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 吉田鋼太郎、ついに連ドラ初主演。ʼ14年末のスペシャルドラマ『東京センチメンタル』が、満を持して連ドラ化。

「もう、主人公そのものですよね。和菓子職人であることを除けば、ほとんど僕だと思います(笑い)」

 演じるは老舗和菓子店“くるりや”の久留里卓三(独身・バツ3)。東京の下町を舞台に、毎回ひょんなことから女性に出会い、ひとときを共に過ごすも、淡い大人の恋はなかなか成就難しく……。

「僕も全然モテないんですよねぇ。恋はわりとしやすいんですけど。すぐ“あ、これは自分に気があるな”と、全部自分にいいように受け取る傾向があるので。でも、たいてい気がなかったりしますから(笑い)。結局、失恋芝居といいますか。最後はフラレるという(笑い)。これも僕に近い(笑い)」

 芝居とはいえ、毎回、女性にフラレ続きだと心が折れそうになると笑う。そんな吉田に連ドラ主演について尋ねてみた。

「やっぱり主役っていうのはね、“やった!”っていう感じはちょっとありますね。気分はいいですよ」

 ドラマ『半沢直樹』(ʼ13年)、『花子とアン』( ‘14年)などで、お茶の間に顔が知られ、今や連ドラの常連。

 しかし、そのずっと前から“日本を代表するシェークスピア俳優”と呼ばれ、蜷川幸雄演出作品の常連でもある。スケールの大きな演技で魅了する舞台の名優は、実はテレビを嫌っていた。

「僕はずっと舞台が長かったですし。若いころ、まだ売れていない無名俳優だと、テレビに居づらいところがあるんですよね。当時は“扱い”の格差が歴然とあり、駆け出しのころに、テレビにちょっと出たときの格差が、僕はすごく嫌で。

 それはもうペーペーだから仕方がなかったんですが、テレビを毛嫌いしてしまって。最近、ちょこちょこと出していただくようになって、テレビ映像の芝居の面白さがわかってきて。“あ、映像って楽しいな”と思っていたら、あれよあれよという間に連ドラの主役をやらせてもらえるなんてね。

 言ってみれば、昔、嫌な思いをしたことを1回ナシにして、できる限りのことをやって、面白いもの作ればいいんじゃないかなって」

 プライドと経験。大人な吉田は苦き経験もすべてをのみ込み、テレビに貢献したいと願うように変わった。

 舞台と違って、目の前に観客のいないドラマの収録現場では、スタッフの反応が何よりの手ごたえだという。色気が漂う56歳独身。好きな女性のタイプを尋ねると、こう答えた。

「どうだろうなぁ? でも、20代後半になると僕ら世代とちゃんと会話ができるか、できないかなくらいですよね? ちょっとツライかな。やっぱり、若い人って価値観や言葉遣いが違うでしょ? ネット社会で使う言葉? 例えば……なんだっけ。リア充? 彼女たちはわかって使っていても、僕にはわからなかったりするから……」

 “リア充”とは、ネットの中ではなく、リアルな実生活が充実している人のこと。

「そうらしいですよね。そういうことを含めると、恋愛対象は、30代半ばから、自分の年くらいまでになるのかな?」

 男女の関係においては、互いに会話が楽しめることがファーストステップ。そして、とても惚れっぽいほうなのだと笑う。

「自分の考え方をはっきり持っていて、それをはっきり言う人が好きですね。気の強い人? 好きです、間違いなく。生意気くらいがちょうどいいかもしれません」

 この日は北風が強く、朝から夜まで現場は凍てつくようだった。

「今日はずっと長い間ありがとう。寒かったでしょう? 風邪、ひかないようにしてくださいね」

 『ドラマ24 東京センチメンタル』 離婚歴が3度ある、自由気ままな和菓子職人・卓三(吉田鋼太郎)。東京下町のノスタルジックな景色の中で描かれるのは、大人の淡い恋。笑いあり、涙あり、グルメあり、名所あり。その他の出演/高畑充希、片桐仁、大塚寧々、小栗旬ほか。1月15日(金)スタート。毎週金曜深夜0時12分~ほか(テレビ東京系)

撮影/廣瀬靖士