今年7月、初の地方公務に臨まれた悠仁さま。鹿児島県の高校の実習農場を見学された

「いずれはこの家から出ていくであろう(中略)娘たちの部屋を用意すること自体が、ある意味無駄になるという考えからです」

仮住まいで“ひとり暮らし”の経緯は

お誕生日会見に臨まれた秋篠宮さまは改修工事を巡る問題に言及された(写真・宮内庁提供)

 11月30日に58歳の誕生日を迎えられた秋篠宮さま。事前に行われた記者会見で、佳子さまが新居ではなく、仮住まいで“ひとり暮らし”をされるに至った経緯について説明された。

「昨年9月に改修工事が終了した秋篠宮邸。30億円を超えた改修費に“高すぎる”との声が相次ぎました。さらに今年6月、仮住まいとして使用されていた旧御仮寓所に佳子さまがおひとりで住まわれていることを宮内庁が正式に公表し、物議を醸しました」(皇室ジャーナリスト、以下同)

昨年9月に改修が終了した秋篠宮邸。高額な改修費や佳子さまのひとり暮らし騒動が物議を醸した

 一連の“お家騒動”について説明がなされない期間が続いたが、11月22日に進展を見せた。宮内庁の西村泰彦長官が定例会見で“異例の釈明”を行ったのだ。

「西村長官は“少しでも費用を抑えたいという秋篠宮ご夫妻のお気持ちに十分応えられず、大変心苦しく思っている”と明かし、費用がかさんだ責任は宮内庁の判断によるものとの意向を示しました。ただ、秋篠宮殿下の誕生日会見を目前に控えたタイミングだったため、殿下が矢面に立たずにすむよう、長官が“風よけに使われたのでは”と懐疑の目が向けられたのです」

 秋篠宮さまの会見内容にも批判の声が上がっており、

「“タイムリーな情報の発信が大事”と語られましたが、佳子さまのひとり暮らしが報道されてから5か月も説明がなかったことから、言行不一致だとの指摘もありました」

 昨年の会見でも“皇室の情報を正確に、タイムリーに発信していく必要がある”と意気込んでいた秋篠宮さま。

「そうしたご意向も影響したのか、今年4月に皇室情報の迅速な発信を目的とした宮内庁広報室が新設されました。しかし、今のところ大きな動きは見られません。当初はSNSを活用し、皇族方が一人称で情報を発信することも検討されていましたが、実現は困難なようです」

情報発信が円滑ではない理由

秋篠宮さまの誕生日に際して公開された秋篠宮ご一家の近影

 宮内庁による情報発信が円滑でない理由を、皇室制度に詳しい静岡福祉大学の小田部雄次名誉教授はこう解説する。

「自由かつ、主体性や独自性を重んじる秋篠宮家と、公的な立場で政府や国民に接することが求められる宮内庁には立場や考え方に微妙な違いが生じているのでしょう。そのズレが連携のなさとして表れているのだと考えます」

 さらに、宮内庁と秋篠宮家がコミュニケーションを図る機会も減っているようで、

「自由を重視する秋篠宮殿下にとって、宮内庁や皇嗣職の意見はあくまで参考意見であり、かつての皇室のように、宮家と宮内庁がフラットに協議を行うということがなされていないように感じます」(小田部教授、以下同)

 秋篠宮さまのある意味、奔放な考え方は、ご家族に対しても垣間見える。

「殿下らしいご回答とも思えるのですが、今回の会見で、悠仁さまの成長について問われた際、“毎日顔を見ていますので、何が成長したというのはよくわからない”と、父親としてはやや冷たいともとれるお答えでした。また、進路についても“本人が何をしたいかが一番大事”と話され、“自由を超えて放任”のスタンスが見受けられました」(前出・皇室ジャーナリスト)

 こうした“放任”の姿勢に、小田部教授は警鐘を鳴らす。

「佳子さまのひとり暮らし騒動や、眞子さんの結婚問題の原因の一端は“自由と放任の違い”を明確にできていない秋篠宮家の教育方針の混迷にあったように思えます」(小田部教授、以下同)

 自由と放任には、明確な違いがあるという。

「自由には責任が伴いますが、放任は無責任であっても許される概念です。従って、放任という責任のない教育方針は、将来の皇室を背負う立場にある筆頭宮家として危険です。今後、適宜修正していくべきでしょう」

悠仁さまへの教育方針は改めるべき

 特に、将来天皇になられる悠仁さまへの教育方針は改めるべきだと小田部教授は続ける。

「“本人がしたいこと”は確かに大事ですが、その選択がどのような影響を及ぼすのか考えるべきです。悠仁さまの立ち居振る舞いが、ノブレス・オブリージュ(高い社会的地位には果たすべき社会的義務が伴う、の意)を感じさせるものになるのかは、“自由だが放任ではない”という意識をご本人が持つことから生まれます。秋篠宮家は将来の天皇をお育てになるのですから、教育方針が放任ではいけないのです」

 さらに懸念すべきことは、秋篠宮家が放任主義を続けた場合の皇室への影響だが……。

秋篠宮家に対するバッシングの大きな原因として、国民に説明がされないまま、自由放任の姿勢をとっていることが挙げられます。秋篠宮邸の改修を巡る問題も、事前にきちんと説明をしていれば、国民の理解は得られたかもしれません。

 今のままでは批判がさらに高まり、悠仁さまのメンタルにも過度な負担がかかります。批判を収めるためにも、方針を改め、将来の皇室を担う宮家として、自覚と責任のある姿勢を見せる必要があります」

 眞子さんの結婚騒動以降、世間から注目され、少しでも落ち度があれば非難されるという状況が続く秋篠宮家。

「ただでさえ難局にある中、悠仁さまはこれから大学進学やご結婚など、大きなターニングポイントを何度も迎えられます。そのたびに、悠仁さまの動向は注目されるでしょう。将来の“象徴”として、責任ある選択をしなければなりませんが、放任ぶりを感じさせる選択をした場合、さらなる批判を誘発しかねません」(前出・皇室ジャーナリスト、以下同)

 バッシングが過熱すれば、取り返しのつかない事態を招くおそれも。

「悠仁さまは国民からの支持を得にくくなるでしょう。それに伴い、お相手となる方も結婚を尻込みしてしまうかもしれません。現行の法律ではいずれ、皇室が悠仁さまのご家族のみになってしまう可能性も考えられます。もし悠仁さまが結婚されず、お世継ぎも生まれなかった場合、皇室の存在が危ぶまれてしまうのです。つまり、秋篠宮家の“無責任主義”は、皇位継承問題にも影響を及ぼすといっても過言ではありません」

 秋篠宮家には、問題がまだまだ山積みのようだ。

小田部雄次 静岡福祉大学名誉教授。日本近現代史を専門とし、『天皇家の帝王学』など著書多数