■朝の口臭は当たり前。でも日中には適切なケアを
「起床直後の口臭はみなさん絶対にあるので、これは仕方がないこと。朝一番の口内は、うんち10g分もの雑菌の繁殖があると言われていますから。起きたらすぐに歯磨きをしてください」
と話すのは口元美容のエキスパート、石井さとこ先生。ただし問題は、日中の口臭。原因は主に食べ物で、食べたもので口の中や舌の上が汚れると、口内の雑菌の栄養分となり、口臭とつながる。「適切なケアで“息美人”になりましょう!」(石井さとこ先生・以下同)
■舌の汚れが口臭の原因の6~7割!
舌の上に食べ物が残っていると、イオウ系アミノ酸が発生し、口内の雑菌と合わさって、ニオイの強い口臭になる。
「舌の中央でさまざまな雑菌や食べ物の残量が合わさると、ガスのように口臭を周囲にふりまいてしまうのです」
舌の上に残りやすいものといえば、コーヒー豆の粒子が典型だそう。
「細かいだけに、とれにくいから残るんです」
【対策】舌の筋肉を鍛えて食べ物の付着を防ぐ
携帯電話・スマホの普及につれて、私たちは声を出して話すかわりにメールやラインでのやりとりが増え、結果として口を使わなくなった。
「口も舌も使わない生活をしていると、どんどん舌の筋肉が衰えて位置が下がり、食べ物が付着しやすくなります」
口を閉じた状態で、舌が上あごについている状態が、舌の正常な位置。
「舌を鍛えるには、毎日、前歯の前で左右10回ずつ舌を回すのが効果的。ゆ~っくり行ってください」
【対策】舌ケアは、やりすぎないのが大事
舌苔(ぜったい=舌の汚れ)をケアし、食べ物のカスなどを除去するのも有効。
「舌のお掃除は、やりすぎないのが大事。舌は粘膜ですから、ゴシゴシこすると味覚障害の心配や、傷ついて雑菌が繁殖して、さらに口臭がひどくなる可能性もあります」
週に1回程度、濡らした麺棒で舌を外側に3回こする、もしくは専用シートでやさしくお手入れをするくらいが、ちょうどいい。
■加齢によるだ液のネバつきも原因に
だ液も口臭を理解するための大きなカギとなる。だ液が足りないドライマウスは、口臭が伴う。
「赤ちゃんのだ液のようにサラサラしているものが理想的ですが、大人のだ液はネバついていることが多いんです。年をとるとどうしても、量・質ともに低下してしまうんですね」
だ液は口内の抗菌・洗浄作用があり、食べ物の消化を助け、結果として口臭予防となる。
「ちなみに、起床直後に口臭がするのは就寝中はだ液の分泌が日中の50%程度で量が圧倒的に少ないから。口が渇くと口臭が出やすいのも、納得ですよね?」
【対策】新鮮なだ液がジュワッと出るツボ
「だ液が出ないなと思ったら、その場でツボ押しをするのもいいんです。電車の中でもオフィスでもできますよ! だ液は美肌効果もありますからね。美容面でもオススメです」
やり方は実に簡単で、両耳下にある凹みを、気持ちがいい程度に繰り返し押すだけ。みるみる、口の中にだ液がわくのが感じられる。
【対策】ガムを噛んでだ液を出す
「だ液は噛む動作で、どんどん出てきます。口が渇いたな、だ液が足りないなと思ったら、ガムを噛めばいいんです。『キシリトール50%』なんて商品を買えば、同時に虫歯予防もできちゃいますよ!」
【対策】毎日、穏やかな日々を送ればそれだけで◎
「ストレスや睡眠不足でも、だ液は十分に出なくなってしまいます。そんなときは特別なことをやるのではなく、当たり前の健康的な生活を心がけてください」
起床後・就寝前にしっかり歯を磨き、3度の食事をキチンととり、アルコールはとりすぎず、日中は水分を適度にとり、口の中がネバついたなと思ったらガムを噛む……それだけで、ほとんどの口臭がスッキリ治るそう!
(取材・文/中尾巴 イラスト/柏屋コッコ)
〈お話を伺った先生〉
ホワイト ホワイト デンタルクリニック院長・石井さとこ先生 ●日本における歯のホワイトニングの第一人者。著書に『口元から美人になる52の法則』などがある。