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 平成26年の認知被害件数は1万1256件。被害総額はなんと約379億7828万円! 振り込め詐欺被害が年々増えている背景には、詐欺の手口が巧妙化していることがあげられる。そこで、最新の詐欺の手口について防犯ジャーナリストの梅本正行さんに聞きました。

「最近の詐欺は暴力団などが介入してきており、ひとつの大きな“犯罪産業”として非常に巧妙になっています。“オレオレ”なんて“初心者レベル”ではありません。個人情報を調べあげたうえで行う“上級編”が始まっています。

 いま目立っているのは『上京詐欺』ですね。息子や孫を騙り“東京まで来てくれ”と、お金を持ってこさせ、指定場所に向かう途中に“自分が行けないので部下が行く”と言ってくる。そこまで来たら引くに引けず、お金を渡してしまう。

 もうひとつは『投資詐欺』。まず、名義貸しを促すような内容で1人目から“あなたでないと購入できない社債がある”といったような電話がある。承諾すると、2人目が弁護士もしくは警察として電話をかけてくる。“名義貸しは犯罪です。今あなたがお金を払って解決するなら罪にはなりません”とね。

 どちらも2段階・3段階に仕込まれ、若者に年配、女性とありとあらゆる人物が出てくるから、トリックに引っかかるんですね。“トリック詐欺”といってもいい」(梅本さん)

 すでに「劇団並み」の演技力と組織力が備わった詐欺グループが多数存在していて、電話口で判断できないのが当たり前なレベルなのだそう。

 では、対策は?

「最近も年金情報が大量に漏れましたが、自分の情報はもう漏れていると思うべき。だからこそ、知らない番号からの電話には出ないことが何よりの対策です。

 最近は対策機能がついた家庭用電話も出ています。登録していない番号からの電話がランプの色でわかるので、出なければいいし、出ても自動で録音してくれる。手口の種類が膨大なので、電話機を変えることも手段です」(梅本さん)

 もはや「お金の話が出たら全部詐欺だと思うくらいがいい」と言う梅本さん。年金情報の流出を利用した詐欺は手口を練って「忘れたころにやってくる」そう……。気をつけて!

〈梅本正行さんのプロフィール〉

うめもと・まさゆき 1964年からセキュリティー事業に参入し、警察署での署員特別教養講師や犯人逮捕への協力など警察からの感謝状は400枚を超える。現在、犯罪者心理を知り尽くしたプロの目で、防犯ジャーナリストとして活躍中。