「ネタを作る日(木曜)と立ち稽古の日(金曜)、そして本番(土曜)と、1時間の番組を作るのに3日間かけてましたよ。特にキツかったのがネタ作りの日でね。僕は“魔の木曜日”と呼んでいたくらいだから。土曜日も朝10時に会場入りしてひたすらリハーサルでした。1日4回同じことをするんですよ」

 ザ・ドリフターズの高木ブーは当時を振り返りながら、しみじみと語ってくれた。放送終了から30年近くがたった今でも、記憶に残るバラエティー番組として語り継がれる『8時だョ!全員集合』。伝説と呼ばれる理由のひとつには“毎回違う場所からの生放送”だったことが挙げられる。こんな驚きのトラブルもあった。

「停電もそうですけど、火事もありましたね。西城(秀樹)がゲストのときにヘビの作り物を銃で撃つという演出があったんだけど、撃ったらなぜかヘビに火がついちゃって。コントに使う作り物の消火器があったから、慌ててそれをかけたんだけど消えるわけないよね。あれは焦ったなぁ。あと、セットの屋根が最後に崩れる予定だったのに、コントの初めに落ちてきそうになっちゃって、慌てて手で押さえたってこともありました。あとは、加藤のオチを僕がフライングして先にやっちゃったこともあった。いわゆるネタバラシだよね。加藤に“オレのやることないじゃん”って怒られましたよ」

 とはいえ、出演者は気づいていても、観客からすると演出に見えていたことがほとんどだったみたい。さすがプロフェッショナル!あれから29年─。2004 年には、リーダーだったいかりや長介さんが亡くなるという悲しい出来事もあった。今ではメンバーが個々で活動をしているが、高木はというと、

「もっぱらウクレレだね。今、世界ではウクレレブームが起きていてね。この前もハワイのフェスティバルに日本代表として行ってきたんですよ。これからも横浜に小豆島、熱海、江の島ってイベントが続きますよ。たまにドラマの話も来るんだけど“もう年だし走れないから”って断ってるんだよ」

 近年では、ザ・タイガースやプリンセス・プリンセスなど“再結成”をするグループも多い。ドリフの“再始動”についても聞いてみたが、

「いや~、4人でできるコントもあるにはあるんだけど、やっぱり長さんがいないと無理だよね。昔みたいなことは5人いないと絶対にできないから」