宮崎駿氏とジブリ最新作の映画『君たちはどう生きるか』(右はスタジオジブリ公式ツイッターより)

 日本時間3月11日、アメリカ・ロサンゼルスで『第96回アカデミー賞』の授賞式が行われ、スタジオジブリの宮崎駿氏が原作・脚本・監督を務めたアニメーション作品『君たちはどう生きるか』(2023年7月14日公開)が長編アニメ映画賞を獲得。ニュースでも大々的に取り上げられているが、ネット上には《何がそんなに向こうの人に受けてんだろ、君どう》といった声も少なくない。

 3月8日に東京・グランドプリンスホテル新高輪で開催された『第47回日本アカデミー賞』の授賞式でも、『君たちはどう生きるか』は最優秀アニメーション作品賞を受賞。そして“アメリカ映画の祭典”とも呼ばれる『アカデミー賞』でもこのたび、長編アニメ映画賞に輝いた。

「宮崎駿さすが」の声の一方で…

 ジブリ作品の長編アニメ映画賞獲得は、2002年開催の『第75回アカデミー賞』にて選ばれた『千と千尋の神隠し』(2001年7月20日公開)以来、21年ぶり2度目。ネット上では《宮崎駿さすが》《ますます海外でのジブリ作品の人気が出ますね》などファンも喜んでいる。

「一方、《『君どう』ってそんなに素晴らしいアニメだったのかい?》という声も。『君たちはどう生きるか』をめぐっては、国内だと公開当初から評価が分かれている印象です」(スポーツ紙記者)

 同作はそもそも、上映開始前に“プロモーションしない”という手法を取っていたせいで、ネット上には《初日初回で空席有 ジブリとしては結構ヤバそう》《ジブリの新作いつの間に公開してたの……?》との書き込みも目立った。

 それでも、初週末の国内映画ランキング(2023年7月14日〜16日の全国週末興行成績、興行通信社調べ)では興行収入16億2600万円をあげて1位を獲得。ただ、かつて『千と千尋の神隠し』は初登場から11週連続でトップに君臨していたのに対し、『君たちはどう生きるか』は2週目以降順位を下げ、首位に返り咲くこともなかった。

 そんな『君たちはどう生きるか』では、主人公である眞人の声を若手俳優・山時聡真が務めたほか、菅田将暉、あいみょん、柴咲コウ、木村佳乃、木村拓哉、大竹しのぶ、國村準、小林薫、火野正平など豪華キャストが起用され、主題歌は米津玄師が担当。ストーリーは、眞人が不思議な青サギに導かれ、生と死が渾然一体となった世界に迷い込んでいく……といった内容だ。

「ほぼ告知ゼロの状態から、公開しても“作品のパンフレットは後日発売”という異例の措置が取られていたことで、ネット上でも“ネタバレ厳禁”の雰囲気が強かった。それで口コミの広がりも遅れたとみられますが、そうでなくとも《難しかった》《面白かった?って聞かれると面白くはなかったって答えるけど、つまらなかった?って聞かれるとつまらなくはなかったって答えるよくわからん映画だった》など、混乱気味のネットユーザーも散見されました」(テレビ局関係者)

「海外の人わかったの?」

 その『君たちはどう生きるか』が“海外で評価された”ということに驚く声も多い。ちなみに、同じく『第96回アカデミー賞』では山崎貴監督の特撮作品『ゴジラ-1.0』(2023年11月3日公開)も視覚効果賞を受賞。こちらはアジア映画初の同賞受賞という快挙として祝福されている。

宮崎駿

 こうした状況の中、ネット上には、

《ゴジラはともかく『君どう』はさすがに千尋の時ほどインパクトないね》

《千と千尋は傑作だからわかるけど『君どう』が海外で評価が高いのはなんでなんだろうなぁ》

《映画素人の僕からしたら全く何が何だかわからず昨年見た映画ワースト1だったので受賞しても……としか》

《私あの映画所々よくわかんなかったけど海外の人わかったの…?》

 といったコメントも寄せられている。

 なお、『千と千尋の神隠し』は最終興収316.8億円の大ヒットを記録し、国内で公開された歴代映画の興収ランキングでも2位となっている。かたや『君たちはどう生きるか』は、今月10日現在もロングラン上映中で興収は89.8億円というところ。日本とアメリカの各『アカデミー賞』受賞効果に期待するとしても、“100億超え”が実現するかどうかは怪しいかも……?