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撮影/伊藤和幸

 3月末の最終回へ向け、盛り上がりをみせる朝ドラ『マッサン』。

「言っちゃうとマッサンは、面倒くさい男ですよね(笑い)。でも、僕は彼のような男がすごく羨ましいし、今の閉塞感が漂っている時代でも、何かしてくれるんじゃないかと期待しちゃいます。彼の持っているパワーや情熱というものは、いろいろな人に与える影響があると思うから」

 10か月間の撮影を先日終え、主人公の亀山政春として生きた時間を玉山に振り返ってもらった。

「"マッサン"として今日はやるべきことをできたのか、毎日寝る前にそういうことを考える毎日でした。ずっと走り続けてきたので、ちゃんと終われたと実感しないままに終わってしまった感覚がありますね」

 と、今の気持ちを話し始めた彼。でも、大阪でのスタジオクランクアップのときは感極まって、目に涙をためていた。

「あのアップのときで、僕の中では気持ち的に終わっちゃったのかもしれない(笑い)。あの日はエリーを看取るシーンとか、大切なシーンの撮影が続いて……。マッサンを演じてきたことをすごく噛みしめながら過ごしていたんですよ。すべてが終わってプロデューサーに"本当に玉山くん、よくやってくれた"という言葉を聞いたとき、自然に涙が出てきたというか、堪えきれないものがありました」

 相手役のシャーロットも、朝ドラ初の日本人ではないヒロインとして注目を集めた。

「彼女は、本当にセンスがいいし、勘も鋭くて。努力できる天才ですよ。だからこれだけ評価され、認められたと思います。僕が持っている引き出しを、自然と彼女が開けてくれたかな、とも思いますね」

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撮影/伊藤和幸

 そんなシャーロットとの夫婦だが、朝ドラでは珍しく、キスシーンがあった。

「そうですね(笑い)、いろいろな方にエリーとマッサンのふたりを見ていて微笑ましいとか、羨ましいと言っていただけたんです。キスシーンなども、あのふたりだったらいやらしくないとか。これはすごくうれしかったし、やりがいがあったと思っています」

 完成した作品を見ずに演じることに没頭したという玉山。その時期を"自分の中で時計が止まっていた"と表現。時計が動き出した今、自分の子ども(2歳)の成長にも気がついたという。

「まず言葉数が増えましたね。ウソをつくようになったり、何かを隠したりとか(笑い)。八嶋(智人)さんに聞いたんですけど、子どもってウソをついているときは、ないものをイメージしていて、それが頭にすごくいいんですって。だから僕も子どものウソに怒らないで、彼のウソに合わせていろいろなものを引き出そうとしています。かわいいですよ、浅はかで(笑い)」

 そして、東京の自宅に戻り、ようやく落ち着いて完成作品を見ることができているという今、その感想は?

「12週までは見ていたので、13週から見始めて、16週まで見ました。なんだか、走馬灯のように思い出されるんですよ。昨年の5月7日にクランクインして、楽しかったことや、演じている部分以外のスタッフとの思い出とか。シーンを見ていても“あ、このときあんなことがあってやきもきしていたな”とか」

 16週といえば、本物のスコッチウイスキーをつくりたいと、北海道・余市へと引っ越して会社を立ち上げようとするあたり。さて、気になる最終週の放送の、見どころは?

「晩年のマッサンとエリー以外にも、回想シーンで若いころのふたりも登場します。若いときのマッサンを久しぶりに演じたので、すごく懐かしく感じた部分もあるし、若いエリーにも出会えてホッとした部分もありました。ぜひ、楽しみにしてください!」