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 電気代に食料品……2年連続の“値上げの夏”。なんとか“節約”で乗り切らなきゃ、と悲嘆に暮れている人も多いのでは。

“節約主婦”も過去に浪費癖が

「節約をすると、お金が貯まるのはもちろんですが、お金の知識が自然と身につき、将来への漠然とした不安も減りますよ」

 そう話すのは、YouTubeチャンネル「人生が変わる節約術」を運営するサリスさん(37)。今でこそ“節約主婦”として活躍する彼女だが、かつては節約とは正反対の浪費生活を送っていた。

「学生時代からその傾向はありましたが、社会人になってからは流行最先端の服に身を包み、週に3回以上飲み会に行っていました。そうした私の浪費志向は、母の影響が大きかったと思います。

 共働きで稼ぐ母は、豪快にお金を使う人で“節約はケチでカッコ悪い”と考えるタイプ。いつしか私も同じように思うようになっていたんですね」(サリスさん、以下同)

 そんな彼女の浪費癖に拍車がかかったのは20代後半。“離婚”を経験したころだった。

「前の夫と私は家計を別にしていました。生活費はすべて前夫のお金で賄い、私は自分の給料をまるごと使える状況。

 離婚後もレベルを下げることなく暮らしていたら、クレジットカードの支払期日に銀行口座の残高が足りなくなってリボ払いに変更。2枚目のカードもリボ払いにしたところ、いつの間にか借金が100万円に膨れ上がっていたんです」

 リボ地獄に陥ったサリスさんが節約に目覚めたきっかけは、現在の夫との出会いだった。

「当時、お付き合いしていた夫に、正直に私の離婚経験や借金について打ち明けたんです。すると彼は、引くことなく“ふたりのこれから”について話してくれました。夫の心の広さに救われて、借金を返すために節約マインドへと切り替えられたんです」

固定費の見直しで節約の仕組みづくり

 サリスさんが最初に始めたのが固定費の見直し。

「家賃8万円の家から6万円の家に引っ越して、月に2万円を節約。また、月に1万円払っていたスマホ代も格安SIMに乗り換えて1500円に。今も年に1度、格安携帯各社のプランやキャンペーンを比較して、お得な内容に乗り換えています。必要ないと判断した保険も解約しました。

 次に行ったのが食費・光熱費などの変動費の節約。まず、外食や飲み会をスパッとやめて自炊中心の生活に。週に1回のまとめ買いや作り置きで食費を削りました」

 節約生活を始めて9か月で無事に借金を完済した。

「その後は家計を夫と一緒にして、借金の返済に充てていた分を先取り貯蓄に回したり、つみたてNISAを始めたりして7年間で1000万円貯金。節約して、昔の自分がどれだけムダな出費をしていたのか、気づかされました」

1か月の主な収入
サリスさん(育休中)……約10万円(育児給付金)
夫……約28万円
※夫婦共働き時の世帯月収……約44万円

年間の貯蓄額
育休中……約120万円
共働き時……約200万円

お金を節約することで大切なものに気づく

 強靭な節約マインドを持つサリスさんは、今夏の電気代値上げ対策にも抜かりはない。

「夏の水道・光熱費の大半を占めるのは電気代。そして数ある電化製品の中で、最も電力を消費するのはエアコンです。エアコンの使い方に注意しつつ、水道代、ガス代、そして食費など変動費の節約に取り組むのがおすすめです」

 サリス流節電術のひとつは、電力会社の定期的な見直し。彼女は、比較サイトの「価格.com」を使って自宅の使用状況に合ったお得なプランを探し、その都度、乗り換えているという。

「今、わが家は東京電力の従量電灯に契約していて、契約アンペアは30Aです。ご家庭の状況や季節によってお得な電力会社のプランが異なるので、ぜひ、定期的にネットで電力会社のシミュレーションをしてみてください」

 電力会社を決めたら、あとは実践あるのみ!

「まず知ってほしいのは、エアコンが電力を多く消費するタイミング。設定温度や扇風機の設置場所など、ポイントを押さえながら電力消費量を減らします。室内で快適に過ごせる服装や知恵も取り入れて。

 そのほか、節水シャワーヘッドなどの節約アイテムも積極的に活用すると、予想以上の効果を発揮してくれます」

 節電しながら日本の酷暑を乗り切れたら、節約スキルもアップしそうだ。

 浪費家を卒業して節約主婦となったサリスさんは「多くの人に節約を楽しんでほしい」と話す。

「私も以前は、節約に対して“我慢”や“大変”などネガティブなイメージを持っていました。でも今は、“価値観を見直すこと”と捉えています。

 節約を始めてから、自分にとって本当に必要なモノや人が見えてきて、昔よりも自分らしく生きられるようになったと思います。また、子どもに親の背中を見せてお金の使い方を教えるのも教育のひとつだと思うので、これからも節約を心がけていきます」

水道代も下げられるお得なテクも夏の光熱費節約ワザ

1. エアコンは「弱冷房除湿機能」を使う

 冷房と除湿、お得なのはどっち?

「電気代の高い順に、再熱除湿>冷房>弱冷房除湿≒ハイブリッド除湿、となります。同じ除湿でも“再熱除湿”は、冷やした空気を再び暖めるため、余計に電力を消費します。弱冷房除湿やハイブリッド除湿の機能がない場合は、冷房がお得」

 お使いのエアコンがどのタイプなのかは取扱説明書やネットで検索を。

1.エアコンは「弱冷房除湿機能」を使う※画像はイメージです

2. 室温と設定温度の差を最小限にする

「エアコンは短時間に一気に冷やすときにいちばん電力を消費します」とサリスさん。

「なるべく室内外の気温差が大きくならないように、冷房の設定温度は28℃がベスト。同時に、足や首を冷やす、湿らせたタオルで全身を拭くなど涼しく過ごすワザを取り入れて無理なく節電を」

3. 家に帰ったら部屋の熱気を逃がす

「部屋に熱がこもっているときは、まず窓を開けて熱気を外に逃がしましょう。風が心地よければエアコンを使わずにすむし、いざ使うときも室内の温度が下がっているので、冷房効果が高くなります」

 窓が1つの部屋では扇風機を窓に向けて回すと換気がスムーズ。

4. エアコンの風下に扇風機を置く

 エアコンと扇風機やサーキュレーターの併用は定番の節電術だが、その設置位置にもポイントがある。

「扇風機はエアコンの風下に、エアコンと向かい合わせに置き、首を上に向けます。風下から扇風機の風を送ることで、部屋の空気を下から上に循環させれば、温度のむらも防げて高い節電効果が得られます」

4.エアコンの風下に扇風機を置く※画像はイメージです

5. 省エネモードの活用はマスト

 起動時の電力消費を抑えたり、必要最低限の設定温度で自動運転してくれるエアコンの「省エネモード」。

「省エネモードを使うと年間の電気代が約1万円も節約できるというデータがあります。ぜひ活用を!」

6. エアコンの掃除はまめに!

 ホコリがたまったフィルターは、エアコンの冷暖房効果を下げてしまう。

「月に1〜2回のフィルター掃除を行うだけで、5〜10%の節電につながります。こまめな掃除は大変ですが、習慣化しましょう」

6.エアコンの掃除はまめに!※画像はイメージです

7. 室外機は風通しと日よけで涼しくする

 室外機の吹き出し口の周りに物があると、冷房の効果がダウン。また、室外機に直射日光が当たることもマイナス効果に。

「直射日光も敵ですが、それ以上に風通しが悪いことがNG!植物なども離して置くことが大事です」

7.室外機は風通しと日よけで涼しくする※画像はイメージです

8. 断熱カーテンで室温を上げない

 外気の熱が窓から侵入するのを防ぐ「遮熱・断熱カーテン」の利用も効果的。

「わが家は遮光カーテンを使っており、日中カーテンを閉めるだけで室内の暑さが和らぎます。また、窓の周りでゴーヤなどの植物を育てると直射日光を防ぎ、葉の蒸散作用によって部屋の温度上昇も抑えられるのでおすすめです」

8.断熱カーテンで室温を上げない※画像はイメージです

9. 1時間以内の外出なら“つけっぱなし”が節約に

 外出時は節電のためにエアコンを切る、という人も多いが、“ONのまま”のほうがお得なケースもある。

「エアコンは起動するときに最も電力を消費するので、こまめに電源を切ると、かえって電気代がかかります。1時間以内に帰宅するなら、冷房はつけたままでOKです」

10. エアコンの使用を最低限に抑える

「エアコン利用以外にも、生活の中で涼を取る工夫をしましょう。日中は図書館など公共機関を利用したり、帰宅後、冷房をつけている間にシャワーを浴びたりするのも手。汗を流している間に部屋が適温になり、設定温度28℃でも涼しく感じます」

11. 手洗いより食洗機。ただし食洗機の乾燥は使わない

 子育て家庭の味方・食器洗い乾燥機にもサリス流の節電術がある。

「食器は手洗いするよりも食洗機で洗ったほうが使用する水の量を抑えられます。ただし、食洗機の乾燥機能は電力を多く消費するのでわが家では使いません。すすぎが終わったら停止ボタンを押し、自然乾燥でOK」

11.手洗いより食洗機。ただし食洗機の乾燥は使わない※画像はイメージです

12. 食事は作り置きでガス代の節約にも

 浪費家時代は自炊が苦手だったサリスさんも、今や毎日、自炊。

「初めは電子レンジ料理など手軽な料理からスタートし、今は作り置きもしています。1週間分まとめて作り置きをすると、ガス代の節約にもなります」

13. 節水シャワーヘッドが断然お得

「数か月前、備えつけのシャワーヘッドから、80%節水できる3000円のシャワーヘッドに替えました。水道代の大幅ダウンに加え、ガス代も月約2000円ダウン! 思い切って買ってよかったです」

 水圧の弱さも慣れてしまえば問題ないそう。

13.節水シャワーヘッドが断然お得※画像はイメージです
節約主婦サリスさん●かつて100万円の借金を背負っていたが、再婚を機に節約主婦に転身。現在は、7年間で1000万円を貯めた節約テクニックをYouTubeで配信中。夫と3人の子どもと暮らす5人家族。
お話を伺ったのは……節約主婦サリスさん●かつて100万円の借金を背負っていたが、再婚を機に節約主婦に転身。現在は、7年間で1000万円を貯めた節約テクニックをYouTubeで配信中。夫と3人の子どもと暮らす5人家族。

取材・文/大貫未来(清談社)

 

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6.エアコンの掃除はまめに!※画像はイメージです

 

1.エアコンは「弱冷房除湿機能」を使う※画像はイメージです

 

4.エアコンの風下に扇風機を置く※画像はイメージです

 

7.室外機は風通しと日よけで涼しくする※画像はイメージです

 

8.断熱カーテンで室温を上げない※画像はイメージです

 

11.手洗いより食洗機。ただし食洗機の乾燥は使わない※画像はイメージです

 

13.節水シャワーヘッドが断然お得※画像はイメージです