新静岡駅前に設置された、ちびまる子ちゃんのマンホール

 今年3月、アニメ『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ系)で主人公のまる子役を務めていた声優・TARAKOさんの訃報が報じられた。

 後任の声優の選定作業がおこなわれているものの、未だ決定には至らず。現在、継続中のアニメでは過去回が放送されており、しばらくは再放送という形が続く見込みだ。

 アニメ事情に詳しい芸能事務所関係者は、後任の決まらない現状についてこう語る。

「TARAKOさんは、1990年のアニメ放送開始から約35年ものあいだ、一度も交代することなく声優を務められました。『まる子=TARAKO』というほど、その印象は強いですよね。声優交代となれば視聴者に与える影響も大きい。なるべく違和感を抱かせないために、後任の選定作業も慎重にならざるを得ないのでしょう」

SNS上であがる後任声優の候補者は?

 SNS上では、まる子の後任声優の候補予想が持ち上がっている。なかでも有力視されているのが、犬山イヌコ(58)だ。

《犬山イヌコさん一択な気がする》

《どうやっても犬山イヌ子さんしか思い浮かばない》

《犬山さん、ちびまる子ちゃんの声をお願いします!》

 犬山の本業は女優ではあるが、声優としてのキャリアも豊富。『ポケットモンスター』のニャース役で人気を博している。

 候補にあげられたのには、「TARAKOさんと声質が似ている」という理由がある。実際、『ルパン三世』『クレヨンしんちゃん』など前任者と声が似ている声優へ交代する前例は多く、可能性は低くない。

 他に声が似ているという点において候補者に予想されているのが、歌手のイルカ(73)だ。

《候補は歌手のイルカぐらいしか思いつかない》

《TARAKOさん、さくらももこさん、イルカさんのラジオ声そっくりだったなぁ》

 かつて、原作者であるさくらももこさんがパーソナリティーを務めるラジオ番組に、TARAKOさんとイルカがゲスト出演。3人とも声が似ていると話題になった。

 さらに候補者としてもうひとり、ミュージシャンや俳優として幅広く活動している人気タレント、あのちゃんを推す声も多い。

《あのちゃんにやってもらいたい》

《あのちゃんが後継になるのか……な?》

《あのちゃんの声、ちびまる子ちゃんに似てる気がする》

 あのちゃんの声質や、舌足らずな口調から、まる子の姿を重ねる人が多いよう。現在芸能活動も絶好調なだけに、後任声優となれば話題性は十分だろう。

 ほかにも、お笑い芸人のやす子、ラジオパーソナリティーの大田こぞう、声優の橘田いずみなども候補予想にあげられている。

「TARAKOさん自身が、原作者のさくらももこさんと声がそっくりだったことから、声優に抜擢されています。さくらさん本人の指名によるものであり、意向が強く反映されていることから、その流れは踏襲されるのではないでしょうか」(前出、芸能関係者)

 イメージを一新するようなあまりに大胆な起用はないかもしれない。

国民的長寿アニメのギャラ事情は……

 今回の後任選考レースを勝ち抜いた暁に得られる高額ギャラも、耳目を集めるところである。

 アニメ声優のギャラは、日本俳優連合の定めたランク制によって決められている。デビュー後3年間の新人養成期間は、「ジュニアランク」とされ作品1本につき15,000円。

 続いて「ランカー」に上がると、最低ランクで15,000円。そこから1,000円単位で金額が上昇し、最高ランクは45,000円。ベテランになると「ノーランク」となり、仕事1本ごとにギャラの交渉をすることになる。

 ちびまる子ちゃんのような国民的長寿アニメのギャラ事情も同様なのか。

「国民的長寿アニメの主役級の声優たちのギャラは、業界の相場で1本20万円以上だと言われています。年収にすれば1,000万円ほどに。そういった役を務めれば、ナレーションなどの依頼も増えるので、多くの副収入が見込めます。

 人気アニメの声優を務めた方では、年収2,000~3,000万円超えもざら。まる子役に抜擢されることで得られる収入も、同程度のものが予想されます」(前出、芸能関係者)

 高額ギャラ確定の後任選考レースを制するのはいったい誰なのか。予想も加熱するところではあるが、SNS上では一部でこんな声もあがっている。

《TARAKOさん以外にちびまる子をやらせるなら、正直な話終わったほうがいいと思う》

 アニメ終了を提案する意見も僅かながらに存在する。長年のアニメファンにとっては、声優交代により違和感をおぼえつつ視聴を続けるよりも、潔く終了して欲しいという思いもあるようだ。また、アニメの設定自体に対して、「時代遅れ」を指摘する声も。

 TARAKOさんという屋台骨を失い、ちびまる子ちゃんが岐路に立たされている状況であることは間違いない。制作サイドは、この事態をどのようにして「まるく」おさめるのだろうか。

取材・文/塚田牧夫