まいたけ入りクラムチャウダー(左)とまいたけトースト(右) 撮影/矢島泰輔

 秋の旬食材、そして栄養価が高い食材としても知られるきのこ類。中でも、独自の栄養素を持ち、うまみたっぷりな最強きのこが“まいたけ”だ。

美味しくって効果万能、しかも安定価格!

「栄養相談でも、非常にバランスに優れている食材のひとつとしておすすめしています」とは管理栄養士の吉野愛さん。

 味にクセがなく、煮ても焼いても炒めても歯応えのある食感を残し、調理もしやすい。

「下記に紹介する非常に優れた栄養素だけでなく、お肉をやわらかくする効果や、うまみ成分たっぷりで、料理のかさ増しにもぴったりなまいたけ。万能食材をぜひ活用してください」(吉野さん)

きのこの中で“栄養素充足率スコア”1位の「まいたけ」 出典:雪国まいたけ

すごい1:がん予防に注目の栄養素「βグルカン」を保有

 まいたけ特有の成分として、食物繊維βグルカンの仲間で基礎代謝を高めるMXフラクション、免疫機能を高める効果のあるMDフラクションがある。

「MDフラクションはがんの増殖抑制が期待できるとして、近年非常に注目されています」(吉野さん)

すごい2:骨粗鬆症予防・免疫力アップ「ビタミンD」がしいたけの10倍!

 カルシウムの吸収を助け、骨の形成と成長を促すビタミンDが豊富に含まれる。国立がん研究センターによると“ビタミンD血中濃度が高い人は、がん罹患リスクが低い”といった結果を発表している。

すごい3:美肌・代謝アップにも「ビタミンB群」が豊富

 皮膚、髪、爪などを健やかに保つビタミンB。ビタミンB群の一種であるナイアシンはタンパク質や脂質、炭水化物をエネルギーにかえる際に必要不可欠な栄養素で、しっかりとることで、代謝も上がる。

すごい4:生活習慣病予防を叶える2大うまみ成分で減塩レシピも

 料理のうまみをしっかり引き出す3大うまみ成分「グルタミン酸」「イノシン酸」「グアニル酸」のうちグルタミン酸とグアニル酸を保有する。

 肉や魚にはイノシン酸が含まれるため、一緒に調理するだけで、グッとうまみが増し、塩分が控えめでも食べ応えのある料理となる。

うまみの強さは昆布の20倍! 出典:うまみ強度/「食べ物と健康」より

和風ステーキと白ワイン蒸し

まいたけのみそ漬け和風ステーキ

 しっとりやわらか、安い肉も一気に格上げ!

まいたけのみそ漬け和風ステーキ 撮影/矢島泰輔

材料/2人分
・まいたけ……60g
・ステーキ肉……100g×2
・サラダ油……適量
・ミニトマト、カイワレ大根……各適量
 A〔みそ……大さじ1と1/2、酒大さじ1、しょうゆ・砂糖・にんにくすりおろし……各小さじ1〕

【作り方】

(1)ステーキ肉の水けをキッチンペーパーでふき取り、バットに入れて混ぜ合わせたAのみそだれを両面に塗り込む。

(2)(1)の上にほぐしたまいたけをのせて、ラップをして常温で30分置く。

(3)フライパンにサラダ油を熱して、みそをぬぐったステーキ肉を強火で片面1分ずつ、両面にこんがりと焼き色をつける。

(4)ステーキ肉をいったん取り出してアルミホイルで包んで5分間休ませる。

(5)フライパンをペーパーなどできれいにして、ぬぐったみそだれとまいたけを焼く。

(6)ステーキ肉を食べやすい大きさに切り、器に盛ってまいたけ、お好みでミニトマト、カイワレ大根などを添える。

《まいたけ活用ポイント》まいたけに含まれるタンパク質分解酵素で、驚くほどやわらかに。一緒に漬け込んでから焼こう。赤身の肉におすすめ。

まいたけのみそ漬け和風ステーキ《まいたけ活用ポイント》 撮影/矢島泰輔

まいたけの白ワイン蒸し

 美肌に効く!美容効果の高い食べ合わせ。

まいたけの白ワイン蒸し 撮影/矢島泰輔

材料/1人分
・まいたけ……40g
・生鮭……1切れ
・キャベツ……50g
・白ワイン……小さじ1
・塩・こしょう……少々
 A〔アンチョビ(みじん切りかペースト)……2切れ分、白ワイン……大さじ1〕

【作り方】

(1)生鮭はキッチンペーパーで水けをふき取り、白ワイン、塩・こしょうをなじませて10分ほど置く。

(2)キャベツはざく切りにして、まいたけはほぐす。

(3)クッキングシートを40cmほど切り取って、真ん中にキャベツ、まいたけを置き、塩・こしょうをふり、上に(1)をのせ、混ぜ合わせたAをかけて包む。

(4)フライパンに(3)を置き、1/3カップの水を端から注ぎ、ふたをする。10分ほど弱火で蒸し焼きにする。

《まいたけ活用ポイント》まいたけにはメラニン色素の生成を抑えるチロシナーゼ阻害物質が含まれており、ビタミンCを多く含むキャベツと一緒に食べることで美肌効果が。鮭の抗酸化作用とで、肌のシミ、しわを防ぐ効果も期待!

韓国宮廷料理と和風ハンバーグ

まいたけのジョン(韓国宮廷料理)

 油と相性よし!卵の衣に絡めてシンプルに。

まいたけのジョン(韓国宮廷料理) 撮影/矢島泰輔

材料/2人分
・まいたけ……100g
・卵……1個
・薄力粉……適量
・塩・こしょう……少々
・ごま油……大さじ1
 A〔長ねぎみじん切り……4cm分、しょうゆ……大さじ1、酢……小さじ2、砂糖……小さじ1〕

【作り方】

(1)大きめにほぐしたまいたけをボウルに入れて、塩少々(分量外)と薄力粉を全体にまぶす。

(2)別のボウルに卵を溶きほぐし、塩・こしょうを混ぜ合わせる。

(3)(1)を1つずつ溶き卵にくぐらせて、フライパンにごま油を熱して、まいたけを両面こんがりと焼き上げて器に盛る。

(4)Aを混ぜ合わせてソースを作り、ジョンに添える。

《まいたけ活用ポイント》ビタミンDは油と一緒にとることで吸収力が高まるので、揚げ焼きがおすすめ!

まいたけ尽くしの和風ハンバーグ

 トマトとまいたけでうまみをグッと引き出す。

まいたけ尽くしの和風ハンバーグ 撮影/矢島泰輔

材料/2人分
・まいたけ……100g
・合いびき肉……200g
・玉ねぎ……1/4個
・白ワイン……大さじ3
 A〔溶き卵……1/2個分、塩……小さじ1/4、こしょう……少々〕
 B〔トマト缶……100g、砂糖……小さじ2/3、コンソメ……小さじ1/2、塩・こしょう……適量〕
・サラダ油……適量

【作り方】

(1)玉ねぎはみじん切りにして、耐熱容器に入れてふんわりとラップをかける。電子レンジ600Wで2分ほど加熱し、粗熱をとる。

(2)まいたけ50gはみじん切りにし、残りはほぐす。

(3)ボウルに合いびき肉、(1)、(2)のみじん切りのまいたけ、Aを入れよく練る。

(4)(3)を2等分にし、キャッチボールをする要領で空気を抜き、小判形に形を整える。

(5)フライパンにサラダ油を熱して、両面に焼き色がつくまで焼く。

(6)白ワインを加えて弱火にし、フライパンにふたをして6~7分蒸し焼きにしてしっかりと焼き、いったん取り出しておく。

(7)フライパンにBの材料を入れて煮立たせたら、ほぐしたまいたけも加えてサッと煮込む。ハンバーグを戻し入れ、ソースをからめて器に盛り、お好みで野菜を添える。

《まいたけ活用ポイント》まいたけを加えることで、タンパク質分解酵素が働き、ふわふわのやわらかいハンバーグに。肉だねと練った後、置きすぎると、酵素の影響で崩れやすくなるため注意を。

まいたけ尽くしの和風ハンバーグ《まいたけ活用ポイント》 撮影/矢島泰輔

クラムチャウダーとトースト、中華炒め

まいたけ入りクラムチャウダー

 乳製品との組み合わせでカルシウムの吸収率もアップ!

まいたけ入りクラムチャウダー(左)とまいたけトースト(右) 撮影/矢島泰輔

材料/2人分
・まいたけ……60g
・殻付きあさり(砂抜きしたもの)……200g
・玉ねぎ……40g
・にんじん……30g
・牛乳……1カップ
・バター……10g
・水……1/2カップ
・塩、こしょう……適量

【作り方】

(1)まいたけをほぐす。玉ねぎ、にんじんはみじん切りにする。

(2)殻付きあさりは殻をこすり合わせてよく洗う。

(3)鍋にバターを熱して(1)の玉ねぎとにんじんを入れて約3分炒める。あさり、水を加えて煮立て、口が開いたらあさりを取り出す。

(4)牛乳を加えて煮立ったら、あさり、ほぐしたまいたけを加えて弱火で3分煮て塩・こしょうで味をととのえる。

《まいたけ活用ポイント》まいたけのうまみ成分のグアニル酸は70度以下で増えるといわれているので煮すぎないように注意を。

まいたけトースト

 マヨネーズのコクとベーコンのうまみで深い味わいに。

材料/1枚分
・まいたけ……20g
・ブロックベーコン……20g
・マヨネーズ……大さじ1
・食パン(6枚切り)……1枚
・塩、こしょう……少々

【作り方】

(1)まいたけをほぐす。ブロックベーコンは1cm角に切る。

(2)ボウルに(1)の材料とマヨネーズを加えて混ぜ合わせる。

(3)食パンの上にのせて塩・こしょうを振り、トースターでこんがりするまで焼き上げる。

《まいたけ活用ポイント》ビタミンDは脂質と相性がよく、マヨネーズとも相性ぴったり。

卵とまいたけの中華炒め

 コリッとした食感を楽しめる。

卵とまいたけの中華炒め 撮影/矢島泰輔

材料/1人分
・まいたけ……60g
・長ねぎ……1/3本
・卵……2個
・塩、こしょう……少々
 A〔顆粒鶏がらスープの素……小さじ1/2、オイスターソース……小さじ1、酒……大さじ1〕
・サラダ油……大さじ1

【作り方】

(1)まいたけをほぐす。長ねぎは斜め薄切りにする。

(2)ボウルに卵を割り入れ、塩・こしょうを加え溶きほぐす。

(3)フライパンにサラダ油大さじ1/2を入れて熱して、(2)を流し入れ、大きくへらなどで混ぜて半熟状になったら取り出す。

(4)再度フライパンに残りのサラダ油を入れて熱し、(1)を加えて炒めて油がまわったら、混ぜ合わせたAの調味料を加えて炒め合わせる。

(5)最後に(3)の卵を加えてざっくりと混ぜ合わせて、器に盛る。

《まいたけ活用ポイント》まいたけもねぎもサッと炒める程度でOK! 炒めすぎないように注意を。

おつまみまいたけ(2種)

 あと一品にぴったり。

まいたけナムル

 免疫力アップ!

まいたけナムル 撮影/矢島泰輔

材料/2人分【作り方】

(1)まいたけ100gはほぐして、耐熱容器に入れてふんわりとラップをし、600Wで1分40秒~2分ほど加熱する。

(2)加熱が終わったら、水けをきり、ごま油大さじ1、おろしにんにく小さじ1、塩小さじ2、顆粒鶏がらスープの素小さじ2/3の調味料と混ぜ合わせる。

(3)器に盛り、仕上げに白ごまを少々振る。

《まいたけ活用ポイント》まいたけのβグルカンと、にんにくのアリシンなどでWの免疫効果が。

焼きまいたけのおろしあえ

 ダイエット効果も抜群!

焼きまいたけのおろしあえ 撮影/矢島泰輔

材料/2人分【作り方】

(1)まいたけ100gをほぐす。大根40gは皮をむいておろす。

(2)フライパンにごま油大さじ1を熱して、まいたけに焼き色がつくまで両面焼く。

(3)(2)をボウルに入れて、軽く水けをきった大根とあえる。

(4)器に盛り、ポン酢適量をかける。

《まいたけ活用ポイント》まいたけはダイエットに有効な栄養素も豊富。大根おろしも消化酵素が含まれており、Wの効果でダイエットに心強い一品。

まいたけのうまみ・栄養価を引き出す保存方法

 買いすぎて使い切れなくても大丈夫! 保存期間を延ばしつつ栄養価をさらに引き出す方法をご紹介。

1.天日干しで乾燥させる

 干しまいたけは、味がぐっと濃くなるうえに、ビタミンDも増加。乾燥したよく晴れた日に外で干して、乾いたらビンなどで保存を。炊き込みご飯やきんぴらなどにも。

1.天日干しで乾燥させる

2.刻んで冷凍する

 冷凍すると日持ちするだけでなく、うまみ成分や健康成分が出やすくなる。スープや煮込み料理に加えれば、おいしさアップ!

2.刻んで冷凍する ※写真はイメージです
教えてくれたのは……吉野 愛さん●江上料理学院講師・管理栄養士。大学卒業後、製薬会社に勤務し、高齢者の低栄養問題、嚥下問題、低栄養改善に取り組む。現在は江上料理学院専属の管理栄養士として勤務。企業の商品・メニュー開発にも携わる。

レシピ・調理/吉野 愛

 

まいたけのみそ漬け和風ステーキ 撮影/矢島泰輔

 

まいたけ尽くしの和風ハンバーグ 撮影/矢島泰輔

 

まいたけの白ワイン蒸し 撮影/矢島泰輔

 

まいたけのジョン(韓国宮廷料理) 撮影/矢島泰輔

 

まいたけ入りクラムチャウダー(左)とまいたけトースト(右) 撮影/矢島泰輔

 

卵とまいたけの中華炒め 撮影/矢島泰輔

 

まいたけナムル 撮影/矢島泰輔

 

焼きまいたけのおろしあえ 撮影/矢島泰輔

 

きのこの中で“栄養素充足率スコア”1位の「まいたけ」 出典:雪国まいたけ

 

うまみの強さは昆布の20倍! 出典:うまみ強度/「食べ物と健康」より

 

まいたけのみそ漬け和風ステーキ《まいたけ活用ポイント》 撮影/矢島泰輔

 

まいたけ尽くしの和風ハンバーグ《まいたけ活用ポイント》 撮影/矢島泰輔

 

1.天日干しで乾燥させる

 

2.刻んで冷凍する ※写真はイメージです