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 元浪費家でお金に無頓着だった生活から、投資デビューで資産3000万円を築いた主婦のりりなさん。「女性、そして主婦ならではの目線が株投資で強みになることもあります」と言う。新NISAが始まる今、株デビューには絶好のタイミング! 初心者でも成功しやすい秘訣……ズバリ、なに?

新NISAがスタートする24年は投資デビューのチャンス

もともとは浪費家で、洋服やコスメを買いまくってストレス解消。お金は貯まらないし、投資とは無縁な生活を送っていました

 こう振り返るのは主婦投資家のりりなさん。それが2018年の結婚を機に変化。将来のお金に対して漠然とした不安を感じ、家計管理と投資に目覚め、5年で資産3000万円を築くまでに

といっても最初は投資の知識ゼロ。貯金感覚でできるかなと思って始めた、『つみたてNISA』が投資デビューでした。選択した金融商品(投資信託)を毎月コツコツ積み立てて運用を経験し、その後、上場企業の株を買う個別株投資にステップアップしたんです。2024年は新NISAがスタートするので、投資デビューのチャンスですよ」(りりなさん、以下同)

 NISAは投資の利益にかかる税金がゼロになる国の制度で、新NISAは2018年開始のNISAを拡充させたもの。非課税期間の無期限化や投資上限額の拡大など、より使いやすく進化した形だ。

生涯投資枠は最大1800万円に。対象商品も拡大し、個別株なども含まれるようになりました。株の税金がタダになるのは魅力です

 りりなさんの初期の投資先のひとつはJT(日本たばこ産業)。2019年9月に配当金を初めて手にした。その際、口座に入金された金額が、書類の配当通知額より少ないことにショックを受ける。

そこで配当金から約20%の税金が引かれることを知りました。株の儲けが2割も減ってしまうわけです。だから新NISAの非課税は大きい

 株の購入は通常100株単位だが、最近は1株単位から購入できる証券会社もある。

楽天証券、SBI証券、マネックス証券などがそうです。1株なら数千円単位で株に投資できるため、ビギナーでも手軽に取り組めます

個別株投資レベル別3つの目的

 いざ実践する際、個別株投資には上で紹介するとおり、主に3つの目的があるという。

「“株主優待品”と“配当金”は株の保有によってもらえるもの。“値上がり”は株の売り買いで利益を得る方法です。売買の場合、知識と経験を必要とするため、初心者にはハードルが高め。私もかつて値上がり目的で投資して、120万円もの損をした苦い経験があります。ビギナーは株主優待と配当金を目的に長期保有するのが望ましいですね

りりなさんのお気に入り銘柄

 さらに、上手な銘柄選びには、主婦目線が役立つという。

主婦は流行りものが好き。口コミで耳にするヒット商品から、メーカーは上場しているか、優待は何かを連想して調べればいいんです。昨年大ヒットした『ヤクルト1000』からヤクルトの株価上昇をいち早く予想できたのも主婦目線からですね

銘柄選びで最も重要なのは“配当利回り”

 長期保有の場合、購入時より株価が下がることもあるが、売らずに待てば優待や配当金をもらいつつ、株価の回復や値上がりを期待できる。

焦らず耐えることが大事。株と長く楽しく付き合って、賢く資産を増やしましょう!

1・株主優待でおトクを狙う!

 企業が株主に対し、自社商品や各種サービスを贈る株主優待の制度。金券、食事券、カタログギフトなどサービス内容は幅広い。

「ポイントは自分の生活に密接に関係した優待銘柄を選ぶこと。私は優待銘柄として人気のスーパーのイオンに飛びついたものの、家の近くにイオンの店舗がなかったため、おトクとならず失敗したことが。単に欲しいという思いだけでなく、使えるかどうかを十分吟味することですね」

 優待は株主にはうれしい制度だが、近年、コスト負担などを理由に優待を廃止する企業も増えている。

「業績が悪化している企業は要注意。また優待内容でいえば、クオカードなどの共通金券類よりも自社商品のほうが企業の負担が少なく、廃止のリスクは低い気がします」

 りりなさんのお気に入りは上で紹介する2銘柄。

「どちらも優待はカタログギフトで、選べる商品が充実しています。何より魅力なのは、優待のおトクだけでなく、配当利回りも高いこと。“1粒で2度おいしい”銘柄を選ぶようにしています」

2・少額からでも配当金をもらう!

 企業が営業活動などで得た利益を、株主に分配するお金を指す配当金。年1~2回、株数に応じて還元される。例えば、100株保有し、年1回、1株30円の配当だったら、配当金は年間3000円となる。

「銘柄選びで最も重要なのは“配当利回り”。株価に対して3%以上なら高配当に該当し、“買い”といえます。ただし、高配当すぎるのは危険。株価が安くなると配当金の利回りは高くなるからで、株安=業績不振とも読み取れるんです」

配当金を狙う銘柄選びのポイントは?

 過去の配当金の推移をチェックし、安定して配当金を出し続けていたら合格。加えて、配当金を増やす“増配”の実績が多ければなおよしという。

権利確定日は高値になりやすい

逆に、配当金を減らす“減配”や配当金なしの“無配”が目立つところは避けたい。配当金の推移は証券会社のHPの検索機能や、『IR BANK』(利用無料)というサイトで調べられます

 優待や配当金をもらうには、各企業が決めている「権利確定日」に株主であることが絶対条件になる。

権利確定日間際に株を買えば、優待や配当金に早くありつけるわけですが、駆け込みの購入者が多い時期なので株価が上がり、高値になりやすい。権利確定日に目を奪われず、株価の安いときに買うようにしましょう

NISAって何の略?

Nippon Individual Savings Accountの略で、日本語では少額投資非課税制度を意味する。証券会社などのNISA口座を通じた投資の利益にかかる税金が非課税=ゼロになる仕組み。

取材・文/百瀬康司 イラスト/志喜屋麻美 画像提供/PIXTA ※銘柄情報は2023年12月1日時点

りりなさん 主婦投資家。元低収入女子の30代主婦。結婚を機に家計管理と投資を始め、5年で資産3000万円を築く。初の著書『主婦にやさしいお金の増やし方BOOK』が話題。Instagram:@kakemane