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 日本テレビ系の報道番組『NEWS ZERO』のテーマ曲が、4月4日から宇多田ヒカルの書き下ろし作品に変わることが発表された。

 子育てをしながらの活動再開に期待が高まる。偶然にもこのタイミングで彼女を取り上げた書籍『1998年の宇多田ヒカル』(新潮新書)が出版された。

「音楽ジャーナリストの宇野維正氏の著書で、1998年というのは宇多田に加えて椎名林檎、aiko、浜崎あゆみがデビューした年なんです。この4人を比較しながら現在の音楽シーンについて考えるという内容ですね。この年は日本でのCDセールスがピークに達した記念すべき年。生産枚数は今の2.5倍、売上金額は3倍以上だったんですよ」(音楽ライター)

 彼女たちの傑出した才能を分析した本だが、快く思っていない人物がいる。宇多田の父親である照實氏だ。

「“許可もなく名前を使って商売をされた”と、激怒していますよ。“訴訟も辞さない”として、著者の宇野氏に抗議しているという話です」(レコード会社関係者)

 本の表紙には著者の名前より大きく宇多田ヒカルという文字が記されている。

「ほかの人たちも取り上げられているのに、宇多田さんにだけフォーカスしたようなタイトルのつけ方に疑問を覚えたんでしょう。タイトルだけ見たら、宇多田さんに関する書籍だと思いますから」(前出・レコード会社関係者)

 内容に関しても不満があるようだ。

「《最も天才なのはaikoかもしれない》《岐路に立たされる宇多田ヒカル》《2016年、宇多田ヒカルは日本の音楽シーンの延命装置をすべて外してしまうことになるかもしれない》といった記述があります。解釈によっては批判的とも取れますね。照實さんからしてみたら、娘をバカにされたような気持ちになったのかもしれません」(前出・レコード会社関係者)

 宇多田の所属事務所に問い合わせると、この本は事務所やCDレーベルが公認したものではないという。ただ、「宇野氏や新潮新書編集部へ抗議を入れた事実は、現在まではありません」

 宇野氏にも取材を申し込んだが、「ご協力することは難しい」と断られてしまった。

 実際に訴訟になればどうなるのか。『弁護士法人・響』の徳原聖雨弁護士はこう語る。

「今回のケースは、読者を引き寄せるためにどの程度、宇多田さんの名前や写真を使っていたのかという部分が判断基準になります。

 いちばん目立つ本の表紙に名前は出ていますが、彼女の写真は使用していませんし、文中に使用しているCDジャケット写真もごく小さなものなので、もし訴訟になったとしても、宇多田さん側の主張は認められない可能性が高いと言えます」