親離れ、子離れ─。いつの時代も議論されるこの問題だが、最近の親子の関係性は、より緊密なものになっているように感じる。親のあり方、子のあり方。はたして、どちらがどう変わってきたのか? いったいなぜ変わってきたのか? 現代のリアルな親子関係を緊急レポート! 第7弾は、互いに自立するための「親子関係改善」のためのレッスン。まずは「親の立場から」。

■子どもが素直に聞き入れてくれるのは、“9つ”まで

 かわいさ余って憎さ100倍の子どもたち。いくつになっても手がかかるけれど、遠い将来、両親がいなくなっても、ひとりで生きていけるように導いてあげるのが母の務めだ。どのような接し方が、子どもの自立につながるのか。

子育てで念頭に置くといいのは、物事の分別や躾(しつけ)を教育するのは、“つ”がつく年齢までということ。知人に会ったらあいさつするとか、早寝早起きをするとか。そういうことを素直に聞き入れてくれるのは、“9つ”までなんです。この年を過ぎたら、勉強やスポーツを教えることも、プロに任せたほうが賢明。親がいろいろ教えようとしても、子どもが反抗的になってしまうこともあり、素直に聞いてもらうのが難しくなるからです

 こう語るのは、精神保健福祉士の大美賀直子さん。大人の入り口に差しかかるスタートラインが、10歳くらいから徐々に訪れる反抗期。この時期は、だいたい15歳ごろまで続くという。

「“思春期”や“心理的離乳期”とも呼ばれ、子どもたちが自分の力で生きるためにもがき始める時期にあたります。さまざまな事柄に衝突し、もがくことで少しずつ大人の階段を上り始めます。“あっち行け!”“こっち来んな!”は、むしろ成長の証(あかし)。お赤飯を炊いてもいいくらいですよ(笑い)」

■“木”の上に“立”って“見”守ってあげて

 子どもたちが自分で考えることを始めたら、これまでどおりに世話を焼こうとしてはダメ。例えば、ケンカした友達への謝り方だったり、仲直りの仕方など、せっかく考える機会に直面しているのに、親が介入しては“邪魔をされた”と拒絶されてしまう。

「ここで親がどんどん価値観を押しつけたり、答えを提示すべきではありません。葛藤する機会を奪われた子どもたちは、考えることをあきらめ、親なしでは何もできない子になってしまいます親は、読んで字のごとく、“木”の上に“立”って子どもを見守ってあげてください。それまでの生活圏内を出て、たくさんの領域へ冒険に出かけることもあると思います。多少、危ない場所に近付いても、自分で気付き距離を置くことが重要。自分で生きる力や術を身につけさせて」

 とはいえ、まだ一人前の大人と同じと思ってはいけない。子どもたちの様子を見て、時には木から下りてあげることも必要だ。

「たくさんの機会に触れた子どもたちは、自分のキャパシティーを越えた事態に直面すると落胆します。そのときはポジティブな気持ちになるよう、合理的な発想で転換するのを手伝って。これを『リフレーミング』と言います。そのうえで問題点や考えるべき点を指摘し、“お母さんはこう思うよ。あなたはどう思う?”というように選択の余地を与えてあげてください。子どもの意思を殺すような、意見の押しつけはNGです

■いい母ではなく、ほどよい母に

 また、この年ごろの子どもたちはとても敏感。親の気持ちをキャッチしやすく、「親が不安になると、子どももブレてしまう」と大美賀さんは言う。

子どもの悩みに“ああ、どうしましょう”なんて親が取り乱していては、子どもの不安が増幅するだけです。子どもが小さいころから“お母さんにはなんでも安心して話せる”という大丈夫感を与えてあげられるとよいですね

 子に頼られるような母親になるためには、どうしたらいいのか?

「頼られたいと思うのではなく、見守りたいくらいの気持ちで大丈夫。頼られたいあまりに空回っていては、元も子もありません。普段は子どもの動向を横目に見ながら自分の時間を確保し、気持ちに余裕を持ってください。他人と過去は変えられないけれど、自分と未来は変えられます。子どもをいい子に変えるのではなく、自分が“ほどよい母親”を目指すようにするだけでいいんです。なんでもできるスーパーママになるのではなく、ほどよく選択肢を示してあげられればOK。母子という関係を保ったまま、お互いがうまく自立へ向かっていけると思いますよ」

大美賀直子さん●精神保健福祉士、All Aboutストレスガイド。近著に『長女はなぜ「母の呪文」を消せないのか』(さくら舎)がある
大美賀直子さん●精神保健福祉士、All Aboutストレスガイド。近著に『長女はなぜ「母の呪文」を消せないのか』(さくら舎)がある