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 このマンガみたいな人はいないとは思いますが、予期せず訪れる「もしも」のとき、スマートな作法を身につけて亡くなった方をしっかりと偲(しの)びたいもの。そこで、時代とともに変わりつつある葬儀のマナーについて、年間2万件を超える仏事相談に無料で答える「大野屋テレホンセンター」所長・川瀬由紀さんに伺いました。

■バッグや靴、革製はダメってホント?

 革製品は殺生につながるとされ、かつては布製の靴とカバンが正式なスタイルだとされていました。布製品であることにこしたことはありませんが、現在はほとんどの方が革靴をはいています。金具や装飾が特に目立つものでなければ、革製の靴やカバンでもOK。女性はヒールの音が響きにくい靴を選びましょう。

 また、どんなにいい革靴でも、年月がたつと劣化してしまいます。特に経年劣化しやすいのが靴底。弔問のために数年ぶりに革靴をはいたら、靴底のゴムがポロポロとはがれ落ちてしまった、という失敗談は実は意外と多いのです。久しぶりに革靴をはく際には、出かける前に靴底のチェックを忘れずに。

■コートは黒じゃなきゃだめ?

 コート類は受付で預けるため、さほど神経質にならなくても大丈夫です。とはいっても、黒や紺、グレーといった地味な色目のものを着用するのが無難。地味な色であれば冬場はダウンジャケットを着るのもいいでしょう。ファーは殺生を意味するため着用を控えますが、目立たない色で襟元についている程度なら許容範囲です。

■ストッキングはオールシーズン、黒がお約束?

 弔問では季節を問わず、ひざ丈ほどのスカートやワンピースが正式の装いとされており、薄い黒のストッキングを合わせるのが無難。ベージュのストッキングもマナー違反ではないものの、黒を着用したほうがベター。ただ、色は黒でもタイツはカジュアルな印象になってしまうため、基本的にはNGです。

■スカートは苦手。パンツスーツはアリ?

 かつての弔問では、女性の服装はスカートが基本でした。しかしここ最近、地域による差異はあるものの、特に年配の方はスカートよりも足さばきがいいことから、パンツスーツを着用する女性が少しずつ増えています。参列者はパンツスーツでも問題ありませんが、遺族の場合は親戚などに事前に確認したほうが無難です。

■ネイルサロンに行ったばかり。手袋をすれば大丈夫?

 外国では喪服に手袋という服装も見られますが、お焼香を伴う日本の弔問には手袋は適しません。ネイルを気にするあまり、故人との最後のお別れに集中できないという事態は避けたいもの。基本はマニキュアを落としますが、ベージュや淡いピンク以外のネイルは、サロンではずしてもらってから参列しましょう。

■小さい子どもの服装は何が正解?

 子どもの服装は「制服」が礼装となりますが、なければ紺やグレー、白といった地味な洋服がベスト。例えば、白いシャツに黒いズボンやスカートなど、子どもは「白」を着用してもOK。ヘアアクセサリーや靴などの色みにも注意を忘れずに。ただし、小さな子どもは弔問の場にふさわしくない言動をしてしまうこともあります。故人との関係性によっては連れていかないこともひとつのマナーです。

ネイルに凝る女性が増えているので、この悩みも急増中
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(イラスト/上田惣子)