大谷翔平 写真/共同通信社

 顔写真をアメリカンスクールの卒業アルバム風に加工できる『AIイヤーブック』がSNSで話題沸騰中。

「タレントのMattさんがブームの火付け役のようです。9月29日に自身のインスタグラムに“卒アル初公開!懐かしいなぁ”というコメントを添えて、AI加工した画像を投稿しました。学校の制服姿やラグビー部風の姿などの画像があり、まるで『ビバリーヒルズ高校白書』の世界観でした」(ワイドショースタッフ、以下同)

 この“卒アル風”画像は画像編集アプリ『EPIK(エピック)』を使用すれば誰でも簡単に作成できる。8〜12枚の顔写真と性別を選び、それをもとにAIが加工してくれるというもの。24時間以内に60種類の画像加工ができる『スタンダード』プランは500円。800円の『エクスプレス』プランは2時間以内で加工してくれる。

「ゆきぽよさんや木下優樹菜さんもインスタグラムで“卒アル風”画像を披露。特定のアイドルや芸能人のファンが“推し”の顔写真を使って加工し、それをSNSに投稿することも流行っています

 そんな中で1番の反響だったのが、9月30日にX(旧ツイッター)に投稿された大谷翔平のもの。

《Ohtani High School》という画像で、6種類の大谷選手の画像が並んでいます。ガリ勉風の《Genius-Tani》やちょい不良(ワル)風の《BadGuy-Tani》など、実際にはあり得ない大谷選手の写真なのですが“アメリカのハイスクールドラマに出てきそう”と話題になっています」

“勝手にコラージュ”を指摘する声も

 投稿から5日間で12万の《いいね》がつき、インプレッションは1430万回以上を更新。Xでは、

《大谷翔平、どの世界線にいても結局イケてんのかよ。全員最高》

《良いですね〜私はGeniusタニがいいなぁ。いや、Badガイタニも。まさにラブコメですね。結局全部好き》

 と、AIで加工された大谷のイケメン写真に歓喜の声が挙がる一方で、

他人の顔、勝手にコラージュしてネットにばらまくのはやめたほうがいいですよ》

《ディープフェイクになるのでは》

 といった懸念の声も。

 このように、著名人の顔写真を加工してSNSにアップするのは法的に問題ないのか。

 弁護士法人・響の古藤由佳弁護士に聞いてみた。

著作権侵害に問われる可能性

『AIイヤーブック』で変身したMatt。ラグビー部風の姿も爽やかだ(公式インスタグラムより)

「著名人の画像のもととなる写真を、写真の加工者自身が撮影した場合は、何の問題もありません。

 写真を加工した人以外の人が撮った写真なのであれば、その写真は撮影者や著名人の所属事務所の著作物であり、第三者に著作権があります。

 したがって、許可なく当該写真を加工することは、著作権侵害になる可能性があります」

 著作権侵害をした場合の罰則は重く、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、または懲役刑と罰金が併科される。また、肖像権以外にも罪に問われることがあるそうで……。

著名人の肖像権を侵害したり、加工の態様によっては、著名人に対する名誉毀損罪・侮辱罪が成立する可能性があります。

 大谷翔平選手に関する加工画像について言えば、名誉毀損・侮辱に当たりませんが、付け加えられたコメントなど、画像加工の態様によっては、刑事責任を問われることになります

 みだりに加工したりせず、そのままを“推し”たほうがよさそうだ。

古藤由佳 弁護士
弁護士法人・響。「難しい法律の世界をやさしく、わかりやすく」をモットーに、消費者トラブルや借金・交通事故・離婚・相続・労働問題など民事案件を主に扱う。FM NACK5『島田秀平と古藤由佳のこんな法律知っ手相』にレギュラー出演するほか、ニュース・情報番組などテレビ・新聞・雑誌等メディア出演も多数

AI加工で様々な世界線の大谷翔平が楽しめるが…

 

『AIイヤーブック』で加工された大谷翔平

 

『AIイヤーブック』で変身したMatt。ラグビー部風の姿も爽やかだ(公式インスタグラムより)

 

『AIイヤーブック』でMattは学園のプリンス風に変身(公式インスタグラムより)

 

ゆきぽよも『AIイヤーブック』の流行りに乗って“卒アル風”の画像を披露(公式インスタグラムより)

 

画像編集アプリ『EPIC』を使って簡単に“卒アル風”画像に加工できる