親離れ、子離れ─。いつの時代も議論されるこの問題だが、最近の親子の関係性は、より緊密なものになっているように感じる。親のあり方、子のあり方。はたして、どちらがどう変わってきたのか? いったいなぜ変わってきたのか? 現代のリアルな親子関係を緊急レポート! 第5弾は「親の言い分」です。

■「私が死んだら、どうするんだか…」

 親の干渉がすごい! なんて子どもたちは言うけれど、“好きでやっているワケじゃない!”と声をあげるのが佐藤美央さん(仮名=58)。彼女がどうしても世話を焼いてしまうのが3人きょうだいの末娘(26)。

「普段はしっかり会社で働いているんだけど、昔から掃除や料理、洗濯などの家事が全般的にできない子。しかもすっごくズボラで、光熱費や家賃を払うのを忘れるんです。このあいだ遊びに行ったときはガス・水道・電気が全部止まってるわ、ゴミ捨てをしている形跡がないわで、もう大変。遊ぶ約束をしてたのに、丸1日かけて部屋の復旧作業でしたよ。私が死んだら、どうするんだか……」

 母の助けなしに、娘は暮らしていけるのだろうか……。

20150317_oyako_4-4

■「いつまでもかわいい私の赤ちゃん」

 逆に井上眞由美さん(仮名=63)は、まだ同居中の息子(26)にゾッコン。

「毎朝5時に起きて、こっそり息子の部屋を掃除してました。寝顔を覗き見したくって……♪

 9歳上の娘がいるんですけど、息子は36歳のときに高齢出産で産んだ子。いくつになっても私の赤ちゃん、というかわいがり方をしてました。昔から甘えてくるタイプではなかったので、こっちを向いてもらうために好きなものを買ってあげたり世話を焼いています。冷ややっこを出すだけでも見た目にこだわっちゃうくらい。でも、いまだに振り向いてくれませんけど」

 そんな眞由美さんは、先日、ケンカになった息子が先に謝ってきたことで、子離れを意識し始めたのだという。

「私が守る必要はなくなったと思えたんです。いつまでもかわいい私の赤ちゃんではなく、いつの間にか息子が、立派な大人に成長していたことに気づき、恥ずかしくなりました

 過干渉の親に悩むことは多いけれど、それも子どもがかわいくて、甘やかしてあげたいから。親に“大人になった”と認められれば、親子でも大人同士の付き合いができるようになるのかもしれない。

(イラスト/きくちもも)