さまざまなトレンディドラマに出演し、人気を博した女優の千堂あきほ。現在は北海道に移住し、6歳と3歳の娘の子育てに追われる日々だという。

「下の子の出産をするために、主人の実家がある札幌のほうで里帰り出産をしまして。それをきっかけに、北海道に移住して居心地よくなってしまいました。基本的にはこちらで畑を娘たちとやったり、そうやって子どもたちと家族と一緒に過ごすのを中心にしています。今は、できる範囲で仕事をするっていうスタイルですかね」

 現在は、北海道に拠点を置きつつも、バラエティ番組『マネースコープ』(フジテレビ)ではレギュラーを務めるなど、東京のメディアに復帰しつつある。千堂といえば、1991 年に放送されたトレンディードラマの代表格、フジテレビ系月9『東京ラブストーリー』を想起する人も多いはず。

「私自身初めての連続ドラマ出演で、私のデビュー作だったんです。“ドラマに出ることはすごいことなんだ”ということしか頭になくて、とにかく緊張していましたね。だから共演者の方と話をするとしても、話しかけていいものかもわからなくて、ロケバスの中でもずっと黙っていた記憶があります」

 トレンディーで若い美男美女の出演者ばかりの現場。毎日のように顔を合わせていたら、そのウラ側でも“ラブストーリー”が繰り広げられていた! と思いきや、

「それがまったくなくて。恋愛事情がまったくない『ラブストーリー』でした。私も含めて男っぽいというか、アウトドアな方が多かったんですよ。江口さんなんか自転車でロケ現場まで来るような感じでしたし、保奈美さんも“イヤだ、お財布を忘れたままタクシーに乗っちゃった!”みたいな、すごくサバサバした方。私だってもちろん、『尚子』みたいな女子大生の要素もまったくなかったんですよ。あのメンバーでトレンディードラマをやっていたのかと今思うと、プッと吹いちゃうような。イメージ壊しちゃいけないかな(笑い)」

 そんなドラマ打ち上げでは、バブル時代らしい今では信じられないような光景も。

「ペアでハワイの旅行券だったり、織田さんは最新の大型テレビを景品で出していらっしゃったり。ほかのスタッフとか事務所の社長さんがいらっしゃって、その場でキャッシュ30万円、50万円を出してくださったり。でも、キャストの方も景品が当たったら遠慮して、ADさんたちに回してあげたり、温かい気の遣い方もあったりしました。決してお金にいやらしい感じではなくて、当時は本当にそれが普通で、みなさん楽しんで遊んでいましたよね」