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 電通総研の最新の調査で、日本人の13人に1人がセクシュアルマイノリティーと指摘するように、特別な存在ではなくなったLGBT。

 自らもレズビアンであることを公言し、フランスでパートナーと同性婚したタレントの牧村朝子さんは、セクシュアリティーについて長い間、悩み続けてきた。

「同性愛ということにタブー意識を持ち、“とんでもないこと、非生産的なこと”と自分に言い聞かせていた時期もありました。女の子に恋をしてしまったことについて罪悪感を覚えましたが、誰に、どのように相談していいかわからなかったんです。カウンセリングに通って解決しようと思ったのですが結局、本当の悩みを打ち明けることはできず、別の悩みにすり替えて話していました。自分自身をレズビアンだと認めることも、他人にそれを話すことも怖かったからです。差別を受けるのでは? という恐れもありました。女性が好きだと思うのはおかしいと思い、男性と付き合いましたが、やっぱりときめかない。ある日、彼と横になっているときに、女性の裸を想像してしまっている自分がいて。そこで“自分はレズビアンかもしれない”と確信しました」

 その後は“レズビアンになろう!”と努力を重ねた。モテるために男性的な格好をする、一生懸命、彼女をつくろうとする……。

「レズビアンという枠に入って安心しようと思っていたのに、それが私にとってかえって大きなプレッシャーになってしまいました」(牧村さん)

 例えば“よい妻”のレッテルを貼られたら、その基準をいつも満たさなくてはならない。でも、基準は人によってさまざま。自分の理想の妻像が、姑の理想の妻像とかけ離れていれば、無理は必至だ。

 自分本来の姿とかけ離れた、世間が理想とする“勝手な基準”に合わせることは、自分を殺すも同然であり、苦痛を伴うのだ。

「だから、自分が何者なのかということより、自分が何をしたいのかを基準に生きる。それが“ありのまま”ということなのだと思います」(牧村さん)