明日海りお 撮影/矢島泰輔

「自分が何かを表現している時間、スタッフやキャストのみなさんと作品を一緒に作り上げる時間、作り上げたものをお客さまが受け取ってくださっている時間が大好きです。

 “(演じる役を)すごくいい人物に仕上げてくる”とか“見ていて面白い”“グッとくる”と思っていただけているという手ごたえを積み重ねて、絶え間なくいろいろな役に出会える役者になれたら一番いいなと思っています」 

今年でデビュー20周年

 中学3年生のときに友人からすすめられた映像をきっかけに宝塚音楽学校に入学。'03年に宝塚歌劇団に入団し、『花の宝塚風土記/シニョール ドン・ファン』で初めて舞台に立ってから、今年で20周年を迎える明日海りお

宝塚に17年在籍して、退団してもうすぐ4年になります。一から勉強している気持ちでいたので“まだ4年”という感覚が強くて。初舞台から20年、こんなにも長くこのお仕事を続けられていたんだと驚いています」 

 初めての舞台について聞くと、毎年、映像を見る機会があるという。

「(CSの宝塚歌劇専門チャンネル)『タカラヅカ・スカイ・ステージ』で毎年4月ごろになると初舞台生特集というものが組まれて、何期生の初舞台映像といって当時の映像が流れるんです。そのたびに同期たちと連絡を取り合って“衣装がすごくかわいいね”とか“変わらないね”なんてみんなで懐かしみます

 いまでも同期生に会うとタイムスリップしてしまうと語る。

みんな10代で知り合って。ほとんどの子が寮に入っていたので生活を共にしました。同期とは、いつ会っても、話しても当時に戻ってしまう。自然体でいられる仲間ですね

 まだ、お化粧にも慣れていなかった少女は、花組のトップスターを5年半という長きにわたり務め上げ、退団公演は全国47都道府県、香港、台湾の映画館でのライブ・ビューイングが行われる大人気スターになった。

明日海りお 撮影/矢島泰輔

 退団後は、『マドモアゼル・モーツァルト』『エリザベス・アーデンvs.ヘレナ・ルビンスタイン -WAR PAINT-』『精霊の守り人』といった主演舞台や、NHK連続テレビ小説『おちょやん』、10月スタートの日曜劇場『下剋上球児』などのドラマ出演と、活躍の幅を広げてる彼女。

大きな節目じゃないと言えないワガママ

 9月15日から19日まで東京国際フォーラム ホールCで、22日から24日まで大阪・梅田芸術劇場メインホールで、20周年記念コンサートを開催する

 日替わりゲストとして、井上芳雄、浦井健治といったミュージカル界のトップスターや、花組で明日海の相手役を務めた蘭乃はな、花乃まりあ、仙名彩世、華優希。そして、同期で宝塚歌劇団の現役生・凪七瑠海が出演する。

それぞれの場所でトップを走っていらっしゃる方ばかりなので、お忙しい中、私のステージに参加していただけるということは本当にうれしいです。コンビを組んでいた花組の4人(蘭乃はな、花乃まりあ、仙名彩世、華優希)と一緒にステージに立ちたいというのは、こういう大きな節目じゃないと言えないワガママだと思いまして。

 みんな“いつか何かの機会に全員で集まりたい”と言ってくれていたので、お声がけさせていただきました」

 出演していない舞台の楽曲やダンスナンバー、ゲストとのデュエットやトークなどを考えている。

花組の4人や現役のタカラジェンヌの凪七には、宝塚時代の曲も歌ってもらえたらと思っています。花組のみんなとは“運動会で負けて最下位だったね”とか“あのとき、みんなでもめて話し合いをしたね”なんて話をすることがあるので、当日は“今だから言える”みたいなトーク内容になるかもしれないですね。

 ただ、思い出が多すぎて、コンサートの上演時間全部トークにしても時間が足りないかもしれないです(笑)」

明日海りお 撮影/矢島泰輔

 このコンサートを通し、応援し続けてくれているファンに、そして、ともに作品を作り上げてきたゲストたちに感謝を伝えたいという。

BLACKPINKから影響を受けること

「未来ってわからないですね」と笑顔を見せてくれたのは、ガールズグループBLACKPINKの話題になったとき。

最初にK-POPにハマったのは10年くらい前。それ以降、落ち着いていたのですが、番組かなにかでBLACKPINKの特集を見て、ミュージックビデオを見始めたらどっぷり浸かってしまいました(笑)

 4月の東京ドーム公演にも足を運んでいる。

ひとりでチケットを取って行ってきました! 横の男の子が興奮して足を踏んでくるんですが、そんなことどうでもいい感じで(笑)。逆側の隣の女の子が全部の曲を歌っていたので、私も同じように歌ったりして。会話は交わさなかったですが、同じ熱量の人と一緒にコンサートを見ることができて、すごく楽しかったです

 純粋なファンであるとともに、プロとしての視点も忘れていない。

誰かを応援する気持ちって、こういうことなのかと思いますね。あと、こういうスタイリングのときに、こんなメイクをするんだとか。これとこれを組み合わせて着ているんだとか。すごく勉強になります

 いつかBLACKPINKと共演することがあるかもしれないと伝えると、

ないですよ~(笑)。でも、好きだったグループのメンバーを何年か後に(総合ディスカウントストア)『ドン・キホーテ』でお見かけしたことがあって。こんなこと、あるんだなと思いました。未来ってわからないですね

 明日海が30周年、40周年を迎える未来は、どんな驚きに満ちあふれているのだろうか。

20周年コンサート「20th Anniversary Rio Asumisings dramas『ヴォイス・イン・ブルー』」9月15日から19日まで東京国際フォーラム ホールC、22日から24日まで大阪・梅田芸術劇場メインホール

 

明日海りお 撮影/矢島泰輔

 

明日海りお 撮影/矢島泰輔

 

明日海りお 撮影/矢島泰輔