後藤真希

 ゴマキこと、後藤真希がVTuberとして活動を開始した。キャラクター設定は、15歳の彼女が22年後の現代にタイムスリップ、過去に帰る方法が見つかるまで『ぶいごま(V後藤真希)』と名乗り、動画配信などを行うというものだ。

 ゴマキ本人はSNSで、

《私であって私じゃないんですけど、私です笑》

 と、コメント。すでに、ハロウィンのバーチャルイベントに登場するなどしている。

モー娘。加入で国民的人気に

 そんな彼女の人生最初の転機は、14歳でモーニング娘。に加入したことだろう。

 当時、結成から2年近くたっていたモー娘。は、やや失速状態。しかし、加入したばかりの彼女がセンターを務めたシングル『LOVEマシーン』が大ヒットしたことで国民的人気を獲得する。

 その後、彼女が参加した『プッチモニ』をはじめとする派生ユニットや、ソロアイドルとしてデビューした松浦亜弥なども次々と成功。モー娘。を中心とするハロー!プロジェクトが歌謡界に一時代を築くわけだ。

 22年前といえば、まさにその全盛期。ハロプロメンバーには、それからいろいろなことがあった。不祥事関連では、未成年喫煙や不倫、盗作、なかには飲酒運転によるひき逃げで引退した者もいる。

「彼と結婚したいから、仕事やめる!」

 ゴマキ自身も、2019年に不倫を報じられ、

「夫とは別の男性と関係がありました」

 と認めて、謝罪した。ちなみに、結婚したのは'14年で、相手は3歳下の一般男性。自伝的エッセイ『今の私は』によれば《男友達を交えた食事の席》で知り合った、地元の《バイク好き》な男の子で、彼女からのアプローチだった。

《彼と結婚したいから、仕事やめる! 私が母にそう言い出した日の家族会議は、荒れに荒れた》

 とも書かれている。

 ただ、結婚や不倫以上に印象深いのは、'10年に起きた母の死だ。自宅の3階から酩酊状態で転落したものだが、息子のことで心労を募らせていたともいう。

後藤真希の弟・後藤祐樹さん

 ゴマキにとって弟にあたる後藤祐樹は、姉に続いてデビューしたものの、未成年飲酒などで引退。その後、窃盗と強盗傷害で逮捕され、母の死は彼の服役中のことだった。出所してからも『懺悔 ゴマキの弟と呼ばれて』と題した自伝を出したり、キックボクサーになったり、何かと注目を浴び続け、今年の8月には地元の市議会選挙に出馬。当選後にはSNSで、

《何十年も議員やって成果の1つもあげられない議員ばかり》

 と、ほかの議員たちを批判するなど、やんちゃぶりは健在だ。とまあ、22年前からタイムスリップしてきた『ぶいごま』もビックリしたに違いないハロプロ界隈のその後。そもそもゴマキの出現がなければ、ハロプロの時代そのものが到来せず、メンバーたちも平凡に生きていたかもしれない。

 また、弟のやんちゃぶりだったり、16歳で「ゴマキ御殿」を建てたりといったあたりはかつての美空ひばりさんを思わせるところもある。

 それだけの存在だったからこそ『ぶいごま』のような企画も成立するわけだが、いっそのこと、22年前のモー娘。をバーチャルで再現してみてはどうだろう。彼女以外のメンバーは、飯田圭織、安倍なつみ、保田圭、矢口真里、石川梨華、吉澤ひとみ、辻希美、加護亜依。シングルでいえば『ザ☆ピ~ス!』の時期だ。

 たとえバーチャル空間でも、この9人がそろってピースサインをする光景は、かなりカオスでファンを喜ばせると思うのだが─。

ほうせん・かおる アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。

後藤真希

 

平成のアイドルの形を作ったともいえる「モーニング娘。」。平成12年には、メンバー主演の映画『ピンチランナー』も封切られた

 

'04年、モーニング娘。ハロプロの歴史はモー娘。から始まった

 

モーニング娘。