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 韓国出身の6人組グループB.A.P(ビーエイピー)が、2月20日と21日、ソウル市オリンピック公園SKハンドボール競技場でワールドツアー「B.A.P LIVE ON EARTH 2016 W0RLD TOUR」のソウル公演を開催した。(※取材日は2月21日)

 1年に及ぶ活動休止を経て、再び歌謡界に戻ってきた彼ら。ソウルで公演を行うのは2年ぶりとあり、先立って行われた記者会見では、「全世界のファンに、僕らが再び戻ってきたことをお伝えしたい。2年前は、声帯が裂けるまで頑張りたいと話した。今回は、髪の毛がすべて抜けるほどほど熱心に頑張りたい」と意欲を語った。

 午後3時から始まったコンサートはその言葉通り、ステージに再び立てたことの喜びをエネルギーに変えた、熱気いっぱいの公演だった。

 ヒップホップダンスグループの公演としてはめずらしい、バンド演奏を一部取り入れた今回。力強い前奏とともに、華やかなレーザーショーがスタート。そしてカウントダウンでB.A.Pの6人が登場すると、グループのマスコットである緑色のマトキ型ペンライトがより一層、激しく揺れ出した。

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『BANG×2』から、エンジン全開のステージが始まった。いきなりスタンド席の外周を走るヨンジェとジョンアプ。ファンもメンバーも、再会を喜ぶ満開の笑顔だ。

 その後、続けて『WHAT THE HELL』『NO MERCY(ロックバージョン)』『1004(Angel)』と代表曲を続けて披露。リーダー、バン・ヨングクの圧倒的カリスマラップ、ヒムチャンのクールな歌声、デヒョンとヨンジェの超絶ボーカルコンビ、ジョンアプの美しくシャープなダンス、末っ子ZELOの超高速ラップ。ブレイクをまったく感じさせないパフォーマンスに、ファンたちの大歓声が続いた。

■ 6つのカラーが光ったソロ舞台

 ソロステージでは6人の個性を最大限に見せてくれた。

 ヒムチャンはバン・ヨングクをフューチャリングした『S.N.S』で、マイケル・ジャクソンを彷彿とさせるシャープなダンスでファンを魅了。

 続いてソロを披露したデヒョンは、スイートなメロディーが印象的な『SHADY LADY』を、愛するファンに捧げるように歌い上げた。

 ジョンアプは、「“今、この瞬間、愛する人と一緒にいたい」と歌い上げる自作曲『今』に合わせてセクシーなダンスを披露し、成長した姿をアピールした。

 ZELOも同じく自作曲でソロステージに立ち、自らの話をストレートに歌詞で表現したナンバー『祝福(Blessing)』で、渾身のラップを披露。最後にアクロバティックな技を決めると、割れるような拍手が沸き起こった。

 ソロのトリを飾ったのはヨンジェ。ドラマ『応答せよ1988』の挿入歌として、現在韓国で大ヒット中の『心配しないで、君』を、一小節、一小節、切々と歌い上げた。「過ぎたことには過ぎたことなりに、意味があるもの。僕ら一緒に歌いましょう」という歌詞が、過去1年、活動休止を強いられていた彼らの状況とぴたりと重なり、号泣するファンが続出。

「みなさんもご存知のように、僕らには大変な時期がありましたが、その時間を一緒に乗り越えてくれて感謝しています。上手に表現ができませんが、みなさんを愛していますし、尊敬します。ずっと、永遠に一緒にしてください」

 とファンへの思いを伝えた。

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■ これぞB.A.P! ド迫力ステージで圧倒

 ソロタイムを挟み、中盤は2月に発売した新ミニアルバム『CARNIVAL』の収録曲、『FEEL SO GOOD』『CARNIVAL』を披露。記者会見で「今回のミニアルバムは、楽しく活動できる音楽を選びました。ファンのみんなに喜んでもらいたいです」と語っていたように、陽気でPOPな楽曲で、B.A.Pの新たな魅力をアピールした。

 その後も、DJに扮したマトキによるディスコタイムからの『HURRICANE』『BADMAN』『DANCING IN THE RAIN』と立て続けに代表曲を披露したほか、『CRASH』では「みんな立って!」と会場をあおり、ファンと一緒に楽しんだ6人。

 後半の山場となったのがヨンジェのソロからの『ONE SHOT』、『WARRIOR』への流れだった。大型スクリーンには、1914年から2016年まで、全世界で起こった戦争の記録が映し出され、緊張感を演出。B.A.Pのアイデンティティともいえるド迫力パフォーマンスで、客席を圧倒した。

 本編ラストの『WITH YOU』では、ファンたちが一斉に「いつでもここで待っているよ」のプラカードを掲げるサプライズも。ヒムチャンがカメラを掲げ、ファンやメンバーを熱心に撮影する姿も見られた。

 アンコールでは『YOUNG、WILD&FREE』『EXUCUSE ME』そして、サプライズの追加アンコールとして『CRASH』の3曲を披露し、最後のMCで各自の思いをファンに語った。

写真:ヨンジェ
写真:ヨンジェ

「2年前にもこの会場で、みなさんと思い出を作りましたが、今日もまたたくさんの人が来てくれましたね。いい思い出をくれたみなさんに心から感謝します」(ヨンジェ)

写真:ZELO
写真:ZELO

「今日のために一生懸命に練習してきました。頻繁なミスもあり、言い訳をしたいこともたくさんありますが、それはプロではないと思います。とはいえ、気分よく終えられてよかったですし、みなさんに感謝します」(ZELO)

写真:ジョンアプ
写真:ジョンアプ

「昨日、今日ととても楽しかったです。番組活動など、さまざまな活動の中でもコンサートは特別な感じがします。今日で終わりなのが残念ですね」(ジョンアプ)

写真:デヒョン
写真:デヒョン

「コンサートが世界で一番楽しいですね。みなさんとずっと、一生、一緒にいたいです。愛しています」(デヒョン)

写真:ヒムチャン
写真:ヒムチャン

「ソウルを皮切りにワールドツアーが始まります。『CARNIVAL』の活動も始まりますので、みなさんに楽しんでもらいたいです。この会場に一緒にいてくれて、ありがとうございます」(ヒムチャン)

写真:バン・ヨングク
写真:バン・ヨングク

「アルバムの作業をすると、敏感になってストレスが溜まり、自分でも知らないうちに腹を立てている僕を、受け止めてくれたスタッフたちに感謝を伝えたいです。そして何よりメンバーとファンに心から感謝しています」(バン・ヨングク)

 2時間半に渡り24曲の全力パフォーマンスを見せ、完全復活を証明したB.A.P。今回の韓国公演を皮切りに、日本を含めたアジア、アメリカ、メキシコ、ブラジル、ロシア、ニュージーランドなど15か国をワールドツアーとして巡る予定だ。日本でも3月30日にファーストアルバム『Best. Absolute. Perfect』の発売を皮切りに、活発な活動を予定している。

取材・文/古林由香