東山紀之、井ノ原快彦が2度開いた会見は「社名を残す」「NGリスト」などの問題でどちらも炎上した

 “あれ”から、タレントたち、ファンたちは事務所を信じてこれたのか─。

《STARTOは、紛れもなく日本を代表するエンターテイメントチームです》

 12月8日、『STARTO ENTERTAINMENT』が設立された。公式サイトで“日本代表”と自賛するフレーズは、日本エンタメ界で帝王が築き上げた旧ジャニーズ事務所としての誇りか。しかし、その帝王が築いた城内で起こっていた性加害で風向きは大きく変わり、ゆえに社名も変わったのだが……。

 故・ジャニー喜多川氏の性加害問題を受け、旧ジャニーズ事務所は9月と10月に記者会見を開いた。そこで被害者への補償、社名の変更およびその業務、新たなマネジメント会社の設立などの“公約”を発表。10月の会見で、ジャニーズ事務所は『スマイルアップ』に社名変更。社長は東山紀之。業務は「性加害問題の補償のみ」「補償が終了次第、廃業」と宣言された。

「まず、なぜ所属タレントが社長になるのか。同族経営と変わらないと言われても仕方ないでしょう」

 そう話すのは、芸能ジャーナリストの佐々木博之氏。

「例えば京セラの稲盛和夫さんがJALの再生を手がけたように、“経営のプロ”を外から連れてきて、ある程度体制が整ってからバトンタッチしたほうが良かったのでは。経営経験のないタレントがいきなり社長というのはどうかと思います」

福田氏の他にも候補者はいたのか

 新たなマネジメント会社・STARTO社には外部から福田淳氏が招かれた。映画業界でキャリアを積み、アメリカのエンタメ事情にも詳しいという触れ込み。俳優・のんとエージェント契約を結んでいる会社の社長も務める。

「日本のエージェント会社の先駆けのような表現がされていますが、例えば前園真聖さんや中田英寿さんの所属で知られる『サニーサイドアップ』などは前からやっていますし、ほかにもあります。彼のほかにも候補はいて“ぜひともお願いしたい”という人でもなかったのでは」(芸能プロ関係者、以下同)

ジャニー喜多川氏と新社長の福田淳氏(福田氏経営企業のサイトより)

 福田氏はSTARTO社設立にあたり、『週刊文春』の独占取材を受けている。

ファンの声は“全然気にならない”と話すなど、無神経な発言をする人だなと。また、公ではなく、本人も発表していない、大野智さんが沖縄にいることを明らかにしたことはいかがなものか。タレントを守ることはマネジメントの大切な業務のひとつです

 被害者への補償問題は─。スマイルアップ社は11月20日時点で834人から被害の申し出があり、うち23人に補償金を支払ったと発表。

精査はもちろん必要ですが、対応が遅い。金額については一律ではなく“被害の程度”などで分けていると聞きました。まぁそれもどうなのか。また被害者側としては在籍の証明をすることが難しい場合もあり、補償は難航している。

 東山さんは会見で“法を超えて救済、補償が必要”と話していました。“訴え出た人全員を救済・補償する”。法を超えてということはそういうことだと思っていました。東山さんだけを責めることはできませんが遅いですね」(前出・佐々木氏)

補償対応にグズグズした印象を受ける

 9月の会見時に事務所は、今後1年間、タレントの出演料はすべて本人に支払い、事務所としての報酬を受け取らないとの考えを示している。

「とはいえお金はあるはず」

 と佐々木氏。確かにファンクラブの会員数は1000万人以上に上り、年間の会費収入は総額500億円を超えるといわれている。

「さらにグッズなども含めライブなどの収入も事務所に入るようですから、当初の東山さんではないですが、どんどんと補償を進めるべきだと思います。原資はあるはず。もちろんそれでジャニー氏の痕跡がすべてなくなるわけではないでしょうが……。

 この問題を迅速に真摯に対応することで、下の下まで落ちたといっていい評判から、ある程度責任は果たしたという評価にもつながる。現状ではグズグズしていると言われても仕方ない状況なので」(前出・佐々木氏)

 サイトを見ると、現在もファンクラブの事業者は旧ジャニーズ事務所であるスマイルアップ社。ファンクラブの収益は同社に入り続ける。根本として、スマイルアップ社は「補償のみを行う」と会見時に述べていたが……。

水着の女性らと華やかに遊ぶ福田淳氏(写真共有サービスに彼が投稿していた写真より)

「補償のみどころか、東京・大阪・福岡でポップアップショップの開催を発表。これについてSTARTO社設立の発表に先んじて発表するのもいかがなものなのか……。感覚として少しおかしい」(前出・芸能プロ関係者)

 性加害を犯したジャニー喜多川氏もおそらく世間とズレた感覚を持っていただろう。事務所内はどうだろうか。

“ジャニーズを最も知る男”は現在も在籍か

「ほとんどのタレントと半数の社員はSTARTO社に移る。福田氏がどの程度、改革として辣腕を振るえるか未知数ですが、人は代わっていないので、なかなか感覚や体質も変わらないのでは。

 STARTO社の設立発表は井ノ原快彦さんがファンクラブ限定動画で、新社長のメディア第一声は『文春』の有料記事でした。もちろんファンは第一ですし、ビジネスも大事ですが、これだけの大問題をクローズドな場、特定のメディアで発表するのもどうなのか。そのうえで誰でも見られるところでは“日本を代表するエンタメ会社”と自賛する……」(前出・芸能プロ関係者)

 体質の問題として、“ジャニーズを最も知る男”として知られる副社長が9月で引責辞任したが、いまだ関連会社に在籍しているという報道も。

「ジャニーズのメディアコントロールは彼がすべてやってきた。そう簡単には切れないのかもしれません。本人はずっと前から辞めたいと話していたと聞いていましたが、いないと回らないところがあるのではないでしょうか」(前出・佐々木氏、以下同)

 被害を訴える元ジャニーズに対しては「デビューできなかった嫉妬」などの誹謗中傷も相次いでいる。

「事務所として法的手段を取るなどの対応をしたほうがいい。被害者を守る、それも私たちの責任ですと。そうすれば落ちた評価も上がるかもしれない。どうも保身のようなものが垣間見える。スマイルアップ社こそ東山さんではなく、補償問題に精通した、あるいは経験のある人を連れてくるべき。もちろん補償業務について“タレントの立場”として考えられる人は必要でしょうが」

 以上のように会見以降の旧ジャニーズ事務所の判断には首を傾げざるを得ないものや批判も多い。来年度、ファンや世間が納得する“成績”をあげられるか……。