある立場で店を切り盛りする息子を両親も頼りにしていたはず。ところが、そんな息子を自慢できなくなる事件が起きたんです」(近所の住民)

 2003年9月、県境を越えた埼玉・庄和町のトンネル内で、自転車で登校中の女子高生(当時15)を襲ったとして埼玉県警が暴行の疑いで宇宙太容疑者を逮捕した。

女子高生を襲うなど、わいせつ事件の十数件に関与

「当時、このトンネル付近では、約半年前から250ccの大型スクーターに乗った男に女子中・高生がすれ違いざま胸などを触られる事件が相次いでおり、逮捕後の取り調べに宇宙太容疑者は十数件の関与を認めている。朝方、勤務先に出勤する途中で犯行におよんでおり、自転車をこぐ女子高生の前方からスクーターで接近し、胸元を掴んで引きずるなど手口は荒っぽかった。“女子中・高生に興味があった”などとわいせつ目的だった旨を供述している」(全国紙社会部記者)

 運転しながらの犯行は、今回の逮捕案件と同様、一歩間違えれば被害女性に大けがを負わせかねない。容疑者の知人によると、犯行に使ったスクーターは押収され、それ以降は二度とバイクにまたがらなかったという。

「気の毒なのはご両親です。自宅周辺にはマスコミが押し寄せ、珍しい実名で報道されたので無視できませんでした。両親揃って“ご迷惑をおかけしました”と周辺宅に頭を下げて回ったんです。ところが約8年後のある日、宇宙太容疑者の母親が“たいへん、たいへん、またやっちゃったの”と困り果てた様子で言うんです」(近所の女性住民)

 2011年5月、またも自転車で登校中の女子高生(当時17)の胸を触るなどしたとして千葉県警が強制わいせつの疑いで逮捕。

 複数の近隣住民によると、父親はすでに脳梗塞で他界し、母親とふたりで暮らしていた。どれほど両親や周囲にショックを与えたかわかっていたはずなのに、宇宙太容疑者は懲りていなかった。

「手口はやはり荒っぽく、朝の通学時間帯を狙って自転車をこぐ女子高生の前に立ちふさがり、前かごをつかんで転倒させ、胸を触るなどしている。自転車の中2女子の胸をすれ違いざま触ったとする暴行容疑で逮捕されてから余罪が発覚したかたちで、犯行を繰り返していた点も変わらない」(前出・記者)

 容疑者の母親は病気がちだった。泣き出しそうな顔で「どうしよう、どうしよう」と慌てていたという。

 有罪判決を受け服役中、母親も他界。刑務所を出所後、家人のいない自宅に戻った宇宙太容疑者に対し、前出の女性住民は「ここで生活を続けるならばご近所さんに謝罪しなきゃダメよ」とアドバイス。身寄りのいなくなった容疑者が周辺宅を単身訪ねていくのは酷だと思い、謝罪行脚に同行したという。

「ご迷惑をおかけしました。もう二度とこのようなことはしません」

 と頭を下げて回ると、近所の住民はうるさく言わなかったという。

「罪を償ったんだから、今度こそまじめにやらなくちゃね」

 と励まされ、

「わかりました。頑張りますので」

 などと誓った。

ようやく伴侶を得て安心していた矢先に…

「逮捕時に勤務していた福祉施設から“罪を償ったら戻っておいで”と温情をかけられたため、施設の料理人として職場復帰できました。人間関係に恵まれていたんです。私生活では、そのうち同年輩とみられるまじめそうな女性と暮らすようになり、趣味のガーデニングに力を入れるなど、2度目のやり直し人生をスタートさせました。亡くなったご両親はさぞかし心配だったでしょうが、ようやく伴侶も得て、さすがにもう大丈夫だろうと安心していたんです」(前出・女性住民)

鈴木容疑者宅には、愛情をこめて育てた花がきれいに咲いていた

 自宅敷地には愛情を込めて育てていたという色鮮やかな花が何種類も咲き誇り、鉢植えは赤い実をつけるなど丁寧に世話していた様子がうかがえる。多くの地元住民が熱心に水やりする姿を目撃しており、「きれいな花だね」と声をかけると嬉しそうな表情をみせたという。

 地域に受け入れてくれた恩に報いようとしたのか、自治会の仕事を「僕がやりますよ。迷惑かけたから」と2年連続で買って出るなど奉仕の姿勢だった。

 休日には、同棲する女性と友人らを数人招いて玄関先でバーベキューするなど充実した生活を送っていた。

 そして4月13日早朝、容疑者宅近くで、この辺りで見かけない男性数人が突如現れたという。刑事だった。逮捕状が出ており、犯行に使ったとみられる軽自動車の助手席付近を調べる刑事たちを、同棲中の女性が玄関先に立って呆然と眺めていたという。

「籍を入れているのか、内縁の妻かはわかりません。逮捕の翌々日、同棲女性は洗濯物を取り込むと、自宅の雨戸を全部閉め、愛犬を連れて家を出ていきました。彼(宇宙太容疑者)の名前はもう聞きたくありません。母親の気持ちを考えると、いまは亡くなっていてよかったと思うだけです」(前出・女性住民)

 母親は生前、息子をかばうようにこう話すことがあったという。

「やさしい子。本当はやさしい子なのよ」

 何度も若い女性を傷つけ、何度も周囲を裏切った。手口を少しずつ変える犯行態様からは巧妙さもうかがえる。懲りなさすぎる男にかける言葉は、もう、さすがに、だれの口からも出てこなかった。


 

鈴木容疑者宅には、愛情をこめて育てた花がきれいに咲いていた

 

鉢植えは赤い実をつけて

 

鈴木容疑者宅には、愛情をこめて育てた花がきれいに咲いていた