スライム
 『レモンケーキ』が再ブームになるなど、昭和に流行ったものが再注目されている。そこで一世風靡した昭和の玩具の裏側について取材した。

◆スライム

1978(昭和53)年発売

 小学館の大辞泉で《スライム【slime】》を調べてみると、《ねばりのある液状のもの。軟泥やへどろ、動植物の出す粘液など》とある。

 アメリカで生まれ、’78 年に日本で発売が開始された『スライム』は、それまでのオモチャと一線を画すものだった。

 『スライム』は半固形、すなわちゲル状の緑色の物体で、手にくっつかないほどの適度な粘性と、冷たく湿った感触があり、小さなポリバケツを模した容器に入れられて売り出された。

 ただ触って遊ぶだけのオモチャなのだが、それまでになかった新鮮な感覚と、SFやホラー映画に登場する怪しい物体に似た形状が子どもたちの興味を呼び、大ヒットとなった。

 その後、さまざまな類似品も出てきたり、また学校教材として図画工作や理科の時間に自作されることもある。

「教材で使われている“スライム”とオモチャとして売られているものは成分がまったく違います。成分が何かということは企業秘密ですが、本当のスライムは手についても残りませんし、触り心地がいいんです」(メガハウス・メディア戦略部の板垣有紀さん)

 その後ゲームのキャラクターにもなった『スライム』は、現在も売られ続けており、’14 年3月末までの累計出荷数は1455万個に及ぶという。