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 累計発行部数が17刷169万部となることが発表された、又吉直樹の『火花』。受賞後初となるエッセー「芥川龍之介への手紙」が、8月7日発売の『文學界』9月号に掲載されることが発表されると、こちらも予約が殺到している状況だ。

 そんな『火花』だが、実はタイトルは又吉ではなく編集部サイドから提案されたものだと関係者は語る。

「又吉の完成原稿を読んだ編集部は“これは話題になる”と確信。そこで担当編集者だけでなく、『文學界』編集部総出でタイトル案を考える会議を何度も行ったそうです。そこで編集部から提案されたのが『火花』だったとか」(出版関係者)

 バラエティー番組でタイトルの意味を聞かれた際、「この小説に出てくる芸人は花火の中の1つの火花みたいな存在という意味がある」と答えた又吉。

「編集部から『火花』というタイトルを提示されると、又吉は即座に気に入って、採用。バラエティー番組で話した意味はもちろん、ピースの前に組んでいた『線香花火』というコンビ名など、短いタイトルの中にいろんな意味を含められるため“編集部の人たち、凄いわ”と絶賛していました」(お笑い関係者)

 そういう経緯もあり、又吉は『文學界』編集部にかなり感謝しているという。

「“『芥川賞』を獲れたのも編集部の人が頑張ってくれたおかげ。俺だけの力じゃ絶対に獲れなかった”と周囲に言っていますよ。担当編集者がインタビューで語っていますが、最初にオファーがあったのは5年ほど前。ピースは’10年の『キングオブコント』で準優勝して、ちょうどコンビとして事務所が売り出していた時期。そのため、当時のマネージャーは“今はコンビでお笑いの仕事を優先する時期”と執筆のオファーを断ったんです。それでも諦めず、担当編集がオファーをし続けた結果、『文學界』での執筆に繋がった。又吉は“編集の方が頼み続けてくれたから、今がある”と感謝しっぱなしです」(バラエティー番組関係者)

 芥川賞受賞後、執筆の依頼が殺到している又吉。そんな中、受賞後初の執筆先を『文學界』に選んだのも、義理固い又吉の性格にあるようだ。

「受賞後、仕事関係者や先輩後輩から多くのメール、LINEが届いたにも関わらず、忙しいスケジュールを縫って翌日には律儀にみんなに返信したそうです。それぐらい義理固い。一方で、自分が納得しないものには、どんなに好条件でもOKしない頑固な部分もある。『文學界』より好条件の執筆依頼はたくさんあったみたいなのに、そんな依頼に見向きもしなかったのは、彼らしいなって思いますね。次回作の執筆先もギャラなど条件面ではなく、以前からお世話になっている編集者の中から選びたいと話しているそうです」(前出のお笑い関係者)