音楽番組が衰退したといわれて久しい。しかし、今春からフジテレビで“生放送”による歌番組が復活することが話題になっている。そういえば、かつての歌番組には人気絶頂の歌手やタレントたちがひしめき合いそこでの一挙手一投足も、“ニュース”だった。ブラウン管の中で輝いていた、あのころのステージを振り返ってみよう♪
昭和52年当時の岡崎。歌手としても活動し、国民的人気アイドルだった
昭和52年当時の岡崎。歌手としても活動し、国民的人気アイドルだった(C)週刊女性

■NHK紅白歌合戦の“毎週版”

「若い出演者も多かったせいで、和気あいあいの、まるで学園のような雰囲気でした」

 番組の司会を務めていた岡崎友紀は当時を懐かしんでこう語った。

 昭和44年(1969年)に放送が開始された『NTV紅白歌のベストテン』(日本テレビ系)は、NHKの『紅白歌合戦』とベストテン形式の歌謡番組を合わせた構成の番組で、4代目の紅組司会者(キャプテン)となったのが岡崎だった。

 岡崎はそれまでに子役として舞台やテレビに数多く出演しており、’70年に放送されたドラマ『おくさまは18歳』(TBS系)が大ヒットして超人気アイドルとなっていた。また、それ以前にも生放送番組の司会は何本か経験していた。

「生放送だからという恐怖感はありませんでした。番組はNHK紅白の“毎週版”という感じですね。厳密にベストテンの順位にこだわっていたというのではなく、そのときにヒットしている曲を集め、あとは歌手のスケジュール次第で出演者が決まっていたのだと思います」

 この番組では、出場歌手が歌うだけでなく、コントやかくし芸などを披露することがあり、そのあたりもNHK紅白にならっていた。

「紅白のキャプテンがコントをするのに加え、あるときから毎週かくし芸も披露することになったんです。出演者全員で。そのころ白組キャプテンの堺正章さんがフジテレビのお正月番組でかくし芸を頑張っていたので、そんな影響もあったのかな。そのため、かくし芸用のリハーサルを別の日に設けていたんですよ。ピンク・レディーや山口百恵ちゃんも超忙しいのに、みんな集まって夜遅くまで練習してましたね。

 キャプテンは必ず芸を披露しなければならなかったので、私もいろいろやりました。タップに日本舞踊、津軽三味線、全員でピンク・レディーとか。なかでも難しかったのはハープでしたね。それまで触ったこともなかったんですから」

■当時はアイドル全盛の時代

「ピンク・レディーはデビューしたばかり。百恵ちゃん、森昌子ちゃん、桜田淳子ちゃんの中3トリオが高校生になって。西城秀樹さん、郷ひろみさん、野口五郎さんの新御三家もレギュラーみたいなもので、彼らの曲は毎週ヒットしていましたね。

 バンドで出演していたのはツイストにサザンオールスターズ。サザンが初めて番組にやって来たときは、なんちゅう格好なのかと思いました。全員で短パンにランニングシャツでしたから」

 大御所の演歌歌手が出演するのはまれではあったが、彼らもノリがよくて、スタジオはいつもにぎやかな空気に包まれていたという。

「生放送だからハプニングはつきもの。コントはリハのときより面白くなっちゃって時間が延びたりするんです。堺正章さんが話を長くする役で、その時間を調整するのが私の役目だったんですが、最後に演歌の大御所の方が歌うときにテンポが速くなってしまうこともよくありました」

■百恵ちゃんもビキニを着てました

 いまは少なくなったが、このころはアイドルやタレントが普通に水着でテレビ出演することが多く見られ、

「年に1回か2回、ホテルのプールサイドやアミューズメントパークのプールから放送するときもあって、そのときは全員、水着なんです。百恵ちゃんもビキニを着てましたよ。先日、ファンの方が録画していた水着の映像を送ってくれたのですが、それを見たら“服を着なさい! そんなにサービスするんじゃない!”って、昔の自分にツッコミを入れてました(笑い)

■アイドル同士の交際のキューピット役も

 岡崎が奮闘していたのは司会だけではなかった。まだ携帯電話も普及していない時代。アイドル同士の交際も思うようにできなかったが、

「私はみんなより5歳くらい上のお姉さんでしたから、若い人たちの交際を取り持ってあげたりしていました。マネジャーさんの目を盗んで電話をかけさせてあげたり、言づけをしたり、手紙を渡してあげたり。男性用の楽屋と女性用の楽屋を行ったり来たりしてました。みんな多感な年ごろでしたからね。何組かカップルができたと思うんですが、結婚まで行った人はいなかったみたい。みんな別れちゃいましたね」

 いまは歌番組が影を潜めて久しいが、

「出演者はみんな精鋭で輝いている人たちばかりでした。その人たちが一堂に会して、会場にいるお客さんたちも一緒に盛り上がって、とにかく華やかな番組でした。視聴者にもそのエネルギーは伝わっていたと思います。ほんとに楽しい番組でした」

BSスカパー!とTBSチャンネル1で放送中の『ジゴロinシェアハウス』に出演中。ドラマは23年ぶり(C)週刊女性
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