【好評連載・フィフィ姐さんの言いたい放題】未公開株をめぐる問題などにより自民党を離党した武藤貴也議員に、新たなスキャンダル——未成年男性の買春疑惑が報じられた。この報を受けフィフィは、今回の武藤議員のケースを通じて広く露呈した、同性間の性的トラブルをめぐっての、日本が抱える“ある重要な”課題に驚いたという。

 武藤議員が、出会い系サイトで知り合った19歳の男性を買春したという記事。これを読んでいくなかで、私は非常に驚きました。

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武藤貴也議員のオフィシャルブログより

 武藤議員が同性を好むか否か、あるいは議員としてのモラルに欠けるか否かといった、彼ひとりに限った問題に驚いたわけではないんです。そうではなく、武藤議員のケースを通じて明るみに出た、日本が抱える“ある重要な”問題、つまり同性間においての性的トラブルに対応する法律がないということに驚いたんです。

 にわかに信じ難いことですが、日本の売春防止法は、あくまで異性間において適用されるものであって、同性間の売買春に関しては、法律に記載されていないんですね。つまり何か性的なトラブルがあっても、同性間で起こったことならば法律は守ってくれないわけ。これはある意味非常に危ないことですよ。

 たとえば、売春を強要されても、それが同性間であれば訴えても裁かれないということになるし、浮気をされてもその浮気相手が同性であるならば立件できない……といったことになってくるわけですからね。法律がないことを逆に利用して、倫理的にまずいことも出来てしまう。

日本のLGBT運動は、上っ面だけ

 法律に記載されていないということは、そもそも同性愛者という立ち位置が、社会のなかで”無視”されているということです。

 仮にも今年に入って、渋谷区で、続いて11月には世田谷区でも同性カップルを認める条例を実施する予定であったりと、彼ら・彼女たちLGBTを社会的に認めようとするムーブメントがあったわけでしょ。

 さらには、6月26日には米国全州で同性カップルを認めるようになったことを受けて、SNSのプロフィール写真をレインボーアイコンにした人も多かったよね。少なからず日本においても、LGBTにたいする意識は高まっていた。

 それにも関わらず、肝心の法律の上では、彼ら・彼女たちの立場が依然として”無視”されている。こうした状況では、いくら条例やアイコンを通じてのムーブメントがあっても、上っ面だけ、単なるお祭り騒ぎに便乗しただけと思われても仕方がないよね。

 本当に日本の社会のなかで、その存在を受け入れようとするならば、まずは現行の法律を変えないことには始まらないよ。彼ら・彼女たちの権利・主張を法律で守ることが出来てこそはじめて、本質的に受け入れたと言えるんじゃないかな。

 LGBT運動が盛り上がるなかで、差別をなくそうとか、きれいごとばかりがクローズアップされがちだけど、それだけでは彼ら・彼女たちが実際にいまさらされている危険な状況の解決にはならない。もっと本質的なところ、法律にも目を向ける必要性を、今回の報道を受けて強く感じましたね。

《構成・文/岸沙織》