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騒動で頭を丸めた山本氏だったが、髪を伸ばして選挙戦へ

 橋下徹大阪市長(維新の党最高顧問)の「大阪都構想」の行方を占うとされた統一地方選。簡単に占える結果ではなかったが、そんな中で落選した元維新の党の現職府議の1人が昨年、中学生とのLINE騒動で有名になった山本景氏(35)である。

 大阪府北東部の交野市を地盤とし、4年前の統一地方選で維新の党から出馬、「維新旋風」に乗り当選していた山本氏。だが昨年夏、祭りで知り合ったという女子中学生とLINE(無料通信アプリ)で交流していたが仲間はずれにされたのに激怒し、「絶対に許さない」「徹底的にやる」などとLINEで凄んだ。これが発覚し交野市教委から抗議された。橋下最高顧問も「中学生とLINEとは」とアキレ果てていたが「違法なことをしたわけではない」と党除名にはならず、今回は維新府議団から離団して無所属で再選を目指していた。

 選挙区内を「のぼり」を立てた自転車にまたがり、選挙カーを先導するように元気に走っていた山本氏。投票日の3日前、京阪電鉄交野線の郡津駅前で自転車を止めて辻立ちしていた。降りてくる通勤帰宅客などに笑顔をふりまいて手を振っていたが、乗降客の多い駅ではなく、あまり忙しそうでもないので近づいて近況を聞こうとした。

 しかし、「素性も知れないフリージャーナリストなんかの取材は受けません」とハナから名刺を受け取ろうともしない。さらに、その夜に交野会館で予定されていた個人演説会について「有権者でなければ入れませんからね」。こちらが「取材に行く」とも言わないうちの先制バリアだった。

 取材拒否理由については「あれは私が前の市長にハメられたのに、マスコミには面白おかしく書かれるだけでしたから」と話した。

 なるほど、パンフレットには、4年前の大阪府知事選絡みで前市長から敵とみなされ、約3年間、市の公式行事に一切招待されなくなったなどの内容が書かれている。だが、前市長に「ハメられた」ことと女子中学生を威嚇することの関係性がこちらにはさっぱりわからない。聞こうとしたが、「どう説明してもマスコミはちゃんと書いてくれませんから」と最後まで相手にしてくれなかった。

 不祥事発覚直後、「反省した」と丸めた頭はすでに伸び、LINEは事務所との連絡だけに使っているという。「あれは終わった話」と強調するが、「ええ年して中学生とLINEやて。交野市の恥やわ」(30代の女性市民)などの声は強く、どう見ても「逆風」だったはず。1人区に4人が立候補していたが、なぜか放送メディアには「勝つ自信はある」と話していた山本氏。結果、あえなく落選。それでも「楽勝だと思っていたので気が緩んだ。予想外の結果」とか。

 山本氏は交野市出身。大阪桐蔭高校から和歌山大学を卒業、大阪大学大学院時代にIT関連会社を起業したが、会社の権利をホリエモン(堀江貴文氏)のライブドアに譲渡している。野村証券勤務などを経て、大阪府議に当選した後は、水道料金値下げや環境対策などを訴えていた。

 4月29日で任期切れとなり、「ただの人」になったが、今後の活動については不明だ。