根本瑛貴容疑者(本人SNSより)

「被害の届け出があったのは昨年9月。犯行から時間が経過したのは、被害女性が相当悩んだため。届け出るか、ずっと迷っていたようだ」(捜査関係者)

 過去の性被害について勇気を持って告発する動きが広がる中、被害女性もまた泣き寝入りをよしとしなかった。

 事件は2021年10月4日に遡る。30代の知人女性は容疑者と飲食店に行ったあと、卑劣な手口で襲われた。

「午前1時半~同7時半ごろ、当時容疑者が住んでいた茨城県つくば市内の集合住宅で睡眠剤などを混入した酒を飲まされ、意識がもうろうとする中で性的暴行を加えられた。被害女性は抵抗できない状態だった」(同・捜査関係者)

 被害届を受け捜査に着手した茨城県警つくば署は2月21日、準強制性交の疑いで埼玉県久喜市の外科医師・木下瑛貴こと根本瑛貴容疑者(31)を逮捕した。容疑を否認しているという。 

シャワー室にビデオカメラを設置して…

 通称名ではなく、犯行当時は「木下瑛貴」という名前だったが、その後、「根本」に改名していた。背景には次のような事情がある。

「勤務先の茨城県ひたちなか市の総合病院で女性職員用シャワー室にビデオカメラを設置して女性の身体を盗撮したとして’22年10月、県迷惑行為防止条例違反(卑わいな行為)と建造物侵入の疑いで逮捕されています。犯行は同年7~9月にかけて。当時は木下でした」(盗撮事件を取材した記者)

 犯行が露見したのは、病院の清掃員がシャワー室の脱衣所に落ちていたビデオカメラを見つけたことだった。

「盗撮事件では逮捕時の取り調べに“間違いありません”と容疑を認めていました。通報したのは当時の勤務先病院の職員。同院は事実関係を確認したうえで適切に対処する旨を公言していました」(同・記者)

 ところが昨年1月11日、水戸地検は木下容疑者を不起訴に。理由は明らかにされていない。一般的には、嫌疑なしか、証拠不十分か、あるいは示談が成立して被害者が処罰を求めなかったケースなどが考えられる。

 現在も医師ということは職場復帰したのか。盗撮カメラを仕掛けられた病院に確認すると、

「お尋ねの医師は、現在は当院の職員ではありません。辞めた経緯についてはお答えを差し控えます」(同院担当者)

 と回答。解雇か自主退職かも答えられないという。

 取材を進めると、社会復帰した木下容疑者は昨年秋ごろ、根本瑛貴として茨城県内の別の総合病院に転職し、外科医として働いていた。

 この病院の関係者は明かす。

「根本瑛貴は当院の外科医ですが、突然出勤しなくなり現在は働いていません。のちに逮捕のニュースを知り、“そういうことだったのか”とわかった次第です。われわれが知っているのはあくまで根本医師であり、木下という名字はまったく知りません。今後についてはこれから検討することになります。職場復帰? それはないと思います」

 裁判所のホームページによると、正当な事由があれば家庭裁判所の許可を得て戸籍名を変更できる。名前を変えないと社会生活に支障をきたす場合などに限られ、個人的趣味や信仰上の希望などでは変えられない。

 改名した根本容疑者は茨城県を離れ、埼玉県久喜市に転居。家賃約10万円の賃貸マンションで暮らしていた。独身のひとり暮らしとみられる。

全日本まくら投げ大会にエントリーして優勝

「大学時代はキラキラしたキャンパスライフでした。有名私学から筑波大医学部に現役合格すると、テニス部で汗を流し、仲間と全日本まくら投げ大会にエントリーして優勝するなど充実していた様子がうかがえます。医師になってからは茨城県内の社会人テニスサークルに所属し、大会で優勝することもあったようです」(前出・盗撮事件を取材した記者)

キャンパスライフをおう歌する根本瑛貴容疑者(本人SNSより)

 不起訴処分の後、昨年11月には、埼玉県内のテニスクラブが主催する大会でプロ・アマなど出場資格に制限のない男子シングルス・オープンで優勝し、

《足をつらずにようやく勝てました! 埼玉の全オープン制覇目指します!》

 とコメント。逮捕の十数日前にも再び優勝し、《力を出し切れました!》と自画自賛していた。

 甘いマスクでテニスのうまい外科医─。その“仮面”の下に隠された素顔を追うため茨城県内の実家を訪ねると、家はすでに売却され家族は転居したあとだった。

「盗撮事件後に自宅を売りに出し、昨年春ごろ、ご両親は人知れず引っ越していきました。それはもう気の毒でした。息子さんが改名したのは知りませんでしたし、また別のわいせつ事件で逮捕されるとは思いもしませんでした」(近所の女性)

 地元住民によると、少年時代の容疑者は「勉強のできるおとなしい男の子」だった。

「母親は“子どもが医者になりたいと言っているから”と小学生のころから塾に通わせていました。あの子も一生懸命に勉強して有名中学に合格し、医者になる夢をかなえたんです。頭はよかったけど目立つタイプではありませんでした」(容疑者を知る住民)

 卑劣な事件で目立ってどうするのか。医師の立場を利用して犯行に使った睡眠剤を入手した可能性も視野に入れ捜査しているという。