小栗旬

 若手俳優時代から注目を集め、今や日本を代表する俳優といっていい小栗旬が、所属事務所の社長に就任することが報じられた。その事務所とは『トライストーン・エンタテイメント』。小栗を筆頭に田中圭や綾野剛、木村文乃といった実力派俳優が数多く所属している。

 この報道を聞いた、ある芸能事務所社長は、現社長の“英断”を称賛する。

小栗は「次のステージに入った」

「社長の山本又一朗さんは沢田研二主演『太陽を盗んだ男』等、映画プロデューサーとして多くの俳優、スタッフに接してきており、業界経験が豊富な方。その山本さんが選んだのだから、間違いはないでしょう。

 ほかのタレントが憧れ、目標としているような魅力があり、リーダーシップもある俳優が社長になる。かつ、サポートをしてくれる右腕的な人材がいる体制であれば、事務所としてはこれまで以上の結果が期待できると思います」

 一方、小栗が「次のステージに入った」と指摘するのは芸能評論家の宝泉薫氏。

小栗さんは以前から、ハリウッドにあるような俳優の組合『ユニオン』を作りたいと公言しています。ただ、芸能界全体を巻き込むことなので、一俳優の力でどうにかなることではないと本人もわかっているでしょう。

 ですが、事務所の社長という立場になれば発言力も増します。また、事務所サイドにとってもトップ俳優の“小栗旬”が経営で前面に出てくればそれだけで話題になりますし。お互い“ウィンウィン”ですよね」(宝泉氏、以下同)

社長に必要とされる“カリスマ性”

 しかし、いくらネームバリューがあるといっても、俳優業の仕事の現場と事務所経営では話が変わってくる。また、当たり前だが自身の俳優としての活動もあるだろう。単なる“お飾り”になるのでは、という声もあるのだが─。

当然、彼が100%経営を担うわけではなく、野球でいうプレーイング・マネージャー、監督兼選手のような立ち位置になると思います。今、山本氏の下で経営に携わっているスタッフが主力として動くでしょう。

 そういう意味では“お飾り”なのかもしれませんが、小栗さんは後輩たちからの信頼も厚く、自身で映画監督をしたこともあって裏方の仕事にも理解があります。そういった素地から“あの人にならついていきたい”と周囲に思わせる、“カリスマ性”が彼にはあるので、悪い意味での“お飾り”ではないと思います

 俳優と社長業、共に結果を求められるようになる小栗。今まで以上に忙しくなり、自身の仕事についてだけ考えることは、周囲も納得してくれないだろう。これからの活動について宝泉氏は、

「彼ももう40歳。イケメンだというだけで主役を張れる時期ではありません。おそらく小栗さんは俳優業よりも、以前から口にしていたユニオン結成などに重点を置く活動になるのではないでしょうか。

 大河ドラマで主演も務めました。俳優として次は何か、となったときにハリウッド進出を考えていると報じられもしましたが、そう簡単な話ではありません。嫌な言い方をすれば、社長業が忙しくてハリウッドに挑戦する時間がない、という言い訳もできるわけです(笑)。なので、今回の社長就任については、チャレンジではなく今の足元を固める、どちらかというと保守的な方向なのかな、と感じました

 小栗の社長就任にメリット、デメリットさまざまな報道が出る中、ほかの事務所にとっても新たな事務所経営方法の“試金石”となることは間違いないだろう。

 

 

『GapJapan』の新作コレクションのモデルとして親子共演した山田優と長女(公式ツイッターより)

 

飲食店で食事をする小栗旬('12年8月)

 

『GapJapan』の新作コレクションのモデルとして親子共演した山田優と長女(公式ツイッターより)
『GapJapan』の新作コレクションのモデルとして親子共演した山田優と長女(公式ツイッターより)