「右脳と左脳の両方にバランスよく枝が分かれている脳は『社会脳』といわれ、将来、成功してビッグな人になる可能性が高い」と話すのは、小児科医で脳画像診断医の加藤俊徳先生。

「脳の中には、家の住所のような番地があります。同じことばかりしていると、同じ番地ばかり使ってしまい社会脳が育ちません。“へぇ~、そうなんだ”という発見が、脳の違う番地を使うことにつながります」

 さらに発見から興味を引き出して、ワクワクするアクションを起こして脳を動かす。例えば、花火の面白ネタを知る(準備)→実際に花火を見る(アクション)→体験したことを書く(アウトプット)、の3つのステップで社会脳は育っていくという。というわけで、子どもの“へぇ~体験”の入口になる面白ネタを集めてみました。第4弾は、オトナも楽しめる【のりもの篇】。

◆ジェット機は手洗い

 自動洗浄のほうがラクなのでは?

「飛行機は、機種ごとに大きさや形状が異なります。無線通信用のアンテナや高度・速度を測るセンサーもついており、こうしたセンシティブな個所は避けて作業しなければなりません。そのような細かな動きは自動機械では難しいため、手洗いで行います」

 と、旅客機情報専門雑誌『月刊エアライン』編集長の中脇浩さん。機械で洗浄したことは1度もない?

「いいえ。昔、成田空港にジャンボ機を自動で洗浄できる機械がありました。ジャンボ機の機体の形状とアンテナやセンサーの場所をプログラミングしておき、モップの動きを制御していました。ジャンボ機しか対応できないこと、日本航空からジャンボ機が退役したことから、現在、この機械は日本に存在していません」

◆機長と副操縦士は同じ食事を食べない

「空の上で2人とも食中毒にかかってしまうと、大変な事態に陥ります。できるだけそのリスクを避けるために、同じメニューは食べないという決まりがあるのです」

 と、前出の中脇さん。メニューの内容(洋食、和食など)だけでなく、食事をとる時間もずらしているそう。

「ひとりが食事をしている間、もうひとりは必ず機外のモニター(見張り)をしておく必要もあるからです。だいたいの場合、機長が先に好きなものを食べて、副操縦士がそのあとに残りものをいただくというのが長年の慣行でしょうか」

 飛行機事故が起これば、乗客たちの命に直結する一大事となってしまう。操縦士たちの細かな気遣いがあるからこそ、私たちの安全が確保されているのだ。

◆羽田空港の地下に埋まる世界一の飛行機

「はい、埋まっていると考えられています。周回飛行距離で世界一になった航研機です」と、前出の中脇さん。

「東京帝国大学航空研究所が設計した飛行機で、昭和13年、大日本帝国陸軍の協力のもと木更津を飛び立ち、1周400キロのコースで周回を重ねて29周、合計1万キロ超を飛行しました。機体は戦後まで羽田空港に置かれていましたが、進駐した米軍に破壊され、地中に埋められているとみられます」

 もう2度と見ることはできないの?

「それらを発掘して、羽田空港に博物館を立てて展示してほしいとする声も上がっています。現在、この航研機の機体(復元機)を実際に目にすることができるのは、青森県にある三沢航空科学館だけです」

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◆猫だけじゃない! ウサギの駅長もいる

 今年6月に永眠した、和歌山電鐵貴志駅で駅長を務めた『たま』。写真集が発刊されるなど人気を博したが、さいたま市の浦和美園駅にはウサギの駅長がいる。今年6月7日に就任した『ラビたま』駅長だ。埼玉高速鉄道旅客営業課の小松﨑佳枝さんによれば、

「動物を駅長にして、お客さんに親しんでいただけたらという意見がきっかけです。浦和はウサギにまつわるエピソードが多いので、ウサギに決まりました」

 さいたま市には、ウサギがお使いの神社があり、ウサギとは浅からぬ縁があるようだ。そんなラビたま駅長の勤務内容は?

「利用者のみなさんへのご挨拶や、駅構内の巡回を行っています。社員が手作りした駅長用の制服と帽子もあるのですが、すぐ脱いでしまって、“ありのまま”の姿で勤務しています」

◆都市を走るバスは青信号を長くできる

 都市部で走るバスは、赤信号に引っかからず、スムーズに走っている。大阪交通局の広報によると、

「都市新バスシステムと呼ばれるものです。運行の正確性や利便性をより高めるため、大阪では昭和61年4月に導入しました。このシステムは、全国の主要都市で採用されています」

 確かに昔のバスといえば、時間どおりに来ないのが当たり前だった。

「バスが現在、どこを走っているかを把握し、そのバスが通る信号の青信号を長くしたり、赤信号を短くしたりするシステムです。バス優先信号のほか、バス専用レーン、屋根や電光掲示板を備えたシェルター式停留所の設置・整備と一緒に施工。大阪市の難波から大正橋を経由した鶴町四丁目間などで、そのシステムは今も利用されています」

◆新幹線の中に子ども向けの運転台がある!

「確かに、山陽新幹線の500系8両編成『こだま』の8号車にお子様向け運転台が設置してあります。本物そっくりのハンドルを操作できるので、実際に新幹線を運転している雰囲気を楽しめますよ」(鉄道写真家の福島啓和さん)

 500系といえば世界で初めて時速300㎞で走った新幹線としてギネスにも載った車両。毎日、上りが10本、下りが7本走っていて、子ども向け運転台がある8号車は自由席となっている。

「現在はすべて8両に減車され『こだま』のみの運用になり、最高速度も時速285㎞にダウンしました。8両のうち6号車は普通車指定席(一部は自由席)になりますが、元グリーン車でシートもそのままなので、乗るにはおトクな車両です」

◆JRの社名は鉄道を“鉃”道と書く

「確かにJRの社名ロゴは“鉃”を使います」と前出の福島さん。

 金偏に矢は、本来は鏃の意味。鉄道の“鉄”ではないので、間違いでは?

「昔、JRは日本国有鉄道(国鉄)でした。1987年に、赤字が原因で国鉄からJRに分割民営化されたので、“金を失う”と書く鉄の字を避けたといわれています。和歌山電鐵や土佐電気鐵道など、鉄の字を避けるため、旧字の鐵の字を使う会社もありますよ」

 つまりゲン担ぎなわけ。

「ただし、JR四国だけはロゴに正しい鉄の字を使っていますのでご注意ください。詳しい経緯はわかりません(笑い)」